1963年のデビューからすでに60年以上、いちどもその血統が絶えることなく、今日まで在りつづけきたポルシェ911。クルマに詳しくない人でも、ポルシェといえば911を思い浮かべる人が多いほど、このメーカーを象徴する存在です。
その進化は時代の変化に抗いつつも、ポルシェ911のイメージを崩すことなく適応してきた歴史そのもの。やがていつしか「最新のポルシェは最良のポルシェ」という格言めいた言葉まで生まれるほどです。
現行モデルの992型で8代目となるポルシェ911は、それぞれのモデルに熱狂的なファンがいることも大きな特徴です。今回は歴代の911の歴史、そして各モデルの特徴を振り返ってみましょう。
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初代911(1963-1973)
911クラシックシリーズの誕生
1963年9月に開催されたフランクフルトモーターショー(IAA)において、ポルシェ356の後継となるポルシェ901が発表されました。
これが後のポルシェ911となります。フランクフルトモーターショーで高い注目を集め、1965年モデルから量産が開始されます。そしてこのクルマは、プジョーの商標登録の関係から911に改名されたのです。
オリジナルの911は、一体型ボディフレームのクーペモデルのみが生産され、搭載される2.0リッター水平対向6気筒エンジンは当初130psの最高出力を発生。
そして、1967年モデルの911シリーズには、固定式のロールオーバーバーおよび着脱式ソフトトップを備えたセーフティカブリオレ、モデル名「タルガ」が新たにラインナップされています。
1967年には911の最初のエンジンバリエーションを持つ高性能モデル911Sも市場に導入されました。その後はT、L、Eの名称を冠した各モデルが登場し、さらに1969年モデルでは、ホイールベースが57mm拡大され、快適性と走行安定性が向上しました。
そして1973年にはナナサンカレラこと、「カレラRS2.7」が限定生産され、高い人気を誇りました。
空冷エンジンの特徴と性能
エンジンの発熱を空気で冷却する「空冷エンジン」。かつてはスバル360など、黎明期の日本国内でも採用されていたエンジンの冷却方式です。
リアにあるエンジンフードを開けると「クーリングファン」と呼ばれる扇風機の羽根のようなファンが視界に入ります。
これこそがポルシェ911に搭載されるエンジンのアイコンであり、象徴ともいえる存在です。さらにピストン&コンロッドが地面に対して水平に動く「水平対向エンジン」によって、重心が低く、RRレイアウト(リアエンジン・リアドライブ)がトラクションにも寄与しています。
そして、初期の911の最高出力は130psでしたが、空冷エンジン搭載の最終モデルとなった993型のスペシャルモデル、911GT2の最終モデルでは、最高出力が450psにまで到達しました。
最高速度も200km/h弱だったものが300km/hオーバーへと大幅に向上しています。
また、「空冷サウンド」とも形容される独特の乾いたエンジン音も、ポルシェ911には欠かせないアイデンティティでした。しかし、996型より水冷式の水平対向6気筒エンジンへと置き換わったため、音色が変わってしまったのです。
空冷エンジンを搭載した911がいまだに熱狂的に支持される理由のひとつとして、この「空冷サウンド」が大きく関係していることは間違いありません。
初代911の現在の中古車相場
日本では「ナローポルシェ」という名で親しまれている初代911。昨今、このナローポルシェの人気が高まり、相場は上昇しつつあります。年式を問わず、よほどコンディションやオリジナル度合いを妥協しない限り、1,000万円以下の個体を探すのは困難。
高性能バージョンである「911S」は軒並み2000万円以上、「ナナサンカレラ」ことカレラRS2.7にいたっては7000万円以上と、コレクターズアイテムとなった感があります。
930型(1974-1989)
販売期間1973〜1989年の15年のロングランモデル
歴代の911史上、もっともロングセラーモデルとなったのが1973〜1989年の15年間で発売された930型です。1978年から1983年モデルまでの間、NAエンジンモデルは911 SCのみが生産されました。
