近年販売されている車には多くのコンピューターが搭載され、それぞれのコンピューターが繋がり統合制御をしています。そのため、以前は個別のスイッチ操作でモードを切り替えていた機能も、現在ではスイッチ1つで瞬時に設定できるようになっています。
車に搭載されたコンピューター内部には機能が無効化されているものも多くあり、その機能を有効化させるのが「コーディング」です。この記事では、コーディングの機能や仕組み、注意点を紹介します。
コーディングとは

コーディングとは、ECU(コンピューター)の設定を変更することです。変更することで何が行えるようになるのか紹介します。
現代版コンピューターセッティング
従来、コンピューターセッティングはスポーツカーの性能向上を目的として行われていました。チューニングの一環でエンジン制御を行うコンピューターの情報を変更して、出力やレスポンスアップすることを指しています。
しかし、現在ではエンジン制御などだけではなく、標準仕様から好みに合わせた機能へ外部から専用のツールを用いてコンピューター情報の変更を行うことが可能です。そのため、メーカー出荷状態からの変更を行うことで、愛車に個性を出すことも可能となっています。
なぜ細やかな変更が可能かというと、現在の車には多くのECUが搭載されているからです。エアコン、オーディオ、メーターなど各部品にECUが搭載され、それぞれが制御を行っています。各ECUを車両に搭載されたメインECUで常時相互通信しながら、各部品の状態把握、制御指示をしています。
ECUと通信技術の進歩により、故障が発生した際には診断ツールを接続することで故障個所の特定や故障内容の把握が可能です。それだけではなく、様々な機能を統合して制御することができるため、今までは個別制御をしていた機能が連携して使用することができるようになりました。
その一例としては、ボタンで設定変更が可能なドライブモードになります。ボタン一つでエコモードやスポーツモードに変更できる機能ですが、従来はサスペンションの硬さ変更はサスペンション用スイッチ、ハンドルの重さ変更にも別のスイッチが必要でした。
しかし、統合制御が可能になったことで、一つのスイッチで「スポーツモード」を選択すると、サスペンションが硬くなり、ハンドルが重くなり、更にエンジンレスポンスを俊敏へと同時に変更することが可能となりました。コーディングにより、これらの変更条件や内容をより詳細に設定し、好みに合わせて選択できるようになります。
設定メニュー以外の変更も可能に
コーディングを行うことで、新車時(メーカー出荷時)状態では設定できない機能の変更も可能です。現代の車は、メーター内のインフォメーションディスプレイや純正装着のディスプレイオーディオ画面から、車両情報の確認や設定の変更が可能です。
取扱説明書に記載されている一般的な変更可能な項目には、オーディオの音質、オートライト作動時の感度調整、インテリアのイルミネーションライトの色変更などがあります。
通常の使用で変更できると便利な項目が該当します。しかし、コーディングによって上記の設定にさらなる機能を付加させることができます。(適合車種については要確認)例としてはディスプレイオーディオを走行中も操作可能へ変更、デイライトの光量を調整可能へ変更などです。
コーディングのメリットは?

コーディングを行うことで設定変更範囲が多くなります。単に細かい設定ができるだけではない、コーディングのメリットについて紹介します。
オプションが追加可能に
本来、新車購入時に工場装着となるメーカーオプションがあります。サンルーフやブレーキキャリパーの大型化などの物理的な変更を除き、出荷時にインストールされたプログラムがオプションによって標準仕様と異なることがあります。
主にスポーティモデルやグレードにある「スポーツクロノ仕様」や「スポーツエグゾースト仕様」のオプションです。スポーツクロノ仕様とは、いわゆるサーキットモードのことです。ギアチェンジの変速タイミングやレスポンスを標準状態より俊敏にする機能や、ディスプレイにラップタイムやサーキットの周回数などを表示する機能があります。
自動変速のデュアルクラッチミッションでは、変速速度やクラッチを繋ぐタイミングもECUで制御されています。通常走行時のノーマルモードやスポーツモード以外にスポーツクロノ仕様を追加することで、サーキット走行にも対応できるシフトチェンジプログラムを呼び出すことができます。
ディスプレイに表示されるラップタイムなどのサーキット走行時に必要となる情報表示もコーディングで呼び出しが可能となります。スポーツエグゾースト仕様は、スイッチ操作でエグゾースト(マフラー)の音質や音量を調整できる機能です。
従来は迫力のあるサウンドを求めるとエグゾーストの交換や常に排気音が大音量になってしまうことがネックでした。しかし、コーディングを行うことでスイッチ操作でより迫力のあるスポーティなサウンドでドライブを楽しむことができます。
また、自宅を出発する際や帰宅時にはオフにすることで、ご近所への配慮ができます。物理的にスイッチ操作が必要なため、スイッチを追加購入する必要はありますが、状況に配慮しつつスポーティに楽しめます。もし中古車で購入した車両にオプションが装着されていない場合でも、コーディングを行うことでオプション装着した場合と同等の仕様にすることが可能です。
愛車のカスタムに
スポーティな変化以外に、装着されている純正パーツを利用して個性を演出する変化も可能です。その一例としては、標準装備されているデイライトの光量変化やデイライト自体のオンオフ、キーレスエントリーでの施錠や解錠時に点滅させるウィンカー点灯回数や確認音変更などがあります。
デイライトは、同じモデルでも年式によっては消灯している場合や常時点灯している場合があります。日本では常時点灯の義務はないため、好みに応じて常時点灯を消灯設定に変更することも可能です。
コーディングの人気メニューは?

