今回は根強い人気を誇るBMW G30型 5シリーズについて、その魅力を解説します。
BMW 5シリーズ(G30)はどんなクルマ?その魅力とは
BMW 5シリーズは、BMWのセダンとしては3、5、7とシリーズ分けされている中で、中間的立ち位置のモデルです。
5シリーズは初代から「イノベーション・卓越したパワー・ワンランク上の快適性の融合」というコンセプトを受け継いできました。
今回紹介するG30型もそのコンセプトの下、開発されています。
BMW 5シリーズ(G30)が人気のポイントは?
G30型が今も人気が高い理由の1つは、現行型と比べた際にパワーユニットの違いです。現行型ではグレードの半分は電気自動車となるi5になります。
特に高性能グレードがi5に置き換わっているため、まだ電気自動車への不安を持つユーザーが多い日本ではエンジンをパワーユニットとするG30型の方が好まれる傾向が強いです。
また、今後電動化の流れは加速していくなかで、最後の内燃機関に乗りたいという気持ちもG30型の購買欲につながっているかもしれません。
個人の好みもありますが、近年のBMWがリリースしている強いエモーショナル感のエクステリアデザインと比べ、落ち着いた印象のエクステリアデザインを好むユーザーにはG30型が人気です。
BMW 5シリーズ(G30)のスペック紹介
5シリーズ(G30)はモデルライフ全体を通じて523i、523d、530i、530e、540i、M550iの6グレードに分かれています。(530iと540iは2021年モデルまで)
基本的なグレード構成としては、M550iを除くそれぞれにLuxuryとMスポーツが用意されています。Luxuryはコンフォート、Mスポーツはスポーティ寄りのグレードになります。
また523iと523dにはモデルライフの途中までStandardが用意されていました。
5シリーズのグレード間での大きな違いである、エンジンタイプと性能について下記にまとめました。
523i | 523d | 530i | 530e | 540i | M550i | |
エンジンタイプ | 直列4気筒ガソリン | 直列4気筒ディーゼル | 直列4気筒ガゾリン | 直列4気筒ガゾリン+モーター | 直列6気筒ガソリン | V型8気筒ガソリン |
排気量 | 1,998cc | 1,995cc | 1,998cc | 1,998cc | 2,997cc | 4,394cc |
最高出力 | 184ps | 190ps | 184ps | 184ps | 340ps | 530ps |
最高トルク | 290Nm | 400Nm | 300Nm | 300Nm | 450Nm | 750Nm |
エンジンスペックを比較すると、6種類のエンジンを採用していたことに驚かれると思います。
純粋なガソリンエンジン、プラグインハイブリッドによるモーターを追加したハイブリッド、欧州で定評のあるディーゼルエンジン、高性能なV型ガソリンエンジンなど、すべてに仕様違いでターボチャージャーが搭載されています。
対して現行G60型でのエンジンの選択肢は、直列4気筒のガソリンとディーゼルエンジンのみです。
M550iのような多気筒エンジンはラインナップになく、ハイパフォーマンスモデルの役割を果たしているのは電気自動車のi5 M60で、パワーユニットはモーターとなります。
この辺りもG30型が人気の理由になると思います。
他社の競合にあたる車種は?
競合にあたる代表的な車種はズバリ、メルセデスベンツはEクラス、アウディはA6、レクサスはGSになります。
全車、ビジネスシーンで知的さを醸し出し「ビジネスアスリート」という言葉が似合うかと思います。
さらにハイパフォーマンスグレードのメルセデスAMG E63、アウディスポーツS6、レクサス GS Fは真の『アスリート』と言える性能を持っています。
どの車種もライバルには不足のない好敵手になります。
厳密には型式がG31となり今回の趣旨とは異なりますが、ツーリング(ステーションワゴン)はレクサスGSを除き、この車両クラスでもセダンとステーションワゴンで二本立てのラインナップとなっています。
他のシリーズ(3や7)と比較してどのように違うのか
3シリーズとの違い
5シリーズと比べ、3シリーズは全体的にヤングな雰囲気が強いモデルと考えられます。
ビジネスで例えるとするならば、フレッシュマンをイメージしてもらうと想像しやすいでしょう。
3シリーズはグレード全体を通して活発な印象を強く持ちます。特にMモデル同士で比較した際にはエクステリアデザインとパフォーマンス共に5シリーズよりもさらに活発で若い印象です。
7シリーズとの違い
現在の7シリーズは以前よりもショーファードリブンの立ち位置が強くなり、運転手を伴う経営者層に向けた雰囲気が似合うモデルです。
そのため、自らハンドルを握るオーナーカーとしてのキャラクター性は低くなっています。過去の7シリーズが持っていた、スポーティさを兼ね備えた大型サルーンというキャラクターは身を潜めています。
その役割を5シリーズが引き継ぎ、スポーティさを兼ね備えたサルーンの地位を守っている印象です。
BMW 5シリーズ(G30)の新車・中古車価格は?