1978年モデルでは、911は2種類のモデルが用意され、911とカレラモデルは911 SC (Super Carrera)に代わりました。1984年モデル以降、SCモデルは再び911カレラとなり、1989年まで生産されたのです。
911SCと1984年モデル以降のカレラの識別ポイントとして、フロントフェンダーのサイドインジケーターライトが挙げられます。また、1984年モデル以降の911カレラには、専用設計されたポリウレタン製フロントスポイラーおよびブラックのハードラバーボーダー付フラットリアスポイラーがオプションで用意されました。
そして1987年モデルからはトランスミッションがそれまでの915タイプからG50型へと変更。どちらのフィーリングが好みなのか、常にマニアのあいだで議論の対象となっています。
ターボの登場
930ターボ、いわゆる「ポルシェ911ターボ」は、リアフェンダーが120mmも張り出したリアフェンダーが特徴的な、911の頂点に君臨するモデルです。
リアホイールアーチの前部にはブラックのストーンガードフィルムが装着され、リアリッドにはブラックのワイドなハードラバーボーダー付の独特なリアスポイラーが備わります。
1977年モデルまでリアリッドにはグラスファイバー強化プラスチックを採用していました。そして1978年モデル以降は、リッドにはシートスチールを使用し、インタークーラーを取り付けるためのプラスチック製固定式リアスポイラーはさらに大型化されています。
また911ターボの特徴のひとつにエキゾーストシステムにデュアルチューブテールパイプを設定しており、ターボチャージャーの過給圧制御バルブが開くと、排気ガスは左側のテールパイプからのみ排出されます。
さらに1987年モデル以降、ターボモデルにもタルガおよびカブリオレのボディタイプが用意されました。1989年モデルでは、それまでの4速マニュアルミッションに代わり、5速仕様となりました。
930型の現在の中古車相場
現在の中古車相場は初期モデル/SC/カレラ系で1,000万円〜、ターボにいたっては価格応相談といった状況です。
964型(1989-1994)
フルモデルチェンジによる大幅な進化
930型の段階的な生産終了と同時に、1989年モデルからで新世代モデルが導入されました。それが964型です。4WDモデルのカレラ4では、85%のパーツが新しく設計されつつ、911のフォルムの大部分は継承されています。
また964モデルにはクーペ、タルガ、カブリオレがラインナップされました。930型と比較して964はエアロダイナミクスが優れており、フロントおよびリアセクションの流麗なフォルム、そして電動可変リアスポイラーの採用が寄与しています。
「ティプトロニック」という名のセミAT&4輪駆動のカレラ4の登場
911カレラ4は、4WDシステムを初めて搭載した911モデルです。電子制御式のフルタイム4WDシステムは、通常フロントアクスルに31%、リアアクスルに69%の比率でトルクを伝達しますが、走行状況に応じてトルク配分を変化させることが可能なシステムです。
また、カレラ4のセンターコンソールにはトラクションスイッチが装備されています。964型に搭載される3.6リッターエンジンの最高出力は250psを誇ります。そして1990年モデルからは、ファン待望の後輪駆動モデルカレラ2が導入され、セミオートマチックの「ティプトロニック」も設定。
さらに1991年モデルからはターボモデルが、1992年モデルでは930型のSC-RS以来となる「カレラRS」が限定発売され、ラインナップに加わりました。
964型の現在の中古車相場
現在の中古車相場はカレラ系で1,000万円〜、カレラ2(MT)にいたっては2000万円近い個体も珍しくありません。カレラRSやターボにいたってはほぼタマ数がなく、いずれも価格応相談といった状況です。
993型(1994-1998)
最後の空冷エンジン搭載モデル
1994年モデルから993へとフルモデルチェンジを果たしました。ハイライトとして、フロントフェンダーは、よりワイドかつフラットな形状へと変更され、その結果、ラゲッジコンパートメントリッドが短くなったため、930型から964まで装備されていたボディとフロントバンパー間のラバーリップがなくなっています。
