ポルシェには2つのSUVモデルが存在します。兄貴分のカイエンと弟分のマカン。この2モデルだけでポルシェの年間販売台数の6割以上をカバーする、まさに主力車種、最強の2トップといえます。
2024年1月に、フルEVとなった2代目マカンターボおよびマカン4が発表されました。ポルシェにとって重要なモデルだけに今後の動向が気になるところです。
しかし、中古車市場では当分のあいだ初代マカンが主力モデルといえるでしょう。そんな人気モデルであるマカンを購入しても後悔することがあるのか?を考察していきます。
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マカンの一般的な評価
ここでは、マカン(この記事では初代モデルとして定義します)の一般的な評価について考察してみましょう。
マカンの主な特徴と市場での評価の概要
まずはじめに、マカンが市場で高く評価されている点について挙げていきましょう。2014年、ポルシェが放つSUVモデルの第2弾、カイエンの弟分としてデビューしたのがマカンです。デビュー前には「ベビーカイエン」などと呼ばれ(開発時のコードネームは「カイエン ジュニア」でした)、ポルシェのSUVには魅力を感じているけれど、カイエンでは大柄すぎて扱いきれないというユーザーのニーズを見事につかんだのです。
「ポルシェ」という誰もが知る有名ブランドと、自動車のカテゴリーにおいて屈指の人気を誇る「SUV」という組み合わせという時点で成功を約束されたようなものでした。さらに、価格帯もカイエンよりも安価で、エントリーモデルであれば新車価格で600万円台〜(デビュー当時)という手の届きやすさもあり、大ヒット。たちまちポルシェにとってなくてはならないモデルとなったのです。
一般的に高く評価されている点(デザイン、パフォーマンスなど)。
例えボンネットのエンブレムがなくても、見る人が見ればひと目でポルシェと分かるフォルム、エントリーモデルですら、0-100km/h加速を6.7秒で駆け抜けるハイパフォーマンスぶりを発揮。マカンはスポーツカーメーカーが手掛けるSUVに恥じないスペックを持ち合わせています。安直にSUVを造らないという、ポルシェの意地のようなものが感じられます。
そんなポルシェの姿勢は、ブランド品としてマカンを欲するユーザーだけでなく、911やボクスター/ケイマンといったスポーツモデルを好む、あるいは所有するポルシェフリークにも興味を持たせる魅力を兼ね備えているのです。ライトユーザーから熱心なポルシェマニアまで、マカンは幅広いユーザーのニーズに応えるパッケージングを持ち合わせているのです。
購入後に感じる可能性がある不満点の紹介
実際にマカンを所有するオーナーはこのクルマに対してどのような印象を持っているのでしょうか。
マカンオーナーが経験する一般的な不満点(例:燃費、メンテナンスコスト、内装の質感など)
では、マカンのオーナーはどのような不満を挙げているのでしょうか。
なかでも多かったのが「右ハンドル仕様特有のオフセット」です。もともとの設計が左ハンドル仕様であり、右ハンドル仕様はおまけ…とはいいませんが、本流の仕様ではないのです。そのため、右ハンドル仕様では違和感を覚える箇所がいくつかあり、なかでも足元のスペースの狭さが気になるオーナーが多いようです。
そして重量級のSUV特有の宿命として「燃費の悪さ」を挙げるケースもしばしば見受けられます。街乗りで5〜6km/L、高速で10km/Lとなれば、最近のエコカーの燃費になれてしまった身には燃費が悪いと感じざるを得ない数値かもしれません。
その他、マカン特有のフォルムゆえ、ラゲッジルームの狭さや、全幅が1900mmを超えるボディサイズゆえの安心して停められる駐車スペースの確保の難しさ、さらには都市部での取り回しの大変さを挙げる例も多く見受けられます。
パフォーマンスと快適性のギャップ
マカン
- 0-100km/h加速:6.7秒
- 最高速度:225km/h
- 燃費(WLTCモード):10.1km/L
マカンターボ
- 0-100km/h加速:4.5秒
- 最高速度:270km/h
- 燃費(WLTCモード):9.2km/L
もっともベーシックなマカンですら、0-100km/h加速が6.7秒、最高速度も225km/hというスペックの持ち主であり、トップグレードのマカンターボにいたっては、0-100km/h加速が4.5秒、最高速度も270km/hと、ひと昔前のスーパースポーツ並みのパフォーマンスを発揮します。
それでいて室内は911やボクスター/ケイマンといったクーペモデルとは比較にならないほど広く、大人4人が快適に移動できる空間が確保されています。SUVのボディ形状ゆえにミニバンのようなスライドドア機構は装備されていませんが、その点を妥協できるのであればファミリーカーとしても非常に頼りになる存在といえます。
パフォーマンス面での期待と実際の体験の違い
ここでは、マカンのパフォーマンス面について考察してみましょう。
運転中の快適性や乗り心地に関する実際のフィードバック。
本来であれば重心が高いSUVの高速のコーナリングは苦手な分野。しかしマカンであれば、ドライバーの技量次第ではスポーツカー顔負けの動きも可能です。さらにやレーンチェンジ時の安定性、安心感は、もはやSUVの域を超えたレベル。
さらに、オプションのエアサスペンション仕様車ともなれば、乗り心地も快適そのものです。マカン1台でファミリーユースから、SUVであってもスポーティな運転を楽しみたいというオーナー個人の嗜好性も満たしてくれる、まさにオールラウンダーなクルマといえます。
定期メンテナンス、修理、保険などの維持費用に関する詳細
