ポルシェ カイエンは維持費がどれくらいかかるのか?

かつてはポルシェの車検費用は一回あたり100万円といった都市伝説が囁かれていた時代がありました。たしかにこれは都市伝説ではなく真実でもあります。しかし、2年ごとに100万円もの車検費用がかかるとしたら、日本の路上でこれほど頻繁にポルシェを見かけるでしょうか……?やりかたひとつ、ちょっとしたコツで年間の維持費や整備費用を抑えることができるのです。

ポルシェが2002年にそれまで未知のジャンルであったSUVの世界に「カイエン」というモデルを放ちました。それから20数年。いまやカイエンはポルシェの売上げを支える屋台骨としての役割を担うほど重要なモデルとなったのはご存知のとおり。

現行モデルは2017年にデビューした3代目にあたります。今回はカイエンの維持費について考察していきましょう。

目次

ポルシェカイエンの目安の維持費は年間約40万円〜

では、実際にカイエンを所有した場合、年間の維持費はどれくらいかかるのでしょうか。デビュー以来、中核モデルとして人気が高い「カイエンS」をベースに検証してみましょう。

カイエン S:16,440,000円

・全長×全幅×全高:4930×1983×1697mm

・ステアリング:右

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年間維持費の内訳

  • 重量税:20,500円(61,500円÷3年分)
  • 自動車税:66,500円
  • 自賠責保険:12,260円
  • 任意保険:80,000円〜150,000円(車両保険別)
  • ガソリン代:150,000円〜250,000円
  • 法定1年点検:40,000円〜80,000円

 合計:370,000円〜580,000円

上記に加えて、駐車場代やコーティング(メンテナンスを含む)、車検、タイヤ交換代、油脂類交換などが加算されていきます。

これらを勘案して、ポルシェカイエンの目安の維持費は年間で約40万円〜約100万円の想定をしておいたほうが良さそうです。

ポルシェカイエンの維持費が高くなる理由

車両重量の重さと圧倒的なパワー

車両重量は2000kgオーバー、最高出力は400psオーバーというグレードも存在するカイエン。これだけの巨体を大パワーで空気を切り裂いて加速していくのですから、(このスペックに見合うよう強化されているとはいえ)各部に大きな負荷がかかるのは避けられません。その分、部品の交換サイクルを短くすることで負荷を分散させるのです。

オイル交換代が高い

カイエンのエンジンの排気量は3リッターあるいは4リッターが多く、上級モデルともなれば、V8ツインターボエンジンを搭載します。高性能かつ高品質なオイルを8〜10リッター必要とします。それに加えて、定期的なサイクルで交換しなければハイパフォーマンスエンジンのポテンシャルを維持することができなくなってしまうばかりか、寿命を縮めてしまう可能性すらあります。ここは出費を惜しまず、高品質なオイルを選びたいところです。

タイヤ交換が高い

カイエンのタイヤサイズは19インチ〜21インチ。もっとも太いサイズともなればフロントが285/40ZR21、リヤは315/35ZR21という、スーパースポーツモデル並みのタイヤを装着しています。さらに駆動方式が4WDということもあり、すべてのタイヤに駆動力がかかっています。安価なタイヤを装着するだけで如実にハンドリングが悪化する他、ロードノイズが増大するだけでなく、ブレーキ制動力の低下します。ミシュランなど、純正装着されているタイヤを交換するとなると4本で50万円以上の出費を覚悟しなければなりません。

故障が発生した際の修理代が高い

カイエンの新車価格は軒並み1000万円オーバーです。一般的に、もともと高額なクルマの整備代および修理代はそれに比例して高くなりがちです。特に正規ディーラーに修理を依頼した場合、信じられないほど高額な見積もりが算出されることも珍しくありません。もともと高いうえに予防整備の項目が追加されるからです。「当たりの個体」であれば長期にわたりノントラブルということもあるので、ここは運を天に任せるしかなさそうです。

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ポルシェカイエンの年間維持費を抑えるためのポイント

ポルシェというブランド名だけで、年間の維持費が莫大になるのでは?と心配したくなるのも無理はありません。たしかに、正規ディーラーが提案するメンテナンスをすべて依頼していたら莫大な維持費になってしまいます。

そこをうまくやりくりすることで、年間の維持費をグッと安価に抑えることも不可能ではないのです。

メーカーの延長保証プランに加入する

前オーナーからメーカー保証の権利を継承できたとしたら、延長保証プログラムの有無、そしてプログラムが存在する場合、加入できるかどうか正規ディーラーに確認してみてください。延長保証プログラムに加入する際の初期投資(目安として10万円〜20数万円)はかかりますが、所有期間中の故障や不具合などが保障対象となり、無償で交換できる可能性があります。これを活用しない手はありません。