そしてリアフェンダーはさらに拡大(ボディ形状も3ナンバー規格に)されています。993は当初、後輪駆動のクーペおよびカブリオレがデビュー。カレラおよびタルガは最高出力272PSを生み出す新しい3.6リッターエンジンを搭載。1996年モデルでは可変バルブシステムであるバリオラムエンジン仕様となり、最高出力は285psまで高められました。
モデルラインナップでは、1995年モデルで新たにビスカス式マルチプレートクラッチを採用した4WDモデルのカレラ4と911ターボがデビュー、RSモデルがカタログモデルとして追加され、ホモロゲーションモデルである911GT2が限定生産されました。
そして1996年、1997年モデルでカレラ4SとカレラSが新たに加わっています。また、1996年モデルで追加されたタルガは、それまでの着脱式ソフトトップに代わり、ラミネート加工が施されたティンテッドガラス製の大型電動スライディングルーフを初採用。これにより、タルガ伝統のロールオーバー・バーがオミットされています。
リアサスペンションのマルチリンク化
993型より、リアのサスペンション形式がそれまでのセミトレーリングアーム式からマルチリンク式へと変更されました。その結果、リアの接地性、コーナリング時の安定度、そしてリアのトラクションが劇的に向上。これまでにない操縦安定性を手に入れたと同時に、ボディの重量が少しずつ増えていったのもこの頃からです。
993型の現在の中古車相場
先代の964型でティプトロニック仕様の911がすっかり浸透し、当時、新車の993カレラの7〜8割がティプトロニックといわれていました。
そのため、カレラ(MT)は稀少であり、人気が高いモデルです。964では限定モデルだった993RSはカタログモデルに。しかし、「クラブスポーツの外観に素のRSの内装」を持つ日本仕様は海外でも人気が高く、つぎつぎに輸出されている現状があります。
現在の中古車相場はカレラ系で1200万円〜、カレラ(MT)にいたっては1500万円〜近い個体も珍しくありません。モデル後半で追加されたカレラ4、カレラS/カレラ4S、カレラRSやターボにいたってほぼタマ数がなく、いずれも価格応相談といった状況です。
996型(1998-2005)
水冷エンジンへの移行
1998年デビューの996型は、ボディが大きくなり、水冷式のエンジンが採用されるなど「911カレラ」の名称と水平対向6気筒エンジン以外はまったくの別モノです。
さらにボディシェルの強化には、両側に亜鉛めっきの鋼板と高強度鋼が用いられています。この996型のサイドミラーは、ドアではなく、サイドウインドウの前に固定されるようになっています。また、フロントフード、ロー/ハイビーム付きフロントヘッドライトユニット、インジケーターおよびテールライト、フロントフェンダーとドアは、コスト削減のため、911カレラとボクスターで同一のものとなっています。
ボディサイズの拡大と重量増加
911の歴史上、実質的には初のフルモデルチェンジともいえるのが996型です。カレラボディであっても全幅が1765mmとなり、964の時代と比較すると100mmほどワイドボディとなっていることが分かります。
- 964カレラ2:全長×全幅×全高:4245×1660×1310mm/車両重量:1370kg
- 993カレラ:全長×全幅×全高:4245×1730×1310mm/車両重量:1370kg
- 996カレラ:全長×全幅×全高:4430×1765×1305mm/車両重量:1380kg
しかし、車両重量は993の時代と比較してもごくわずか。これはポルシェのエンジニアリングの勝利であり、また意地ともいえる結果だといえます。
996型の現在の中古車相場
歴代911のなかではもっとも安価で手に入れられるモデルであり、現在の中古車相場はカレラ系で300万円〜となっています。
しかし、カレラ(MT)は人気があり、こちらは450万円〜。もっとも人気が高いのが996型からデビューしたGT3で、こちらは1,000万円〜。その他、カレラ4Sやターボも相場が上がりつつあり、700万円〜となっています。
