今回はMシリーズのそれぞれの違いについて解説します。Mシリーズの購入を検討しているが、それぞれのシリーズの違いについて知りたいという方はぜひご覧ください。
BMW Mシリーズの特徴とは
以下ではBMWのMシリーズの特徴について解説します。
BMW内の位置付け
BMW M社がレースで得たノウハウを惜しげもなく注ぎ込んだ究極のスポーツカー、それが「Mモデル」です。BMW M 社が開発する「Mモデル」には2つのカテゴリーがあります。
1つはサーキットでの本格的な走行を可能とした「Mハイパフォーマンスモデル」、もう1つは本格的なサーキット走行で培われた技術を余すことなく投入し、飛躍的に走行性能を高めた「Mパフォーマンスモデル」です。
Mシリーズが人気の理由
「駆けぬける歓び」をスローガンに掲げるBMWをベースに、BMW M社がさらに磨きを掛け、よりスポーティでレーシングカーに匹敵するハイパフォーマンスを与えたモデルがBMW Mシリーズといえます。
実用的でありながら、その控えめな外観からは想像がつかないようなハイスペックを内に秘めている「さりげなさ」も人気のひとつと言えそうです。
見る人が見れば「ただ者ではないBMW」と識別できますが、クルマに興味がない人にとっては違いが分からないほどさりげなく、それでいて分かる人には分かる、「ツウ好み」なモデルであるといえるでしょう。
各BMW Mシリーズ(セダン・クーペ)の主な特徴とそれぞれの違い
M2(G87)について
BMW M2(G87型)は、1985年にデビューした「初代BMW M3」。1973年デビューの「BMW 2002 ターボ」の伝統を引き継ぐ、最もコンパクトなBMW Mモデルです。初代BMW M2 は2016年に発表され、今回のモデルが2代目となります。
M2(G87)の特徴
BMW M2 (G87型) は2023年2月にデビュー。コンパクトなボディに、最高出力460ps(338kW)、最大トルク550Nmを発生する直列6気筒Mツインパワーターボエンジンを搭載し、セグメント唯一のFRと約50:50の前後重量配分が特徴です。
俊敏なハンドリングと卓越したロードホールディング性能により、まさにアドレナリンがほとばしる「駆けぬける歓び」を存分に堪能できます。さらに、よりダイレクトに操作できるMT仕様も用意されています。
どんな方におすすめ?
「コンパクトなボディ+FR+直列6気筒Mツインパワーターボエンジン」という、クルマ好きであれば理想的ともいえるパッケージが最大の魅力です。さらに、ATだけでなく、MTも用意されます。
恐らく近い将来、確実に過去のものとなる内燃機関のクルマのフィーリングを、今のうちに存分に味わいたい方におすすめです。
M3(G80)について
BMW M3セダン (G80型) は2021年1月にデビュー。伝統的なスポーティさと最先端技術を融合させ、日常のドライビングにおいてダイナミックなまでに「駆けぬける歓び」を体現するモデルといえます。
BMW M3セダン (G80型) は最高出力480ps(353kW)、最大トルク550Nmを発生する高回転型の直列6気筒Mツインパワーターボエンジンを搭載しています。
トランスミッションはドライブロジック付き8速Mステップトロニックトランスミッションです。
M3(G80)の特徴
BMW M3セダン (G80型) は、サーキット走行を可能とするほどのハイパフォーマンスモデルでありながら、高性能3眼カメラ&レーダーと高性能プロセッサーによる高い解析能力の最先端運転支援システムが標準装備されています。
また、高速道路での渋滞時にドライバーの運転負荷を軽減し、安全に寄与する運転支援システム「ハンズオフ機能付き渋滞運転支援機能」が装備されています。
一定の条件下でステアリングから手を離しての走行可能なモデルであり、ハイパフォーマンスと高い実用性を両立したモデルといえます。
どんな方におすすめ?
