現在のF80 M3の中古車事情は?お手頃価格になっているモデルなどもあわせて紹介

BMWのファクトリーチューンドモデルであるMシリーズの中でミドルクラスを受け持っているM3です。

ベースモデルはBMWの中核モデルである3シリーズです。言ってみれば、ファミリーセダンをベースに、強心臓を与え、足まわりからブレーキ、ボディにまで手を加えて仕立てられたスペシャルモデルです。

BMWのレース部門であり、スペシャルモデルの生産も行っているBMW M Motorsportによって、ベースモデルを遙かに凌ぐ高性能を与えられたMシリーズは、世界中のクルマ好きに支持されています。

特別なエンジニアリングによって仕立てられたこだわりの詰まったM3は、新車時はもちろんのこと、中古になっても高い人気を誇っています。

目次

今回はF80に絞って紹介

今回取り上げるF80型は2014年に発売開始され、2020年までの6年間に渡って販売されました。先代のE90型では、基本のセダンに加え、クーペとカブリオレという展開でした。

このF80からはクーペとカブリオレがM4となって独立しましたので、M3はセダンのみの展開となります。

エンジンはBMW伝統の直列6気筒が復活。ターボを組み合わせることで、3リッターながら最高出力431馬力、最大トルク56.1kgmを発生します。トランスミッションは、これまでは設定されていた6MTが廃止され、BMW独自の7段DCT(7段 M DCT Drivelogic)のみに集約されました。

2017年にLCI(マイナーチェンジ)が行われて後期型となり、前後のライトやバンパー形状が変更されました。

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M3の主なグレードの紹介

F80型M3の主要グレードは主に下記の3つです。この他に、M3 Competition をベースに内外装がモディファイされたM Heat Editionや、M3誕生30周年を記念した30 JAHRE M3などの特別仕様車も存在します。

M3】定価:1132万円〜

M3のベースグレードですが、軽量化のためにカーボン製のルーフやタワーバー、プロペラシャフトが採用されています。これは先代までの特別仕様車の装備を標準で備えている点が特徴です。

出力は431馬力で、このシリーズでは最も控えめですが、車体の軽量化などで運動性能が高められ、必要充分なパフォーマンスを発揮してくれます。

M3 Competition】 定価:1256万円〜

マイナーチェンジ後に設定されたグレードでは、それまでオプション扱いだったコンペティション・パッケージが組み込まれたグレードとして独立しました。

スタンダードグレードのM3との違いは、マフラーの変更と制御のセッティングにより19馬力アップしたエンジン、20インチホイールの採用、そしてアダプティブMサスペンションなどの足まわり&駆動制御系のセッティングが変更された点です。

外観上では専用バッジの他、ブラックアウトしたグリルがスタンダードとの違いです。また、シートも専用のスポーツシートとなっています。

M3 CS】定価:1578万円

M3 CSはM3の最強グレードで、M3 Competitionをさらにサーキット走行に振ったセッティングと装備が与えられたモデルです。出力は460馬力とM3 Competitionからさらに10馬力アップしています。

前後のスポイラーやディフューザーなど専用のCFRP製パーツを装着しています。ホイールは前後異径(前19後20)のMスペシャルモデルです。内装はアルカンターラ仕上げでスパルタンな雰囲気になっています。台数限定の販売で、日本国内では30台のみです。

価格が高騰しているモデルは?

結論から言いますと、プレミアムの付加で価格が高騰しているモデルは無いと言って良い状況だと思われます。

通常、販売台数が少ないモデルが高騰する傾向がありますが、30台しか販売されていないM3 CS、M Heat Edition、30 JAHRE M3などの特別仕様車も1000万円以内に収まっていて、高騰とは言えない範囲で流れているようです。

逆にお手頃価格になっているモデルは?

その一方で、比較的低い価格で流れているモデルは、やはりスタンダードのM3のようです。おおよそ400万円台から600万円台というのが今の相場です。

M3を購入する層は、特別感に対しての意識が強いようなので、無印モデルは低めになっているのでしょう。M3でもコンペティション・パッケージが適用された車両はM3 Competitionとほぼ同等の価格になっています。

また、ボディカラーでも価格の開きが出ることが多いですが、M3の中古車市場を見渡してみると、その影響は少ないように感じられます。

F80 M3でよく起きる故障・トラブルは?