新車価格について
新車時での車両本体価格帯は768万円〜1,377万円でした。
そこからさまざまなオプションを追加する形になります。
意外なことにM550以外のグレード(実質エンジンの種類)ではメーカーオプションの選択肢が同様です。
そのため、どのグレードを選択したとしても諦めなければならないオプション装備はないこととなります。
また、特別仕様車もモデルライフを通じて多く設定されていました。特別仕様車も魅力的な仕様を台数限定で売り出していたため、購入できずに涙をのんだ方もいることでしょう。
中古車価格について
カーセンサーで調べたところ、現在の掲載台数は全国で400台。車両価格帯は180万円~870万円、平均価格は323万円となります。
価格の推移としては年式が古い場合価格が低く、年式が新しいほど価格が高くなるセオリー通りの相場です。
走行距離も全体的には5万キロ以下が多くある状況です。
全体の約半数がディーゼルエンジン、4割がガソリンエンジン、残り1割がハイブリッドという統計となりました。
BMWがクリーンディーゼルを全面的にプロモーションしていた時期でもあり、新車当時に多くのユーザーがディーゼルを選択していたことが、中古車の流通量からも明らかです。
価格帯の高いモデルとしてはM550になります。中間から低価格帯については、オプションの有無により僅かな価格差はありますが、概ねお買い得な車両が多く、比較して選べる状況です。
G30型で注目したい特別仕様車
現在販売されているG30型の中古車で、気になる特別仕様車があるので、紹介したいと思います。
先に述べた特別仕様車の1つとして、2018年公開の映画「ミッション・インポッシブル/フォールアウト」に登場した限定特別仕様車「Edition MISSION: IMPOSSIBLE」になります。映画に登場したことを記念した特別仕様車は、なかなかありません。
このモデルの特に凄いところは、少し外観や装備を変えたといった特別仕様車ではない点です。
映画でも使用されていたM5は、特別塗装色「シンガポール・グレー」を採用し、性能面にも手を加えています。
その内容としては、エンジン出力のアップが行われ、ベース車より25psアップの625psと進化しています。
523i、523d、530iにも設定されており、ボディーカラーは世界観をイメージした「ブラックサファイア」が特別に設定されています。
性能面としては、530iのみになってしまいますが540iのみに設定されていたアダプティブ・サスペンションを特別装備として装着しています。
このアダプティブ・サスペンションは走行速度や加速度、車体の動きをリアルタイムに解析し、道路状況に応じてダンパー設定を最適化します。
常にスポーティなハンドリングと快適性を両立することができます。
また、共通装備としてBピラーに「MISSION: IMPOSSIBLE」のステッカーが与えられています。
現在この特別仕様車「Edition MISSION: IMPOSSIBLE」は2台の流通となります。
今回紹介した特別仕様車は一例ですが、中古車だと新たな発見やその時に買えなかった仕様との出会いもあります。
BMW 5シリーズ(G30)はどんな方におすすめ?
G30型 5シリーズはズバリ、オンもオフもスポーティなアクティブライフを送る方におすすめです。
オン、オフとあらゆるシーンでも気負いしない風格を持ち、そのキャラクター性は多くの輝く瞬間を持ち合わせています。
ビジネスでのフォーマルなオンのシーンでは、その兼ね備えている知的なエクステリアとインテリアから、大切なビジネスパートナーをもてなす雰囲気を存分に発揮します。
次の顧客先へのドライブは走行性能と快適性を楽しみながら向かうことができ、道中にビジネスのアイデアを練りつつ落ち着いて高速を走行できます。
またオフの日もアクティブに活動する中で、より一層スポーティに活躍してくれるでしょう。
一人でも、大事なパートナーや家族を乗せても、常に快適でドライバーを退屈させないドライバビリティを発揮し、いつもより遠くへ走らせたくなる衝動を与えてくれるはずです。
純内燃機関を愛する方にとって、多気筒大排気量の5シリーズとしては最後のモデルになると考えられるため、この最後のチャンスをぜひ手にしてください。