取り回しが良く、ファミリーカーとしても使える4ドアセダン、パートナーが運転しても戸惑うことのないボディサイズ。それでいてハイパフォーマンスカーとしても一流のスペックを持つモデル。
すべてを高次元で融合した、実に欲張りなリクエストをかなえてくれる数少ないモデルとして、BMW M3セダン(G80型)を外すことはできないでしょう。実用性とハイパフォーマンスをいっさい妥協したくない方におすすめです。
M4(G82)について
クーペモデルであるBMW M4(G82型)は2021年1月デビュー。つまり、BMW M3セダン(G80型)と同じタイミングでデビューしています。
最高出力480ps(353kW)、最大トルク550Nmを発生する高回転型の直列6気筒Mツインパワーターボエンジンに加えて、クーペモデルにはよりハイパワーな最高出力510ps(375kW)、最大トルク650Nmを誇るエンジンを搭載する「BMW M4 Competition」も設定されます。
M3セダンと同様に、トランスミッションは、ドライブロジック付き8速Mステップトロニックトランスミッションとなります。
M4(G82)の特徴
極限のサーキット走行を可能とする「トラックパッケージモデル」を、BMW M4 Competitionのラインアップに設定しています(BMW M3にも設定あり)。
このモデルはさらなる運動性能向上を図るため、約25kgの軽量化を実現しています。また、Mドライバーパッケージ、Mカーボンセラミックブレーキ、Mカーボンバケットシートなどを標準装備とすることで、よりサーキット走行を意識したモデルとなっています。
どんな方におすすめ?
かつてBMW Mモデルといえば、クーペモデルのM3、セダンのM5という時代がありました。古くはBMW M3の名を冠していたモデルだけに、BMW M4にシンパシーを感じるクルマ好きの方もいるのではないでしょうか。
BMW Mモデルのなかでもレジェンドであり、王道ともいえるBMW M4。
クーペモデルならではの美しさと、リアシートに大人が乗れる実用性、さらにBMW Mモデルならではのハイスペック。
このパッケージングに魅力を感じる方にこそぜひおすすめしたいモデルです。
M5(G90)について
BMW M5(G90型)は2020年9月デビュー。BMW M社が開発したもっともハイパワーな最高出力600ps(441kW)、最大トルク750Nmを発生するV型8気筒Mツインパワーターボエンジンを搭載。
ドライブトレインは、ドライブロジック付き8速MステップトロニックトランスミッションとFRを重視した4輪駆動システムM xDriveを組み合わせ、高性能エンジンの性能をもっとも効率的に引き出し、路面に伝達することが可能なレーシングモデル(セダン)です。
M5(G90)の特徴
BMW M5(G90型)は高性能3眼カメラ&レーダーと、高性能プロセッサーによる運転支援システムが標準装備され、ドライバーの運転負荷を軽減する「ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能」も装備されています
よりハイパワーな「BMW M5 Competition」には、最高出力が625ps(460kW)という専用に開発されたV型8気筒エンジンが搭載され、車両構造部との接続部を強固なものにする専用のエンジンマウントを採用し、ダイレクトな動力の伝達を実現しています。
どんな方におすすめ?
BMW M3よりも大きなボディを持ち、大人4人が乗車する機会がある、より広い室内空間を持つBMW Mモデルのセダンが欲しいという方におすすめしたいモデルです。
ノーマルの5シリーズとの外観の差異はごくわずかで、よほどクルマに精通している方か、BMWオーナーでなければ気づかないほど、自然な仕上がりです。
ボディが大きく、重くなった分、俊敏さではBMW M3に譲りますが、実用性はもちろん、よりハイパフォーマンスを求める方にBMW M5はうってつけです。
M6 (F13)について
BMW M6 (F13型) は2012年4月にデビュー。クーペおよびカブリオレが用意され、エクステリアおよびインテリアにさまざまなMモデル専用のデザインを採用しています。
その結果、一目でノーマルの6シリーズとは違う、エクスクルーシブかつ機能美を追求したスタイリングになっています。
最高出力560ps(412kW)、最大トルク680Nmを発生するV型8気筒Mツインパワーターボエンジンを搭載、トランスミッションは7速のMダブルクラッチトランスミッションである「M DCT Drivelogic」です。
M6(F13)の特徴
ハイパフォーマンスエンジンおよびブレーキに冷却用空気を供給する大型エアインテークを備えたフロントエプロン、幅広いトレッドに対応した専用設計のフロントフェンダー、ハイ/ロービーム、フロントターンインジケーターなどに省エネルギーのLEDを採用。