1つからでも行えるコーディングの中で、人気メニューについて紹介します。
インテリアアイテム
車内環境に関係しているメニューとして、1番人気は「ナビの走行中ロック解除」です。運転中の操作は危険なため、ドライバーは行ってはいけませんが、走行中でも同乗者が操作したい場面は多くあります。
高速道路のように停車ができない場面で、目的地設定をしたい時や進むルートの確認を行うなど操作が可能です。また、走行中でもテレビの視聴が可能となり、同乗者にとっては嬉しい機能です。
併せて人気なのが「USB経由で動画ファイルの再生機能追加」です。上記のテレビ視聴が可能になったことで、長時間のドライブに合わせて動画ファイルを用意することで楽しむことが可能となりました。
2番人気は「ディスプレイ、メーター関係」です。メーターディスプレイへ「音楽」「電話」を追加表示して、ハンドルのボタンで曲再生、電話の操作が可能となります。ライトの点灯にかかわらずメーターバックライトの常時点灯やイグニッションONでメーターの針が全域稼働する「ニードルスイープ」も人気アイテムです。
その他には、車内の間接照明である「アンビエントライトカラー変更」です。
コードの組み合わせによって、色の設定を変更できます。車内を好みの色調にすることも明るさの調整も同時に行えます。
意外と多いのが「アイドリングストップキャンセル設定保持」です。アイドリングストップ機能はエンジンを再始動する度に自動でONとなります。アイドリングストップが苦手な方は始動と同時に機能をOFFにしますが、毎回操作をするのが煩わしく感じられます。そのため、エンジンの再始動でも前回の設定を保持できる機能が重宝されています。
エクステリアアイテム
周囲へのアピールポイントとなるエクステリアアイテムの1番人気は「デイライト設定」です。デイライトの発光をONにする「デイライト発光機能有効化」、逆にマイナーチェンジのタイミングでデイライト発光が標準になったモデルでは「デイライト光量変更、発光機能停止有効化」が人気アイテムです。
「ウェルカムライトの点灯パターン変更」は、標準状態とは異なる灯火類も点灯させることができ、駐車場で愛車を見る楽しみが増えることでしょう。駐車時のアイテムとしては「バック時サイドミラーの角度変更」や「アンサーバック確認音設定」も人気アイテムです。
「バック時サイドミラーの角度変更」は、駐車時にリバースへシフトチェンジすると、サイドミラーの鏡面を下方など設定した角度に自動調整される機能です。
「アンサーバック確認音設定」は、キーロック時に確認音を鳴らす機能です。海外映画で車に乗り込む際に聞こえてくる音を愛車から出すことが可能です。
コーディングの注意点は?

簡単に愛車のかゆい所へ手が届くコーディングですが、施工にあたって注意すべき点があります。
メーカーでのデータ更新
コーディングは、純正ECUデータにアクセスして書き換えることで機能の拡張、追加ができることを理解いただけたと思います。
同様にメーカーも販売後に発生した不具合修正についてプログラム変更対応を行うケースもあります。その際、新しいプログラムデータがインストールされ、ECUデータが上書きされることもあります。
その際には、データの上書きをすることでコーディングを行った前の状態に設定内容が戻ってしまう可能性もあります。その場合は、コーディングを再施工する必要があります。
メーカー保証
コーディングは純正ECUのプログラムデータを一部変更するため、メーカー保証が残っている場合でも適用範囲外となります。
ECUには変更履歴のログが残るため、ディーラーで診断機を接続すると判別されます。
また、コーディングとは無関係な箇所の故障修理でも、保証が適用されず実費負担となるケースもあります。コーディングを行う前に、メーカー保証の有無や残り期間を確認することをおすすめします。もし愛車の保証が残っているタイミングの場合は、コーディング実施について慎重に検討が必要です。
メーカー保証期間が切れている場合や、中古車として購入した場合は、コーディングの実施をおすすめします。年式によっては無効化されている機能を有効化することで、新たな気分で愛車を楽しめます。
コーディングに興味があるが、どこに依頼すれば良いか分からない場合は、是非トップランクにご相談ください。トップランクでは、豊富なコーディングメニューを用意しており、車種と年式をご連絡いただければ対応可能なメニューをご案内します。ご希望のメニューが決まりましたら、入庫の上テスターで車両状態を確認し作業を行います。
コーディング作業は、国家資格を持つ整備士が担当するため、予期せぬ法令違反につながる変更を未然に防げます。まずはお気軽にお問い合わせいただき、コーディングメニューをご検討ください。
