BMW 2シリーズが日本でデビューしたのは2014年2月。これまで幾度もシリーズの新設や枝分かれをおこなってきたBMWですが、例に漏れず2シリーズも1シリーズの後継車にあたります。
2004年に火蓋を切った1シリーズは、3シリーズをよりコンパクトに仕上げたCセグメントにカテゴライズされるモデルです。その初代1シリーズからは、3・5ドアハッチバック、クーペ、カブリオレがラインナップされました。
そののちクーペ(以下、ベースグレード)・カブリオレのみが1代限りで1シリーズを離れ、新たに2シリーズとして編成されたのです。モデル末期にはBMWブランドにおけるCセグメントカーで、唯一後輪駆動車をリリースするシリーズともなりました。
そしてBMWのスポーツファンにとって欠かせないのが「M」の称号。もちろん2シリーズからも、2016年にMを冠するモデルが誕生しました。今回はその初代M2である、ベースグレードおよびコンペティション、それぞれの違いにクローズアップしてみましょう。
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M2(F87)の概要、市場での位置づけ
先で説明したとおり、2シリーズ自体は1シリーズからベースグレードとカブリオレが新規編成した形で誕生しました。
1シリーズにもMスポーツパッケージというグレードこそ存在したものの、「M1」というシリーズ化にはいまだ至っていません。
したがって、M2はBMW Mのなかでもっともコンパクトという位置づけになります。また、全Mシリーズ中で車両価格が1,000万円を切るモデルが存在するのもM2のみです。とはいえ、決してエントリークラスと侮れないレベルに仕上がっているM2(F87)。
歴代M上位モデルにも劣らないパフォーマンス力を兼ね備えたM2は、ほんのわずか5年早くに誕生したM5(F10)と同等の加速性能を発揮するのです。M5(F10)は4.4L・V8ツインターボで最大560psの大型セダン、対するM2(F87)は3.0L・直6ターボで370psのベースグレードと一見スペックは大きく異なるようですが、どちらも0-100km/h加速は4.3秒を誇ります。
また、自然吸気エンジンこそなくなって久しいものの、BMW伝統のシルキーシックスをコンパクトなボディで味わえる点こそ、M2最大の魅力ではないでしょうか。現在M2は2022年にデビューした2代目G87型が販売中ですが、こちらはより上位モデル寄りの洗練された質感となっています。
よって、あえて「やんちゃさ」が垣間見えるF87を求めるファンは、いまだに少なくありません。
M2(F87)ベースグレードの概要
いまだに人気が衰えることのない初代M2。コンペティションと比較するにあたって、まずはベースグレードの概要から見ていきましょう。
M2(F87)ベースグレードの特徴、性能、デザイン要素
もっともコンパクトなMモデルであるM2(F87)は、BMWのCセグメント車で唯一の後輪駆動車という立ち位置をキープし、なおかつ前後重量配分がほぼ50:50という実に理想的なレイアウト。
PRにおいても、『アドレナリンがほとばしる究極の「駆け抜ける喜び」を実現した』とアピールされるだけあって、スポーツカーとして必要な素質を存分に兼ね備えています。
通常の2シリーズとは全く異なるオーラを放つ、ワイド化された迫力あるボディライン、コックピットに身を沈めればいつでも視野に入るカーボントリムなど、スポーツ走行・日常使用いずれにおいてもドライバーを高揚させてくれるキャラクターとなっています。
スペックと主要な装備の紹介
M2(F87)は、3.0L直列6気筒ツインパワーターボエンジン(N55型)のなかでも最高峰である、M専用チューンドのN55B30T0を搭載しています。
M2ベースグレード用に最適化されたトップリングを組み込んだピストンに、上位モデルであるM4(F82)とコンポーネントを共有したクランクシャフトのメインベアリング、スパークプラグにより、高回転域での性能を向上。
それにより最高出力は272kW(370ps)/6,500rpm、最大トルク465Nm (47.4kgm)は1,400rpmの低回転から5,560rpmまでの広い回転域で一定して発生させ、アクセルを踏み込んだ直後から高回転に至るまで、力強い加速と鋭いレスポンスを発揮させることに成功しています。
もちろんサーキット走行も前提としているため、冷却システムとオイル・システムが専用設計されており、オイルサンプカバーとサクションオイルポンプを追加で採用することにより、激しい加減速を伴う環境下でも十分に耐えうる仕様になっています。
また、エンジン冷却ラジエターとトランスミッションオイルクーラーも追加採用されており、過酷な走行条件下でも温度バランスを最適に管理することが可能となっています。
ブレーキは、フロントに対向キャリパー4ピストン・380mmディスク、リヤに対向2ピストン・360mmディスクの組み合わせ。
トランスミッションに関しては、発売当初は7速DCTのみでしたが、1年遅れで6速MTも追加されたことにより、購買層が拡大されました。
M2(F87)コンペティションモデルの概要
ベースグレードでさえサーキット走行を見据えて作られているにも関わらず、2018年にはさらなるコンペティションモデルが追加されました。「competition=競技」が意味するものは具体的にどのようなものなのか、紐解いていきましょう。
M2(F87)コンペティションモデルの追加された特徴と改良点
まず特筆すべきは、搭載エンジンがS55B30T0となった点。