997型(2005-2012)
996型の進化形としての改良
2005年、ポルシェ911は997型へと進化。実質的には996をベースにしたリファインモデルです。しかし、996型で賛否あったヘッドライトが丸形へと回帰。全体的なフォルムも空冷時代の911を想起させるものであり、これが人気を博します。
997型ではさまざまなボディバリエーションが展開され、クーペ、タルガ、カブリオレといった定番モデルから、伝統のスピードスター、ターボおよびターボS、カレラ系のトップモデルであるGTS、スポーツバージョンのGT2、GT2RS、GT3、そしてGT3RSが販売されています。
その結果、モデルバリエーションは30車種におよびます。さらに多くのカスタマイズオプションが用意され、より自分の理想に近いセミオーダーメイドに近い仕様が手に入りやすくなったのも997型からといえます。
スピードスターやGT2RSなどの限定モデルの人気
997型が初となるGT2RSは世界限定600台。その他、964以来の復活となるスピードスターが世界限定356台(ごく少数ながら993型のスピードスターも生産されました)、また、カレラRS2.7を彷彿させるダックテールを備えたスポーツクラシックは世界限定250台、GT3RS 4.0が600台と997型は相次いで限定モデルが発売されました。
中国市場のみ10台限定で「911 Turbo S 10 Year Anniversary Edition」といったレアなモデルも存在します。
997型の現在の中古車相場
現在の中古車相場はカレラ系で400万円〜、カレラ(MT)は人気が高く700万円〜。カレラ4/カレラ4Sで650万円〜、ターボは750万円〜。GT3は非常に人気が高く、1500万円〜となっています。
991型(2012-2019)
プラットフォームの刷新と軽量化
そして2011年、991型がデビュー。この991型は、トレッドが拡大されてホイールベースが100mm延長されたこともあり、歴代モデルよりも大柄な印象を受けます。
ポルシェの市販スポーツカーとして初採用されたアダブティブエアロダイナミクスは、ハイブリッドスーパースポーツである918スパイダーから引き継いだもの。また、アルミとスチールを併用して剛性がより高まった軽量構造ボディは45kgの軽量化に成功しています。
ベースモデルの6気筒エンジンは総排気量が3.4リッターと小さくなりつつも、最高出力は350psを発揮。さらに3.8リッターエンジンを搭載したカレラSでは出力は400psに、カレラGTSでは430psを誇ります。
ターボエンジンの小排気量化と高出力化
991では2015年のフェイスリフト以降、911カレラでもツインターボが採用されています。3リッターエンジンとの組み合わせで、カレラの3つのバージョンであるベーシック、SとGTSでの出力は、それぞれ370 PS、420 PS、450 PSとなりました。911カレラは0から100 km/hの加速で初めて4秒を切ると同時に、燃料消費量と排ガス排出量の低下にも成功しました。
991型の現在の中古車市場
現在の中古車相場はカレラ系で700万円〜、カレラ(MT)は991型でも人気が高く1100万円〜。カレラ4/カレラ4Sで900万円〜、カレラGTS系は1500万円〜、ターボは1700万円〜。GT3はやはり非常に人気が高く、2000万円〜となっています。
992型(2019-現在)
最新世代の911の特徴
992型であるポルシェ911の最大の特徴は、市街地、高速道路、ワインディングロード、サーキットに至るまで、走る道を問わず安心かつ快適にスポーツカーの走りを楽しむことができます。
従来は一部のモデルにのみ設定されていたワイドボディを全モデルに採用し、後輪のトレッドを拡大して安定性を高めています。これとバランスをとるために前輪のトレッドも全モデルで拡大。くわえてリアホイールを大径化し、4輪のロードホールディングを格段に向上させ、道路や天候に左右されにくい安定した挙動を実現しました。
そしてボディにアルミなどを多用して軽量化を図り、サイズ拡大に伴う重量増を相殺している点も992型の特徴です。ボディ単体重量を先代より12kg軽い240kgとする一方で、ボディの曲げ剛性とねじれ剛性はいずれも5%向上しています。
