F80型BMW M3 セダンはファミリーユースに使える乗り心地を確保しているのか?

1台で趣味と実用性を兼ねたクルマが欲しい。腰高なSUVよりも、スポーティなクルマがいい。ステーションワゴンよりセダンが好み・・・となると、選択肢はグッと限られてきます。

そのなかでBMW M3 セダンは外せない1台といえるでしょう。しかし、現行モデルは中古車であってもほぼ1000万円オーバー。さすがにこれはちょっと予算的に厳しい。そうなると、先代モデルにあたる「F80型」が視野に入ってきます。

F82型BMW M4クーペモデルが存在するなか、あえてセダンを選ぶわけですから、ファミリーカーとしてのニーズも視野に入れている可能性が高いでしょう。

そこで今回はF80型BMW M3 セダンの乗り心地に関することを軸にご紹介します。

目次

F80型BMW M3 セダンの概要

2014年にデビューしたF80型BMW M3 セダンは、BMW M3としては5代目、「M3」が4ドアセダン専売モデルとなってからは2代目にあたります。おそらくはマニアが思わずニヤリとするであろうポイントのひとつに、ボディやサスペンションの大部分にCFRP(炭素繊維強化プラスチック)が採用されています。つまり、軽量化にも重きを置いていたことが見て取れます。

さらに軽量のアルミニウム素材を採用するなど、車両の要所要所に適切な素材を使用することを念頭に置いた「インテリジェントライトウェイト構造」によるノーマルのBMW3シリーズとは一線を画す仕立てとなっています。

F80型BMW M3 セダンが他のBMWとどのように違うのか?

F80型BMW M3 セダンと、ノーマルのBMW3シリーズの違いといえば「名実ともにスポーツセダンであるF80型BMW M3 セダン」と「BMWらしさが味わえるスポーティセダン・・・がノーマルのBMW3シリーズ」というくらい違いがあるのです!つまり、BMWというバッジこそ同じですが、中身はまったくの別モノのクルマです。

ハイライトともいえるエンジンですが、ノーマルのBMW3シリーズに搭載されるエンジンの大半が2リッター直列4気筒エンジンであるのに対して(ガソリンとディーゼルエンジンを選ぶことができた)、F80型BMW M3 セダンは、BMW伝統の「ストレート6」が復活。ポルシェ911のエンジンが「水平対向6気筒エンジンこそが”是”」であるように、BMWといえば直列6気筒エンジン搭載車こそが王道と考える方も少なくないはずです(もっとも、E30型の初代M3は直列4気筒エンジンでしたが・・・)。

Mシリーズの中でF80型BMW M3 セダンはどういう立ち位置なのか?

またBMWの傾向として、3シリーズよりは5シリーズ、5シリーズよりは7シリーズといった具合に、スポーツ性よりもラクジュアリー要素の味付けが強まっていく傾向にあります。Mシリーズであれば、M3/M4よりはM5、そしてM6の方がラグジュアリーな色合いを強めていくのです。

その味付けの違いは、BMWファンでなくともクルマをこよなく愛するファンならすぐに体感できるはず。つまり、数多くのモデルバリエーションが存在するBMWにおいて、M3/M4はかなりスポーツ性に振ったモデルであるといえます。それはつまり、極端に実用性を犠牲にすることなく、BMWならではのスポーツドライビング、ひいてはBMW Mの世界を堪能できるクルマでもあるのです。

ひょっとしたら、BMWはM3/やM4こそが本命で、ノーマルのBMW3シリーズは一般ユーザー向け(大胆なこといえばデチューン版)にした・・・とすら思えてくるほど「気合いが入りまった」なモデルであることが伺えます。

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F80型BMW M3の主なスペック

項目スペック
全長×全幅×全高4685×1875×1430mm
ホイールベース2810mm
駆動方式FR
排気量2979cc
エンジン直6DOHCツインターボ S55B30A
最高出力431ps (317kW)/5500〜7300rpm
最大トルク56.1kgm (550Nm)/1850-5500rpm
ガソリンタンク容量60L
燃料ハイオク
燃費(JC08モード)12.2km/L
トランスミッション7速DCT
ハンドル位置右ハンドル
タイヤサイズ(フロント)255/35ZR19 92Y
タイヤサイズ(リア)275/35ZR19 100Y