OEM品や純正相当品の部品に置き換える

ポルシェに限らず、どの自動車メーカーでも純正部品が高いのは仕方がありません。メーカーが求める品質の厳しい基準を満たすには、サプライヤーメーカーも莫大な開発資金を投じています。さらに、自動車メーカーの「のれん代」がここに加算されるのですから、高くなるのは当然といえます。しかし、OEM品が見つかれば、品質は純正品と同レベルで、価格はグッと抑えられているのでお得です。これに準じるのが純正相当品と呼ばれるものですが、一般的に純正品よりも品質は下がると考えた方がいいでしょう。

カイエンの整備が可能な民間の整備工場でメンテナンスを行う

メーカーの最新の情報や専用の工具、専用のカリキュラムを受講したメカニックが所属する正規ディーラーでのメンテナンスはもっとも安心で確実であることは確かです。その分、整備費用が高額になりがちです。しかし、民間の整備工場でも対応できるケースがあります。輸入車の精通した販売店でさらに専用の整備工場を保有するところであれば安心感が高いといえるでしょう。

ポルシェカイエンは他のブランドと比べて壊れやすいのか?

結論として日本車(特にレクサス)と比較した場合は、壊れやすいと考えるのが自然です。決定的な違いは日本車の驚異的なトラブルの少なさが際立っているというべきでしょう。この「ほぼ壊れない」という感覚に慣れてしまってから輸入車に乗り換えると、しばしば信じられないようなトラブルに見舞われます。

たとえば警告灯の誤作動や電装品の不具合、経年劣化による天井内張りが落ちてきたり、内装のべたつきなど……。いずれも、日本車ではおおよそ考えられないようなトラブルばかりです。裏を返せば、それだけ日本車が工業製品として極めて優秀であることの証ともいえます。何しろ、車格に関係なく、真夏の都心部の渋滞でエアコンを全開にしてもオーバーヒートすることなく、淡々と移動できるのですから。

では、他の輸入車メーカーと比較してどうでしょうか。メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、ランドローバー/レンジローバーなど、数多くのSUVが強力なライバルとして存在しています。それらのライバルメーカーのSUVと比較してポルシェが壊れやすいかといえば、「(当然ではありますが)可能性がゼロとは断定できない」ということです。もちろんこれには理由があります。

ポルシェというメーカーのいちモデルである以上「スポーツ性」が求められることは避けて通れません。このスポーツ性を追求することで、SUVらしからぬ運動性能や動力性能を手に入れることができるのです。しかし、これは同時に諸刃の剣でもあります。車両重量が2500kg前後のカイエンに、500馬力近いハイパワーエンジンを載せ、全開加速およびハードブレーキ、コーナリングを繰り返していれば……。ボディに相当な負荷が掛かり、各部品にもストレスが蓄積されていきます。

つまり、本来SUVという快適に移動するためのクルマに「ポルシェらしい味付け」を求めてハードに走り込んだ個体ともなれば、他のブランドのSUVよりもトラブルに見舞われる確率が高いと考えるのが妥当でしょう。

ポルシェカイエンの中古車を買う際の注意点

では、カイエンの中古車の購入を検討する際、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。いずれも基本的なことばかりですが、下記にまとめてみました。

記録簿にきちんと記録が残されているか

販売されている中古車がどのディーラーで新車整備を受け、法定点検を行い、車検をクリアしてきたのか。その際の交換した部品はどこなのか。ありとあらゆる情報が記録簿に残されています。すべてが手帳に記されていなくても、明細が添付されていればokです。つまり、過去の履歴がきちんと終えるかどうか。このあたりの情報がしっかりと残っているクルマであれば、多少走行距離が伸びていたとしても安心材料になる重要なポイントといえます。

内装のコンディション

外装はガレージ保管や、洗車およびコーティングをすることである程度のコンディションを保つことができます。しかし、内装は歴代オーナーの使い方が如実に表れるポイント。運転席のサイドサポート(右ハンドルであればシートの右側、左ハンドルであればシートの左側)がすれている、しわが多い場合は手荒く扱われていた可能性があります。運転席のサイドシルに傷が多いクルマも同様です。本当にクルマを大事にするオーナーであれば、傷がつかないよう、常にこのあたりの配慮を忘れないからです。

タイヤの摩耗具合(特にサイド)

カイエンは重量級のクルマである以上、タイヤの摩耗が激しいのはやむを得ないといえます。問題はサイヤの角やサイドウォールの劣化です。ハイスピードでコーナリングを繰り返すと、この部分が溶けて摩耗し、著しく劣化します。特にフロントタイヤの角の摩耗が激しいクルマは要注意。前オーナーが重心が高いカイエンでハイスピードなコーナリングを行っていた可能性が高い(手荒く扱われていた)と考えるべきでしょう。