さらにリアスポイラーを始めとする空力パーツを電子制御式とし、走行安定性と燃費のバランスを最適化しました。
ハイブリッド技術の導入と将来の展望
911の製品アップグレードは2024年夏に予定されており、ハイブリッドドライブモデルのデビューが確実視されています。
あくまでも推測ですが、当面は純内燃機関モデルとハイブリッドモデルを併売し、モデルチェンジを繰り返すごとに後者の比率を高めていくものと予測しています。
992型の新車価格
カレラ (PDK): 1335万円
カレラS (PDK): 1666万円
カレラ4S (PDK): 1772万円
カレラ4 (PDK): 1504万円
タルガ4 (PDK): 1729万円
カレラ4S (PDK): 1835万円
タルガ4S (PDK): 2060万円
ターボ (PDK): 2443万円
ターボS (PDK): 2892万円
現行モデルということもあり、カレラ系で1300万円〜、カレラSで1700万円〜、GTSおよびタルガ系は2000万円〜といった個体が大半です。GT3およびターボ系は3000万円以上といった状況。992型の新車が入手困難であることもあって、中古車相場は高値安定が続いています。
歴代911の比較まとめ
デザインの変遷と特徴
ポルシェ911というクルマそのもののフォルムは1963年のデビュー当時から、さらに、先代モデルにあたる356から変わっていません。
つまり、1948年から今日まで、およそ80年にわたって変わっていないことを意味します。2+2のクーペボディ、RR(リアエンジン・リアドライブ)の駆動方式、低くマウントされた水平対向6気筒エンジン。
これらの要素を合理的に煮詰めていったフェルディナント・ポルシェ博士に由来し、そして911の生みの親であり、孫にあたるフェルディナント・アレクサンダー・ポルシェによって生み出された形状です。
エンジン性能の進化と特性
空冷フラットシックスエンジン、つまり、空冷6気筒SOHCエンジンとしての歴史は1963年の901型から1997年に生産終了する993型まで、基本的な構造は変わりませんでした。
そして、日本車などと大きく異なるのが、部品の公差です。例えば、6個のピストンやコンロッドの重量差、クランクシャフトのねじれなど、工業製品上問題ないとされる「公差」の許容される幅がとてもシビアなのです。まさにこの公差の幅の狭さがポルシェ911のエンジンの緻密さを生み出しているといえるでしょう。
シャシー技術の発展と操縦安定性
901型の頃はフロントのスペアタイヤの部分に重りを置き、テールヘビーな特性を抑えていたといわれるほど、911はエンジンをはじめとするリアに重量のあるものが集中しています。
モデルチェンジを重ねるたびにボディが大型化されワイドボディに。その結果、トレッドが広がり、少しずつ安定志向へと変化していきました。そしてカレラシリーズでは964型から、ターボ系では993型から4WDモデルが設定され、より安定志向が強まります。そして992型ともなれば、カレラボディであっても997型のターボと同じくらいの全幅を持ち、パワーを受け止めるべくより安定志向となっています。
歴代モデルの重量変化と要因
もっともベーシックなモデルを例に挙げると、901型の頃には1,000kgを切っていた車重も、930型で1,000kgオーバーに、そして長らく1500kgを切っていました。しかし992型では1500kgを超えるほどに。
衝突安全基準や走行安定性を高めるためにボディが大型化され、トレッドが広がり、エンジンの排気量が大きくなり・・・と、ポルシェ911という「袋」に詰め込むべき「具材」がつぎつぎと増えていったことによる影響と言わざるを得ないでしょう。
その結果、ポルシェ911はより速く、より快適に、よりイージーな方向へと進化していったのです。重量が増し、さらには乗り手を選ばない911なんて面白くないといった911ファナティックに対しては、GT3やGT3RSといったロードゴーイングレーサーモデルがあります。
時代や法規の厳格化に抗いつつ、常にその時代のスポーツモデルのベンチマークであり続けているポルシェ911という存在は偉大であり、驚異だといわざるを得ないでしょう。