フロントビューを強調するLEDヘッドライト、BMW Mのトップパフォーマンスを象徴するMデュアルツインエキゾーストテールパイプおよび空力特性を最適化するリアディフューザーを備えたリアエプロンを装着します。
また、BMW M6クーペに装備されるカーボンファイバー製のルーフは、軽量化と同時に車両の重心を下げ、運動性能をさらに高めることに貢献しています。
どんな方におすすめ
「世界一美しいクーペ」と称された初代BMW 6シリーズ (E24型) にもM6が存在しました。M6(F13型)はその血統を受け継ぐ後継モデルです。
4代目BMW 6シリーズは5ドアファストバックモデルとなったため、現時点では最後の「クーペボディを纏ったM6」でもあります。
「クーペ(カブリオレ)ボディを持つBMW M6」に強い憧れやシンパシーを抱いている方にとって、他に代わるクルマは存在しないでしょう。そんな「指名買い」を考えている方にこそおすすめしたいモデルです。
M8 (F92)について
BMW M8(F92型)は2022年3月デビュー。クーペおよびカブリオレ、さらにはデザインを実現しながら、4ドアによる利便性を高めたグランクーペの3つのバリエーションが用意されています。
最高出力625ps(460kW)、最大トルク780Nmを発生するV型8気筒Mツインパワーターボエンジンを搭載し、トランスミッションはダイナミックな走りを実現する8速オートマチックトランスミッションが組み合わされます。
M8(F92)の特徴
BMW 8シリーズは、エレガントで美しいルーフラインや、リアフェンダーの造形が醸し出す優雅さと官能的な個性を際立たせるクーペのスタイリングを高い次元で両立しています。
2枚ドアのクーペモデルをベースにオープンエアドライブが愉しめるカブリオレ、4枚ドアにより利便性を高めたグランクーペの3つのバリエーションが用意されます。
なかでもBMW Mモデルは、エクステリアデザインとインテリアデザインの変更により、さらにスポーティ感とラグジュアリーさが増しています。そして、BMW M 50周年記念にあたり、特別なMバッジをフロントおよびリアホイールに採用しています。
どんな方におすすめ
BMW Mシリーズにおける最高峰、頂点に君臨するモデルといえばこのM8です。クーペ/カブリオレ/4ドアグランクーペの3つのボディバリエーションが選べることも大きな魅力です。
純内燃機関を持つBMW Mモデルのなかでもトップに位置づけられるBMW M8。コンディションの良い個体が流通しているうちに一度でいいから所有してみたい…。そんなエンスージアストな方にこそ選んでいただきたいモデルです。
BMW Mシリーズを選ぶ際の基準とは
予算
クルマを購入するうえで、多くの人が避けて通れないものがあります。それは「予算」です。
金額に個人差はあるにせよ「あと100万円安ければ…」と感じたことがある方も少なからずいるでしょう。言うまでもなく、BMW Mシリーズを選ぶ際の基準として「予算」は避けて通れない項目です。
ここは曖昧にせず「どこまでが自分が維持できる予算枠なのか」を明確にしておくと、後々維持するうえで困ることも減るでしょう。
維持費
ノーマルのBMWよりもハイスペックが売りのBMW Mシリーズでは、使用される部品も高価なものが選ばれています。
タイヤ1本を例に挙げても、ノーマルのBMWよりも大経かつ扁平で、ハイグリップなものを選ぶことが求められます。
また、そうしなければMシリーズ本来のスペックやフィーリングを味わえないことになりかねません。
ハイパフォーマンスモデルの性能を維持するためには、消耗品や定期交換部品、車検をはじめとする法定点検、そして故障や修理のときなど。ノーマルモデルよりも維持費がかかることを意識(覚悟)しておく必要があります。
用途(セダン・クーペなど日常使いで検討)
ファミリーカーとして、セカンドカーなどの趣味車として。オーナーの用途に応じてさまざまなBMW Mモデルがラインナップされていることも、BMWの大きな魅力のひとつであり、このメーカーの良心ともいえます。
都市部など、駐車場の関係で1台であらゆることをカバーできるモデルが欲しい方もいるでしょう。そんな方にこそ、BMW Mモデルはうってつけです。
用途を満たしつつ、いざとなればハイパフォーマンスを思う存分楽しめるモデルであることは間違いありません!
好みで決める
せっかくクルマを買おうとしているのです。予算や維持費、用途を考慮しなければならないとしても「自分が本当に欲しいクルマとは何か?」を突き詰めて、自分に正直に、本能の赴くままに選んでもいいのです。
ましてや、購入を検討しているモデルがBMW Mシリーズであればなおさら…。理屈抜きで本当に欲しいクルマを選ぶ。妥協せず、多少無理をしても、この方法がもっとも満足できるのではないかと感じます。
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