F80型BMW M3 セダンのボディサイズは、全長×全幅×全高:4685×1875×1430mm、ホイールベースは2810mmです。駆動方式はFR、排気量2979cc、高精度ダイレクトインジェクションシステム・ダブルVANOS(吸排気可変バルブタイミング)・バルブトロニックを組み合わせた、伝統の直6DOHCにツインターボで武装した「S55B30A」エンジンを搭載。最高出力は431ps(317kW)/5500〜7300rpm、最大トルクは56.1kgm(550Nm)/1850-5500rpmを発生。

ガソリンタンクの容量は60L。ガソリンはハイオク指定です。気になる燃費は、燃料消費率JC08モード(国土交通省審査値)で12.2km/Lを達成するなど、高性能だけでなく、環境にも配慮した仕様となっています。ただし、これはあくまでもカタログ数値であり、おおよその実燃費は7.0km/L前後と想定しておいた方がいいでしょう。トランスミッションは7速DCTのみ。ハンドル位置は右ハンドル仕様のみです。タイヤサイズは、フロントが255/35ZR19 92Y、リアが275/35ZR19 100Yです。

F80型BMW M3 セダンとF82型BMW M4クーペとの違いは?

F80型BMW M3 セダンとF82型BMW M4クーペとの違いについてですが、まずはボディ形状。前者は4ドアセダンであるのに対して、後者は2ドアクーペです。当然ボディサイズも異なります。F82型BMW M4クーペのボディサイズは、全長×全幅×全高:4685×1870×1385mm、ホイールベース2810mm。全長は同一、全幅はM4クーペの方が5mm狭く、全高は45mm低くなっています。ホイールベースは同一です。デビュー当時の価格はF80型BMW M3 セダンが1104万円、F82型BMW M4クーペが1126万円。いずれもここにオプション品が加算されていきます。ハンドルの位置については、F80型BMW M3 セダンは右のみ、F82型BMW M4の6速MTモデルは左ハンドルも選択可能です。

F80型BMW M3 セダンの乗り心地と実用性について

F80型BMW M3 セダンの乗り心地およびハンドリングについて

ツインターボ化されたとはいえ、直列6気筒エンジンとFRの組み合わせ。しかも新開発、排気量2979cc、直列6気筒Mツインパワーターボエンジンという力の入れようです。エンジンにも「M」の名が冠してあるあたりに、BMWに対するこのモデルへの情熱が垣間見えます。そして、オーナー予備軍にとってはたまらないポイントといえるでしょう。

トランスミッションは「ドライブロジック」と呼ばれる7速DCT。いわゆる「2ペダルMT」です。ノーマルの3シリーズがトルクコンバーター式のATであるのに対して、M3/M4は7速DCT・・・。それはつまり、よりスポーツドライビングを楽しむための身支度です。ハンドリングはまさに「オンザレール」。痛快のひと言に尽きます。このフィーリングに満足できないとしたら・・・「軽さは正義」がご自身の好みだと認識(自覚?)していただいたうえで、車重が1000kg前後のライトウェイトスポーツモデルをおすすめします。

F80型BMW M3 セダンは街乗りに使えるのか?

結論としては「街乗りに使える」です。

乗り心地に関しては、セッティングを変えられるとはいえノーマルのBMW3シリーズより硬いことは事実です。ただ、この「硬さ」の感覚は人それぞれ。クルマにそれほど詳しくない、そもそも興味がない人にとっては「気にならない」「気がつかない」レベルである可能性もあります。

同乗者にあれこれと説明して「要するに乗り心地が悪いんでしょ?」とあらぬ方法に物事が進むより、当初から「こういうものだから」と啓蒙(思い込ませる?)のも手です。

そのあたりは同乗者(多くの場合は奥様になると思われますが)のクルマに対する知識や興味、友人や知人のクルマに乗せてもらうときの車種まで把握できていると対処がしやすいでしょう。仮に奥様のご友人や知人がアルファードなどのミニバンや、ポルシェマカンといったSUVを所有していて、乗る機会が多いとしたら・・・F80型BMW M3 セダンの乗り心地に対してひと言もの申してくる可能性は否定できません。

