【徹底レビュー】M2 F87コンペティションの実力とは

「BMW M2」は、BMWの走りの頂点を担うMシリーズのエントリーモデルの位置づけとなっています。

2018年に発売されたF87型「M2 コンペティション」は、高性能なM2クーペをベースにして、さらに走りのパフォーマンスレベルを高めたモデルです。

少数限定販売車の「M2 CS」を除き、この型で最もハイパフォーマンスなモデルです。

ヨーロッパのCセグメントのクルマを見回しますと、メルセデス・AMG CLA 45Sやアウディ・RS3などのライバル車が挙げられますが、その中でも 400ps超のFR車というスパルタンさの極みのようなパッケージングも相まって、最もホットな1台と言っても過言ではないでしょう。

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目次

M2 F87の性能やデザイン要素の特徴

「F87 M2クーペ」は、2シリーズの走りの頂点を担うモデルとして2016年に登場しました。

エンジンは2,977cc直列6気筒DOHCターボの「N55B30A」型を搭載しています。型式はM235iクーペと同じですが、エンジン各部を高出力対応品へと換装し、14psアップの370psを発揮します。さらに「オーバーブースト」モードを備え、3.6kgf・m上乗せできるというギミックも搭載しています。

そのパワーを伝えるトランスミッションは、8-AT/6-MTから、7-DCT(ドライブロジック)/6-MTの組み合わせとなり、よりスポーツ走行に適した変速性能が楽しめる構成となっています。

外観では、開口部を強調しスパルタンさを増した専用デザインのフロントバンパー、さりげなく前側70mm、後ろ側35mm拡幅された筋肉質なフォルムのフェンダー、空力に貢献するガーニーフラップ、迫力の左右4本出しマフラー、そして彫りの深いデザインの19インチホイールが与えられています。

足まわりは「Mアダプティブ・サスペンション」で固められ、ブレーキは「Mコンパウンド・ブレーキ・システム」を装着しています。また、左右の駆動配分を電子制御で振り分ける「アクティブMディファレンシャル」も装備しており、サーキットでの激しい操作にも対応しています。

諸々の強化装備により、車重は10kgほどM235iクーペより重くなっています。

F87型 M2クーペ諸元
  • 全長×全幅×全高=4475×1855×1410mm 
  • ホイールベース:2695mm 
  • 車重:1610kg 
  • エンジン:S55B30A型2,997cc 直列6気筒 DOHC ターボ 
  • 最高出力:410ps(302kW)/6250rpm
  • 最大トルク:56.1kg・m(550N・m)/2350~5230rpm
  • トランスミッション:7-DCT/6-MT 
  • タイヤ:前・245/35ZR19 /後・265/35ZR19 
  • 燃費:10.8km/ℓ(JC08モード)
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コンペティションモデルの概要

エンジン:M3/M4由来の高性能ユニット

「コンペティション」の最大の特徴は「S55B30A」型エンジンが搭載されたことでしょう。このエンジンは、兄貴分のM3/M4に搭載されているユニットです。

排気量はベースとなった「N55B30A」型と同じ2,997ccですが、クロモリ製クランクやコンロッド、ピストンなどのM社の強化パーツが組み込まれ、ツインターボ仕様となって高出力&高回転特性のエンジンとなっています。

ちなみにターボの数を増やせばパワーが増えるわけではありません。ツインターボ化は排気干渉を減らしリニアなレスポンス実現が目的です。

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エクステリア:スパルタンなデザイン

エクステリアは開口部を強調しスパルタンさを増した専用デザインのフロントバンパー、さりげなく前側70mm、後ろ側35mm拡幅された筋肉質なフォルムのフェンダー、空力に貢献するガーニーフラップ、迫力の左右4本出しマフラー、そして彫りの深いデザインの19インチホイールが与えられています。

そのパワーを伝えるトランスミッションは「M2」と共通です。足まわりやブレーキも同じ構成ですが、スプリングやダンパーの味付けは「コンペティション」の名に相応しくさらに固められています。

足まわり:「M2」ベースにアップグレード

ホイールとタイヤのサイズは「M2」と同じですが、専用のメッシュタイプのデザインのホイールが装着されるので、外観ではこれが最も見分けるポイントになるでしょう。

内装も基本的に「M2」に準じますが、前席がバケット形状の「Mスポーツシート」となります。

メーターはM2と同じ2眼式の300km/hスケールですが、タコメーターのレッドゾーンが500rpm高く変えられています。

コンペティションとクーペの違い

エンジン性能や乗り心地の違い

「M2」の「N55B30A」と「コンペティション」の「S55B30A」の違いを見ていきましょう。

クランクシャフトは剛性が高く折れにくい窒化処理クロームモリブデン鋼を使用しています。マーレ製の高品質合金ピストンと、独自の表面処理を施し強度を上げたコンロッドを組み合わせ、さらにクローズドデッキでシリンダーの剛性を上げるなどして高回転&高出力に対応させています。オイルパンは軽量なマグネシウム製です。