M社による専用設計の証である「S」から始まるユニットとなり、この3L直列6気筒ツインパワーターボエンジンは最大出力302kW(410ps)/5,250-7,000rpm、最大トルク550Nm/2,350-5,200rpmを発揮します。
剛性面においては、新たにチューニングが施されたシャーシ、カーボンファイバー強化樹脂を使用したストラットブレイズを採用。
足周りにはコンペティション専用に強化されたサスペンションを備え、スタビリティコントロールも改良されるなど、よりMの手が込んだ仕様となりました。
ブレーキ性能もモアパワーを受け止めるべく、フロントに対向キャリパー6ピストン・400mmディスク、リアに対向キャリパー4ピストン・380mmディスクと、ベースグレードよりもかなり強化されています。
トランスミッションのバリエーションは、ベースグレード同様7速DCTと6速MTです。
デザインの変更に関する詳細
エクステリアにおいて、まず正面から目を引くのがキドニーグリルやエアインテークなどの開口部でしょう。メッキ色がブラッククロームのみで統一されていることにより、非常にスパルタンな顔つきとなっています。
また、ダブルリッジ・デザインと呼ばれるサイドミラーは空力性能UPに一躍買っている独特な形状で、ボディ側にフィンのようなものが生えている特徴的な意匠です。インテリアは視野に入るもののほとんどの質感が一新されており、コンペティションというだけあっていい意味でシンプル。
シートはショルダー面のサポートが強化され、激しいスポーツ走行においてもドライバーをしっかりホールドしてくれます。
主要な違いの比較
では、ベースグレードとコンペティション、2モデルそれぞれの主な違いを比較してみましょう。
エンジン性能や乗り心地の違い
まず1番の大きな違いとしては、搭載するエンジンおよびそのパワーです。
- N55型(N55B30T0) 3.0L直列6気筒DOHCツインターボ
- 最大出力272kW(370ps)/6,500rpm
- 最大トルク465Nm※/1,400-5,560rpm
- (※オーバーブースト機能にて一時的に500Nmまで引き上げ可能)
- レッドゾーン 6,500rpm
- 7速DCT 0-100km/h 4.3秒
- 6速MT 0-100km/h 4.5秒
- S55型(S55B30T0) 3.0L直列6気筒DOHCツインターボ
- 最大出力302kW(410ps)/5,250-7,000rpm
- 最大トルク550Nm/2,350-5,200rpm
- レッドゾーン 7,000rpm
- 7速DCT 0-100km/h 4.2秒
- 6速MT 0-100km/h 4.4秒
ベースグレードのエンジンも、基本のBMW製N55型にM専用チューニングが施されている特別仕様ではありますが、コンペティションのS55型はN55型をM社が製造・チューニングしたエンジンです。
やはり同じM2であっても、コンペティション(競技車の意)にはそれ相応のスペックが求められるため、ピークパワーやトルク値にも差があり、より高回転型な仕上がりとなっています。
排気音にも力強さがあり、必然的にそれが車内にも侵入します。また、乗り心地に関しても両車には明らかな違いが感じられます。ベースグレードモデルもベーシックな2シリーズよりは足回りの硬さが伝わってくるものの、スポーティな乗り味を求めてM2を選択する層にとっては気にはならないレベルであり、むしろサスペンションの応答性に大満足することでしょう。
しかしコンペティションとなると、もしかしたら日常使いにおいてはやや硬すぎると思ってしまう面があるかもしれません。
路面が安定したサーキットのような場所でこそ相応しいセッティングゆえ、凹凸があるような公道を流れに乗って走っている際は、突き上げ感が強いのは否めないでしょう。
車両重量は7速MTどうしで比較すると、ベースグレードが1,560kg、コンペティションが1,650kg。
一般的に純正のハンドリングは、各社安全性のためアンダー気味に仕立てているものの、ボディ剛性を高めた結果重量が増えたコンペティションは、コーナリング時のそれがやや強く現れがちです。
しかしブレーキング面では強化されたコンペティションの方がしなやかな味付けがされており、細かなコントロールがしやすくなっています。
外観とインテリアのデザインの違い
まず外観に関して、各サイズは以下の通り、ベースグレード・コンペティションともに重量以外は共通です。
- 全長 4,475mm
- 全幅 1,855mm
- 全高 1,410mm
- ホイールベース 2,695mm
よって、サイズ感についてはエアロパーツを追加しない限り、見かけ上にも違いは感じられません。
やはり一番違いが感じられるのは、グリル形状が異なるフロントマスクでしょう。キドニーグリルがクロームシルバーで縁取られたベースグレードと比べて、全体がブラック仕上げになっているコンペティションの方が大きく感じられ、遠目からだと2つの開口部が繋がっているかのように見えます。
エアインテークもコンペティションの方がワイド化されており、2モデルの顔付きの違いは歴然です。リアデザインはマフラー周り、特にディフューザーの形状が大きく異なる点ですが、フロントほど目立った差はありません。
インテリアの面では、まずインパネ周りに大きな違いが見受けられます。シートはいずれもスポーツシートを採用しているものの、それぞれ素材や形状が異なります。ベースグレードモデルはフルレザーにブルーステッチ、M2ロゴがさりげなくエンボス加工されています。
コンペティションモデルは、レザーとアルカンターラのコンビネーションで、カラーのM2ロゴバッジが目立つように取り付けられています。
️それぞれのモデルはどんな状況に適しているか、どんな人におすすめか?