乗り心地・マフラー音・エンジンレスポンスはそれぞれセッティングできる

F80型BMW M3 セダンは、シフトレバー横に備えられた「エンジン」「足まわり」「ステアリング」3つのボタンを駆使することで、それぞれ3段階に調整が可能です。さらに、ステアリングのスポーク部分に配置されたボタンで走行特性を変えることもできます。当然ながらもっともハードなセッティングにした方が「M3」らしさが味わえます。しかし、それでは疲れてしまうかも。走行シーンやオーナーの気分、同乗者の有無などによって好みのセッティングを探し出す楽しみもありそうです。

トランクに荷物は積めるのか?

世界に誇るスポーツセダンの雄でもあるF80型BMW M3 セダン。ファミリーユースを考慮した場合、トランクの容量も気になるところです。実際には480リッター(M4クーペは445リッター)と、必要にして充分の容量といえるでしょう。リアシートの背もたれは2分割の可倒式となっており、いわゆるトランクスルー機構も備えています。ただし、お子さんが小さく、トランクにベビーカーを載せて旅行に行く場合などはあっという間にスペースが埋まってしまうため注意が必要です。できれば購入前に実車で試してみるのが正解でしょう。ある意味では試乗と同じかそれ以上に重要なチェックポイントといえそうです。

内装などの豪華さは高揚感が味わえたり、高級車に乗っているという満足感が得られるのか

デビュー当時のF80型BMW M3 セダンの車両本体価格は1104万円。名実ともに高級車です。では、それに相応しい内装の仕立てとなっているのでしょうか?その答えは「YES!」です。ナパレザー仕立てのダッシュボード、バケット形状のレザースポーツシート、もちろんリアシートもレザー張りです。さらに、オプションでBMWインディビデュアルが手掛けた、レザー素材のダッシュボードが装備されているとさらに高級感が増します。これにアルミ素材のデコラティブパネルがアクセントとして装備され、高級感にスポーティーさや硬質感がプラスされます。さらに、ハーマンカードン製のオーディオシステムが備わることで、より上質な移動空間を味わえるでしょう。

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F80型BMW M3 セダンはどんな人にオススメなのか?

予算が1000万円未満で、ハイパフォーマンス4ドアセダンを探しているとしたら、F80型BMW M3 セダンは選択肢から外せない1台のはずです。

では、どのような人にオススメなのか?やはり基本的にはファミリーユースが前提で、ゴルフや仕事、あるいはちょっとした空き時間のドライブなどでクルマの走りを楽しみたい方にこそ選んでいただきたいクルマです。また、自宅や周囲の駐車場は乗用車しか置けない、ファミリーユースといえどもミニバンやSUVには乗りたくない!というこだわり派にもオススメです。

近い将来、それが何年後になるか分かりませんが、純内燃機関を搭載したクルマに乗れなくなることを本能的に危惧しているクルマ好きの方も多いはずです。

仮にもしそうであれば、それなりのタマ数があり、BMWのストレート6のフィーリングが存分に味わえるF80型BMW M3 セダンをいまのうちに愛車として迎え入れる好機ともいえます。F80型BMW M3 セダンの初期モデルは2014年式。つまり、初年度登録ベースだと今年で丸10年、自動車税および重量税は初年度登録から13年経過すると増税の対象となります。あと数年で自動車税が15%増しになり、重量税もおよそ40%増しとなるのです。F80型BMW M3 セダンのエンジンの排気量は2979cc、車重は1640kgであることを考慮すると、あと数年で自動車税は年間8000円増し、重量税は年間12800円増しとなります。なかなか看過できない金額ではないでしょうか。

限られた予算と条件のなかで珠玉のフィーリングが味わえるF80型BMW M3 セダン。いまのうちに、ぜひその性能を存分に味わってください!

 

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