エンジンの出力は40ps上乗せされ、トルクは8.7kgf・mも向上しています。それぞれの発生回転域は低回転側が引き上げられており、実際の出力が上がっている上に、低回転から中回転にかけての加速の盛り上がりは2段ほど力強く感じるでしょう。

また、「S55B30A」の方がピークパワーの発生回転域は下がっていますが、回転の上昇感はこちらの方が伸びる印象になっています。

足は「M2」よりさらに固められ、標準装備のミシュラン・パイロットスポーツの高いグリップを高速域でも受け止められるセッティングになっています。

エンジンルームを開けると目に飛び込んでくるブーメランのような独特のストラットタワーバーは「コンペティション」専用装備で、かなり前足の剛性に効くでしょう。

固めでサポート性に優れる「Mスポーツシート」の感触も相まって、乗り心地はかなり固めです。

外観とインテリアのデザインの違い

外観上での「M2」との違いは、まずキドニーグリルのフレームや、前フェンダー後部に装着される「Mサイド・ギル」、トランクリッドのバッジ、マフラーカッターなどのメッキ部分がすべてブラックオフされ、渋い雰囲気になっています。

また、メッシュ風のデザインが採用されたホイールにより、少しエレガントな要素が加わっています。

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M2コンペティションの走行レビュー

現代のターボエンジンでは別格の気持ちよさ

M2コンペティションに乗って一番最初に感じるのは、エンジンの気持ちの良さです。「M」を欲しがる舌の肥えた方々は、昔ながらのNAエンジンに少なからず思い入れがあるでしょう。

このM2コンペティションに搭載されているエンジンは、そういった方々も十分納得できるようなレスポンスや吹け上がりがとても素早く、レブリミットまで詰まることなく突き抜けていくようなフィーリングがあります。

また、ターボエンジンになったことで、低回転域からのトルクが大幅に増しています。ターボ=ターボラグという時代は過去となり、最近のターボエンジンは2000回転も回せばほとんどラグが気にならないです。特にこのエンジンはターボラグが少ない部類に属し、自分がアクセルを踏んだ瞬間にドンッと加速してくれるのです。まるでNAとターボの良いところどりとも言えるフィーリングです。

このエンジンのアクセルレスポンスや高回転域での伸び方の気持ちよさは、「クーペ」の「N55B30A」では味わうことができないものです。「コンペティション」を選ぶことで得られる恩恵で一番大きいのは40馬力向上した最大出力ではなく、この気持ちよさではないかと思います。

もちろん、サーキットを沢山走る方であれば40馬力は大きな差ですが、一般人にとっては、約370馬力と約410馬力の差を使い切るタイミングは稀と言えるでしょう。

サーキット志向のハンドリング

続いてはハンドリングです。このM2コンペティションは市販車としてかなり足回りが固められた印象です。今回は西伊豆スカイラインで同車両に試乗しましたが、車好きだけが乗る車であれば、適度なインフォメーションと言える乗り心地ですが、隣に奥様を乗せることが多い方は注意した方が良いでしょう。

また、足回りがフラットな路面を想定して作られているため、ダンパーが固く若干跳ねる場合があります。これはダンパーとバネのセッティングが煮詰め切れていない印象がありました。普通の走行では全く問題がないですが、箱根や伊豆のワインディングを楽しくストイックに走りたい方は社外製のサスペンションへの交換が視野に入ってくるでしょう。

しかしながら、ハンドリング自体はこの固められた足回りのおかげで余計な遊びはなく、素直なハンドリングが楽しめます。M4やM3に比べて短いホイールベースにより、BMWの駆け抜ける喜びを味わえます。

ただ1つ気になった部分があります。それは車重です。コンパクトなボディでありながら車重に関してはM4と同じです。また、ホイールベースが短くなったことで前後重量バランスではM4に劣ります。そのため、ステアリングを切った瞬間に軽さを感じることは正直できなかったです。

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となれば、車両の性格や装備での判断となります。ざっくり言えば、街乗りが多い用途であれば、素の「M2」の方が向いています。神経を使わずにドライビングできるし、乗り心地の面でも実用レベルで不満は出ないでしょう。パワー的にもそこらのハイパフォーマンス車に引けを取らないでしょう。

一方で、サーキット走行をそれなりに本気で楽しみたい、NAのようなフィーリングのエンジンに乗りたいという場合は「コンペティション」を選んだ方が良いでしょう。

4点式のハーネスや牽引フックなどのサーキット装備を加えるだけで、相当なレベルまでノーマル状態でサーキット走行を楽しめます。また、街で同じ車種に出会った際に見劣りすることが嫌であれば「コンペティション」を選択するしかないでしょう。

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