フロントバンパーやボンネットの飛び石

スポーツカーであれば「走り屋の勲章」などと呼ばれるフロントバンパーやボンネットの飛び石ですが、いざ中古車として自分が購入するとなったら、不用意な傷はできるだけ避けたいもの。フロントバンパーやボンネットに飛び石の傷が多数あるクルマはハイスピードで高速道路を移動していた可能性が高いです。併せてフロントガラスに飛び石の傷がないかしっかりとチェックするように心掛けてください。

プロテクションフィルムの施工の有無

先述の飛び石や、機械洗車によるブラシ傷からボディの塗装面を保護してくれるプロテクションフィルム。欲しいクルマにプロテクションフィルムが施工されていればラッキーです。長年にわたる風雨、飛び石、虫などのダメージを受けても、このフィルムが劣化を抑え、車の美しさを長期間保ちます。他にも車のボディカラーの鮮やかな発色、輝き、艶を維持できるメリットもあります。

プロテクションフィルムは寿命があり施工から5、6年前後で張り替えなければいけませんが、上記のようにクルマの経年劣化を防ぐことで、愛車の価値を維持するのに役立ちます。購入後もプロテクションフィルムで保護し続けることで将来的に車を手放す際にも良いリセールバリューを期待できるでしょう。

フロントおよびリアバンパーの傷

全幅が2000mm近い大柄なボディを持つカイエン。パークセンサーなど、接触を避けるための装備がありますが、丸みを帯びたボディはなかなか見切りがつかみにくいことも事実。それだけに、道が狭い都市部などで使われたクルマは小傷が多いのは仕方ないともいえます。問題はその傷がきちんと補修されているかどうか。傷を残したまま手放されたクルマは大切に扱われていた可能性が低いので注意が必要です。

ホイールのガリ傷

ついうっかりやってしまいがちなのがホイールのガリ傷。特に、パレット式の駐車場に止めているクルマだと、カイエンのような大柄なボディだと幅もギリギリというケースも少なくありません。ちょっと油断するとホイールをヒットさせてしまうのです。ただ、傷が気になるオーナーであれば専門の業者に依頼して修復してもらいます。ホイールのガリ傷が多いクルマは雑に扱われていた可能性が高いといわざるを得ないでしょう。

できるだけ多くの中古車を見る

一般のユーザーである以上、中古車販売のプロと同レベルの眼力を持つのは難しいものの、多くの中古車をチェックすることで見る目が養われ、自然とウィークポイントが分かるようになってきます。いわゆる「勘が働く」ようになるのです。どうしてもコンディションの良いカイエンを手に入れたいのであれば、手間と時間を惜しまず「ピンときた」物件は実車を見るようにしてください。その努力は必ず報われます。

本気で欲しいクルマは必ず試乗を

見た目のコンディションを見極める目を養うと同時に、本当に「このカイエン買ってもいいかも……」と思えるクルマに出会った場合、可能な限り試乗させてもらうか助手席に同乗させてもらうようにしてください。ATのシフトチェンジがギクシャクしていたり、走行中に異音を発したり。動かしてみて初めて分かることが必ずあります。やはりクルマは「動いてナンボ」というわけなのです。

まとめ:カイエンの中古車探しは販売店の出会いで勝負が決まる!?

人間ひとりひとりに個性があるように、新車の時点ではほぼ均一のコンディションでラインオフしたはずのクルマにも、オーナーの手に渡った瞬間からそれぞれ人生ならぬ車生(こういう単語は存在しませんが)がはじまります。

見た目は同じカイエンでも、ファミリーカーとして家族同然に大切に乗られつつも、車内では子どもたちが食べ物や飲み物をこぼして汚れたり、時にはシミになったりすることも。一方では富裕層の家庭の足車としてガレージに保管されつつも、いつも都市部の渋滞にハマり、近所を少し移動するばかりでエンジンに負担がかかったり……と、納車から数ヶ月〜半年もすればそれぞれのコンディションに明確な差が生まれます。

コンディションの良いカイエンかどうかを一般のユーザーが見極めることは不可能ではありませんが、それなりの鍛錬が必要であることも事実(経験値を上げた方がいいのも事実)です。

自身の審美眼を鍛えつつ、安心して愛車選びを託せる中古車販売店に出会えれば理想的です。

われわれトップランクは、こだわりのあるユーザーの方たちのニーズを満たし、なおかつご満足いただけるコンディションの輸入中古車を取りそろえています。クルマは決して安い買い物ではありません。まして、ポルシェカイエンともなれば中古車といえども高額です。

実車を見てみたいと思うカイエンをはじめ、輸入中古車がありましたら、お近くのトップランクにぜひ足を運んでスタッフにお声掛けください。ユーザーの皆さまのご不安を払拭し、さらに「思い切って手に入れて良かった!」そう思っていただけるために、可能な限りベストを尽くします。

 

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