さて、クーペ・コンペティション両モデルの違いをご覧いただいたところで、それぞれどのようなシーンを想定する人に向いているのでしょうか。それぞれに魅力と利点があるため、非常に甲乙つけ難いM2。相性の決め手となるポイントをまとめてみました。
適切なモデルの選択のアドバイス
両モデルのオススメのユーザー像は以下の通りです。
- サーキット走行も可能でありながら、日常使用に不満のない乗り心地
- BMWのエンジンの気持ちよさを感じたいが、スパルタンな乗り心地は避けたい方や、この車一台ですべてをこなしたい方におすすめ。
- サーキットやワインディング、週末の気分転換用に趣味の車としてオススメ。BMWの追い求める「駆け抜ける喜び」をとことん味わえるモデル
- 多少の突き上げ感よりも、エンジンの気持ちよさ、ハンドリングの軽快感を重要視したい方におすすめ
ゆえに、ライフスタイルや用途を考慮して選択するのがベストです。
具体的には、運転時は同乗者がいるケースが多い、趣味と日常の足を兼ねる、スポーツカーであっても適度な快適性も求める…といった方なら、クーペを選ぶのがベストでしょう。
一方で、スポーツカーの足回りであれば、ある程度の突き上げ感がスポーティーで楽しいと感じられる方や、ステアリングを通してタイヤからのインフォメーションを積極的に感じ取り車とドライバーのコミュニケーションを楽しみたい方には、よりスパルタンでハイスペックなコンペティションの方が本領を発揮できるはずです。
長期的な所有と維持の観点からのアドバイス
M2(F87)を購入するにあたってにあたり、どれくらいの期間所有し続ける予定か、維持費はいくらくらい必要なのかも気になるポイントです。
燃費の面では、いずれもJC08モードで
ベースグレード:12.3km/L(7速DCT)、12.1km/L(6速MT)
コンペティション:11.2km/L(7速DCT)、10.8km/L(6速MT)
といった数値が公表されています。
ストップ&ゴーが多い日本の道路事情やサーキット走行では、実際に運転するとこれより5km/Lほど低くなることがほとんどですが、モデルによる大きな変動はないといえます。自動車税においては、3.0LのM2は「2.5L超~3.0L以下」の税率が適用されるため、年額51,000円となります。
※初回登録が令和元年(2019年)10月以降であれば年額50,000円
車検費用はトータルで1回約20万〜30万円を見積もっておきたいところ。これは中古で購入し、都度なんからの部品交換が発生する想定での目安です。また、タイヤ消耗も決して緩やかとはいい難いモデルであり、サーキット走行もするとなれば交換頻度も高くなります。
参考までに純正サイズならば20万〜30万円程度、購入先が量販店か正規ディーラーか、銘柄によっても差が顕著です。
このほか任意保険代も発生しますが、これは年齢や等級、車両保険の有無で個人差があります。車検費用を割って1年分換算、任意保険が10万代前半の等級(車両保険込み)、年間約10,000km走行でガソリン代を17万円、修理・消耗品交換は別途と仮定しても、最低限約40万円は年間の車両維持費として確保したいところです。
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BMW Mのなかでももっともコンパクト、かつ価格帯も手頃なM2は、その特性上さまざまなスポーツカー好きに支持されています。
つまり必然的に、前オーナーによる走らせ方、ひいてはメンテナンスのされ方もさまざまということに…。
サーキットで酷使されていた個体は避けたいと思われがちですが、もしかしたら走行毎にきちんとメンテナンスが施されているかもしれません。休日ワインディングに連れ出していただけの低距離車はヤレが少なそうにも感じますが、案外油脂類の交換がマメでない場合も。
良くも悪くも「やんちゃ」に走ってくれるM2は、走行距離や年式など見かけ上の数字だけでは個体の質が読み取りにくいモデルといえます。整備記録があれば確実性は増しますが、実際のコンディションは各所を開けてみないことにはわからない部分ばかり…。
そういった目に映りにくい部分は、経験を積んで目の肥えた整備士がチェックしてこそ、初めて解明されるものなのです。トップランクはM2の買い取り・販売実績も数多くこなしており、間違いのない車両だけをお客様のもとへお届けします。
もちろんスタッフと一緒に現車をご確認いただくのがベストですが、遠方のお客様などご来店が難しいようであれば、スマホやPCでオンライン商談をご利用いただくことも可能です
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