エアコンの故障

F80型のM3では、エアコンのコンプレッサーのトラブルの報告が多いと聞きます。

国産のコンプレッサーなら単体で数万円から交換できますが、BMW純正品をディーラーで交換する場合は、単体でも10万円以上するでしょう。

さらにはダメージがエアコン全体に及ぶケースもあり、高をくくっていると、場合によっては30万円以上の出費となる可能性も十分にあります。

オルタネーター(発電機)

エアコンのコンプレッサーと並んで故障の報告を聞くことが多いのがオルタネーターです。コンプレッサーと同じく、エンジンと駆動ベルトで繋がる関係から熱の影響を大きく受ける部分です。

そのため夏場にダメージが蓄積しやすく、故障の発生もこの時期が多いです。修理費用もコンプレッサー単体と同じくらいでしょう。エアコンは我慢で済みますが、オルタネーターの故障はエンジン始動不可になるので注意が必要です。

ラジエターの水漏れ

もう一つ故障が多いと言われている箇所がラジエターまわりです。

酸化の元となる水を蓄え、零下から100度を超える高温に晒されるラジエターとその水路関係は劣化に注意しなければならない箇所です。

特にM3は、高出力なエンジンにターボが装着されていることで発熱量が大きく、補機類の部品の劣化も大きいと思われます。

すぐに大きな被害は出にくい箇所ではありますが、放っておくと各部にダメージが蓄積していき、トータルで大きな出費を招くこともあります。

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F80 M3でよく起きる故障・トラブルをなるべく軽減するためにできる対処法は?

高性能スポーツ車であるM3では、その高性能を支えるために高価な部品が使われています。

そのため、いったんトラブルが発生してしまうと、修理代も一般の車両より多く掛かってしまうのは仕方がないことです。

とはいえ、できることならそんな出費とは関わらずに走りを楽しみたいものです。

故障を防ぐためにはどうすべきかを考えてみましょう。まずは熱の発生をなるべく抑える使い方を心がけることが大切です。

例えば30度を超えるような気温の中で、エアコンを効かせながら高回転まで回してすぐエンジンを切るような使い方は最悪と言えます。山道を良いペースで登った後の休憩では、少しエンジンをアイドリングさせてクールダウンしてからオフにするべきです。

また、エンジンルームの水分を残したまま放置するのも良くありません。

雨の道を走った後はできるだけ間を置かず、晴れた日に走行して水分を少しでも飛ばすことを心がけてほしいです。

試乗は必須?試乗時に確認すべきこと

M3に限らず、中古で車両を購入する際には、可能な場合は試乗して、乗り心地を確かめたほうがよいといえます。

特にM3は高出力のエンジンが載ったスポーツ性の高い車なので、激しい走りが行われた過去があると考えたほうが良いでしょう。

オーナーによっては定期的にサーキット走行をしていても不思議ではない車種です。その場合に最も注意したいポイントは、エンジンの発熱に起因するダメージです。

特に上で列挙した報告例の多いポイントは重点的に見ておいてほしいです。

エアコンについては効き具合を確認すること。オルタネーターのトラブルはECUがエラーメッセージとして知らせてくれるでしょう。ラジエター関係の水漏れは、試乗の際に、保管してあった場所の地面をさりげなく確認しておくと良いです。

エンジン本体に関しては、ターボも含めてしっかりオイル管理が行われていれば、そうそう故障が発生しているという心配はしなくても良いと思われます。大パワーな車種ほど、アクセルを開けている時間は意外と少ないものです。

あとは試乗してみて、異音や違和感が無いかを確認しましょう。アクセルやDCTの操作も、遠慮してマイルドに留めないで、いろいろ試してみるべきです。ブレーキも一度ABSが効くまで踏んでみることをおすすめします。

まとめ

輸入車の大きな傾向として、3年落ちの中古車になると新車時の半分以下の価格に下がってしまうと言われています。このF80型のM3もその例に漏れず、価格は新車時の半額以下で購入できるようです。

最も古い車両で9年落ちとなるので、個体によっては劣化が進んで補修や修理が必要なケースが出始めている時期だと思われます。中古車の相場を見る限りは、年式による価格の開きがそれほど大きくないように感じます。

ただし、それはM3の人気も作用して安定している部分もあると思われますので、購入する際にはその個体の状態をきちんと見定める構えが必要です。

高性能車の試乗に自信がなければ、腕がある人にお願いして見極めてもらうのもひとつの手です。

修理代がかさむ車種なので、購入前の確認は慎重に行いましょう。

 

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