ここではマカンの維持にかかる一般的な費用(ディーラー含む)に関する項目をチェックしてみましょう。
- 重量税:16,400円(49,200円÷3年分)
- 自動車税:51,500円
- 自賠責保険:15,520円
- 任意保険:80,000円〜140,000円(車両保険別)
ガソリン代:100,000円〜
- 法定1年点検:40,000円〜
- 法定2年点検+車検:250,000円〜
- エンジンオイル交換:50,000円〜
- ブレーキパッド(フロント/リア):150,000円〜
- ブレーキパッド&ディスク(フロント/リア):250,000円〜
- タイヤ(4本):300,000円〜
ポルシェというブランドの1モデルだけあって、全体的に維持費は高めです。2トンを超える車体をぐいぐい加速/停止させるため、タイヤやブレーキへの負担が大きくなります。つまり消耗するペースが早いということを意味します。特にタイヤは18インチ〜20インチと大きいサイズであり、さらにマカンの性能に見合う高性能タイヤを4本まとめて交換するとなると(ここを妥協するとマカン本来のパフォーマンスを味わえなくなります)、30万円以上の出費となってしまうのです。
他の車種やブランドとの比較
SUVという激戦区におけるマカンの優位性と劣位性、そしてライバルとの比較について考察してみましょう。比較するモデルはレクサスRXとマセラティ グレカーレです。
日常使用における不便さや制限。
- マカン:全長×全幅×全高:4696×1923×1624mm
- レクサスRX:全長×全幅×全高:4890×1920×1700mm
- マセラティ グレカーレ:全長×全幅×全高:4846×1948×1670mm
全長ではレクサスRXがもっとも長く、全幅ではマセラティ グレカーレがもっとも幅広いことが分かります。ただ、3台ともに全幅が1900mmを大きく超えています。
SUVではありませんが、分かりやすい比較対象として現行プリウスのボディサイズは全長×全幅×全高:4600×1780×1420mmです。現行プリウスと比較すると、いかにこの3台が大柄であるかが想像できると思います。特に全幅が1900mmをオーバーすると困るのが駐車場問題です。
特に古い設計の駐車場だと現代のクルマの規格にあっておらず、駐車スペースはギリギリ。クルマから降りるときも周囲を気にしながらようやく…といった事態になりかねません。また、隣車との距離が近い分、ドアパンチの心配もあります。
収納スペース、後部座席の広さ、車内の機能的な問題点。
- マカン 荷室容量:458リッター
- レクサスRX 荷室容量:612リッター
- マセラティ グレカーレ 荷室容量:535リッター
荷室の容量ではレクサスRXにアドバンテージがあります。ただ、3台ともにテールゲートの角度が傾斜しており、その分、荷室の容量を減っています。スーツケース、キャンプ用品、ゴルフバッグなど、積み込む荷物のサイズが大きく、さらに複数載せる場合、ギリギリになってしまう可能性もゼロではありません。自身の家庭環境やライフスタイルを想定したうえで、きちんと載せきれるのか、できれば実車を用いて確認してみてください。
- マカン ホイールベース:2807mm
- レクサスRX ホイールベース:2850mm
- マセラティ グレカーレ ホイールベース:2901mm
後席の快適性については、この3台のなかでもっとも全長が長く、全高も高いレクサスRXにアドバンテージがあります。しかし、マセラティ グレカーレのホイールベースの長さにも注目です。意外なところでは、独日伊それぞれに車内独得の「匂い」があります。一説には革の材質や内装の接着剤など諸説ありますが、この「匂い」が好みかどうかも判断材料として加えてみてください。
また、3台ともに純正ナビの使い勝手が今ひとつというであり、物理スイッチが小さくて使いにくい、あるいはナビの画面上で操作しないといけない点がストレスという共通の問題点を抱えています。現在、さまざまな現行モデルが同様の問題を抱えており、2024年1月にフェイスリフトされたフォルクスワーゲン ゴルフ8(通称ゴルフ8.5)では、タッチパネルの操作が不評であったため、物理スイッチの数を増やしたり、サイズを大きくするなどの改善が行われています。
マカンのリセールバリューと市場での需要
では次に、マカンのリセールバリューについて見ていきましょう。
ポルシェのラインナップのなかではもちろんのこと、SUVのなかでも人気が高いマカンのリセールバリューはどのくらいなのでしょうか。
リセールバリュー(年間走行距離は1万キロ未満、事故歴なしとして)
- 初年度登録から1年:94%〜97%
- 初年度登録から3年:68%〜71%
- 初年度登録から5年:44%〜49%
- 初年度登録から7年:35%〜39%
結論としては「リセールバリューが良いクルマ」ということになります。それはつまり、中古車としても人気(ニーズ)が高いことを意味します。新車のマカンは買えないけれど、中古車の価格帯であればどうにか手が届くというユーザーの需要を満たしているのです。
マカンはどんな方におすすめか?
最後に、マカンをおすすめしたいユーザー像を考察してみましょう。
ポルシェというブランドに魅力を感じ、なおかつ実用的なモデルを求めるファミリー層や、ポルシェであっても2ドアではなく、SUVのような快適性を求めるユーザーにおすすめしたいクルマです。
タイヤ等の消耗品の維持費や、全幅が1900mmボディサイズによる狭い道や駐車スペースでの取り回し等、実用面でクルマに合わせる点があることを許容できるとしたら、ぜひマカンを次期愛車として迎えてください。
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