欧州ブランドの多くが搭載しているディーゼルエンジン。EVシフトの流れを受けても、進化を続け最良のパワーユニットとしてラインナップされています。過去、国内では黒煙のイメージからディーゼルの印象が芳しくない時期もありました。
技術の進歩によりクリーンなパワーユニットへと進化し、脚光を浴びています。しかし、ディーゼル車は税金の扱いが異なる点もあります。今回はディーゼル車を取り巻く税金について紹介します。
ディーゼルとガソリンの違いは?

近年再び脚光を浴びているディーゼルエンジンですが、ガソリンエンジンとの違いについておさらいします。
ディーゼルエンジン
現在のディーゼルエンジンは「トルクもパワーも兼ね備え、燃費も良く、燃料も軽油のため安い」というイメージが強くなっています。しかしそれは、欧州ブランドや国内メーカーから、乗用車向けのクリーンディーゼルエンジンが開発され、搭載車種が多く展開されたことによる功績ともいえます。
数十年前までは、国内メーカーの主要車種の多くにディーゼルエンジンが搭載されていました。現在のSUVにあたる「クロカン」ブームで人気だった四輪駆動車をはじめ、セダンやコンパクトカーにもディーゼルエンジンは搭載されていました。ただ当時のディーゼルエンジンは、黒煙を排出しながら走り、その多くは速く走れるスペックを持ち合わせていないエンジンでした。
その中で、2003年に首都圏ではディーゼル車に対して規制がかかりました。その対象はトラックやバスといった商用車だけではなく、個人が所有するディーゼルエンジンを搭載した自家用車も規制の対象でした。粒子状物質(PM)排出基準を満たすことができない乗用車は、所有することができず、商用車は所有どころか規制地域内を走行することもできない状況でした。
これらの規制をクリアするディーゼルエンジンの開発は、コストや技術的な課題も多かったため、一時はディーゼルエンジンを搭載した乗用車が、ほぼ存在しない状況となっていた時期もあります。クリーンディーゼルが登場するまでディーゼルエンジンは、トラックに搭載されているイメージでした。
欧州では、長期間にわたってディーゼルエンジンが愛用されていました。その理由として環境性能、経済性が挙げられます。環境性能は、二酸化炭素の排出量が少ないため、温室効果ガスの削減に貢献できる点です。そのため、温室効果ガス削減に力を入れている欧州では、ディーゼル車を優遇していた背景もあります。
経済性は、高速道路を使った長距離移動が多いため、燃費性能に優れて燃料代も安い点でランニングコスト上のメリットが大きいです。ストップアンドゴーよりも定速走行が多い環境のため、トルクを活かしてシフトダウンせずとも走り続けられる点に合致しているといえます。
ガソリンエンジン
ガソリンエンジンの使用燃料は「レギュラー」と「ハイオク」ガソリンです。この違いは、オクタン価と呼ばれる値の違いによります。一般的な乗用車は「レギュラー」で問題ありませんが、高回転まで回した際にノッキングが発生しないようにするにはオクタン価の高い「ハイオク」を給油する必要があります。
なぜ長年に亘り、ガソリンエンジンが使用され続けているのかは、安定した「信頼感」に理由があります。ガソリンエンジンは、空気と燃料を混ぜた混合気をスパークプラグで点火させる方式です。そのため、エンジンの始動性能も良く、寒冷地の様に外気温が低い状態でも大きな問題ではありません。
対してディーゼルエンジンは、空気を圧縮し高温状態にしてから燃料を噴射し、自然着火させます。外気温が低い際には、予めグロープラグと呼ばれる部品で燃焼室を加熱させ、始動性を上げる必要があります。
ガソリンエンジンは、ディーゼルエンジン程のトルクは出せませんが、高回転まで回ることができるため、高出力を得ることが可能です。主にパワーを求める高性能なモデルに搭載されます。また、エンジンの静粛性もディーゼルエンジンと比べて高く、振動も少ない点から音を気にする高級車の多くが採用しています。
ディーゼルエンジンの魅力とは?

欧州ブランドでは、日本でも販売しているモデルにもディーゼルエンジンの採用車種が多くあります。そこにはディーゼルエンジンならではの魅力があるためです。その点について確認していきます。
欧州ではスタンダードなエンジン
先に述べたように、欧州ではディーゼルエンジンは非常にスタンダードな存在です。そのきっかけとなったのは1989年、アウディがターボチャージャー付直噴ディーゼルエンジンを搭載したことです。そのディーゼルエンジンは、従来のディーゼルエンジンとは異なり静かで、黒煙の排出が無いクリーンな排気ガスであり、同排気量のガソリンエンジンよりも優れた燃費とトルクを発揮しました。
これを契機に、欧州ブランド各社はターボチャージャー搭載のディーゼルエンジン開発を行い、普及していきました。その普及率としては、10年で市場シェアを10%から60%まで伸ばしました。このような時代背景があり、欧州では長年の技術開発と共に親しまれてきました。
高いトルクと経済性
ディーゼルエンジンの大きな魅力は、大きなトルクを低いエンジン回転で発生する点です。一般的なガソリンエンジンとディーゼルエンジンでの、最大トルクを発揮する回転数を比べた際、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンの約半分で発揮します。
その理由は、ディーゼルエンジンは空気を極限まで圧縮する必要があるため高圧縮となり、そこに燃焼が発生し高い膨張力となるため高トルクが生み出されます。この燃焼工程により、高効率な燃焼が発生し燃費性能も優れる形となっています。
経済性としても、欧州ブランドのガソリンエンジン車の指定燃料はハイオクガソリンです。現在の燃料価格としては、軽油とハイオクガソリンの1リットル当たりの価格差は30円程です。同じ燃費性能の場合、この価格差は積み重なることで大きな差になります。燃費が良く、燃料の単価も安い最強の組み合わせといえます。
ディーゼル車の税金は?

自動車にはさまざまな税金が課せられています。その中から、ディーゼル車に関係する項目を確認します。
主にかかる税金
自動車にかかる税金は多くあり、主な内容を取り上げると年に一度の「自動車税」、2年に一度車検の際にかかる「重量税」、走行に必要な燃料にかかる各種税金です。
この中で、一番実感するものは、納付通知書が届いて自身で納付しなくてはならない「自動車税」だと思います。その他の税金については、各種費用に合算されているためあまり実感は湧かないかと思います。
ディーゼルだけ異なる点は?
自動車には毎年納付の自動車税が課せられています。0.5リッター刻みの排気量別で課税額が設定されており、ガソリン車もディーゼル車もこの区分については、扱いは同じです。ただ異なるのは、「グリーン化税制」と呼ばれる制度における重課税が開始されるタイミングです。
現在の自動車税は、新車時の初年度登録から年数が経過した際、15%重課税がされる制度です。ガソリン車とディーゼル車で重課税が始まるタイミングが異なります。ガソリン車は13年経過したタイミングから重課税されますが、ディーゼル車は2年早い、11年経過のタイミングから重課税が始まります。
その適用タイミングが異なる背景としては、制度が開始された2001年の時代背景にあります。「ディーゼルエンジンはガソリンエンジンと比べ、環境負荷が高く、個人が保有する自家用車の割合として、ガソリン車の台数が多いため1回分の車検期間にあたる2年分猶予期間を設けている。」という背景です。
また、車を動かすために必要な燃料の軽油についても、ガソリンとの課税の違いがあります。軽油には「軽油引取税」が1リットル当たり32.1円課せられています。ただ、消費税については「軽油引取税」を除いた軽油価格に課税をしているため、ガソリンの様に二重課税は発生していません。
このように、ディーゼルとガソリンで取り巻く税制の環境が異なることが分かったかと思います。
ディーゼル搭載人気モデルは?

各欧州ブランドは今も多くのディーゼルエンジンを搭載したモデルをラインナップしています。その中から人気モデルについて紹介します。
欧州ブランドは目白押し
メルセデス・ベンツ、BMW、アウディといった、欧州プレミアムブランドのラインナップには、今も多くのディーゼルエンジン搭載グレードが用意されています。
今人気のSUVモデルはもちろん、セダンやコンパクトカーにも用意されており、ほぼフルラインナップで設定があるといえるほどです。現在EVシフトの方針により、電気自動車に力を入れたラインナップやグレード展開も行っていますが、ディーゼルエンジンを搭載したモデルも進化を止めていません。
欧州ブランドはそのラインナップにおいて、ディーゼルエンジンに48Vマイルドハイブリッドを組み合わせたパワーユニットを展開していることが多いです。ディーゼルエンジン本来の低速、低回転時の高いトルクに加え、モーターのアシストによるトルクの増加と燃費性能の向上に貢献しています。
ディーゼルエンジンを搭載したモデルで人気が高いセダンは、メルセデス・ベンツCクラス、BMW 3シリーズ、アウディA4といった他のパワートレインでも人気の高いモデルです。ただ、意外なところではメルセデス・ベンツSクラスのディーゼルエンジンを搭載したグレードも人気です。
SUVでは、その車格の大きさや重さを考慮してメルセデス・ベンツGLCやGLS、BMW X5やX7、アウディQ7 Sラインといったモデルでもディーゼル搭載グレードが選ばれています。
中古車はお得?
実際にディーゼル搭載モデルの購入を考えた際、現在の各ブランドが展開するラインアップを見れば、目移りしてしまうほど選択肢が多くなっていることは、購入者としては嬉しい悲鳴です。ただ購入にあたっては、ある程度の予算を決めての愛車選びになると思います。その選択肢の中で「中古車」も一つの選択肢に加えてはいかがでしょうか?
同じ予算内で、当初狙っていたモデルやグレードのアップグレードも可能であり、欲しい仕様があった場合、すぐに手にすることができます。中古車に対して不安を持っている方や選び方が分からない方もいるかと思います。その際には是非トップランクへご相談ください。
トップランクでは良質な車両に加え、希少なグレードやオプション装着車も取り扱い経験が豊富なため、ご希望の車両へのご希望の車両との出会いをサポートいたします。また、豊富なメンテナンスメニューも用意しているため、ご希望に合わせて対応が可能です。是非、ホームページをご覧ください。
