高い人気を誇るCクラス(W/S205型)の頂点に立つモデル、C63/C63 S。一見ノーマルのCクラスに見えますが、実は「羊の皮を被った狼」ともいえるハイパフォーマンスモデルです。今回は、メルセデス-AMG C63の魅力を徹底解説します。
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メルセデス-AMG C63の概要
メルセデス-AMGのブランドとAMG C63の位置付け
AMG(エーエムジー)は、「モータースポーツこそが技術力の優秀性を何よりも端的に示す」という確固たる信念に基づき、1967年に誕生しました。
当初はメルセデス・ベンツの市販車をベースに独自の改良を施したレーシングマシンを製造し、数々のレースにおいて成績をおさめてきました。そして1988年からはメルセデス・ベンツと本格的なパートナーシップを組み、中核となるモータースポーツ活動を通して培ったレーシングカーテクノロジーとメルセデス・ベンツの最先端技術を結集し、メルセデスのハイパフォーマンスモデルの開発とエンジンの生産を行っています。
AMG C63はその血統を受け継ぎつつも、実用性を兼ね備えたハイパフォーマンスセダン/ステーションワゴンなのです。
メルセデス ベンツ C-Class Mercedes-AMGの概要
これまでのCクラスのAMGモデルをまとめてみました。
モデル | 年 | 型式 |
AMG 190E | 1986 | W201 |
C36 AMG | 1993 | W202 |
C43 AMG | 1997 | W/S202 |
C55 AMG | 1998 | W/S202 |
C32 AMG | 2001 | W/S203 |
C55 AMG | 2004 | W/S203 |
C63 AMG | 2007 | W/S204 |
このように、Cクラスにおける頂点に君臨するモデルとして開発され、世に送り出されてきました。
1993年にデビューしたC36 AMGは、AMG社がダイムラー・ベンツ社(現ダイムラー社)と協力協定を締結してから初めて両社が共同で開発した記念すべきモデルとなりました。
さらに、先代モデル(W/S/C204)のC63 AMGは、全世界で累計約4万台、日本でも累計約3,500台を販売し、メルセデスAMGの歴史上もっとも多く販売されたベストセラーモデルとなったのです。
C63の性能と特徴
メルセデスAMG C63のエンジンは、「メルセデスAMG GT」と基本設計を共通とする4L V8直噴ツインターボエンジン「M177型」が搭載されます。アルミニウムクランクケースに鍛造アルミニウム製ピストンを組み合わせた軽量かつ高強度なエンジンです。
C63の最高出力476ps(350kW)、最大トルク650N・mを発揮。さらに、C63 Sは最高出力510ps(375kW)、最大トルク700N・mを発揮します。なかでもC63 Sは0-100km/h加速 4.0秒と、他のハイパフォーマンスモデルにも引けを取らないスペックを実現しています。
特徴的なデザインと技術仕様
C63のフロントまわりは、V8エンジンを搭載するためにトレッドを拡大し、ノーマルのCクラスと比較して左右それぞれ15mm張り出したフェンダー、60mm延長したフロントオーバーハングと、ボンネットのパワードームが特徴です。
また、エンジンの冷却のため開口部を大きく拡大したフロントバンパーの「Aウィング」とエアインテークがハイパフォーマンスモデルであることをさりげなく主張しています。
リアエンドは、エグゾーストエンドをディフューザーと一体化させることで、ボディ下部の空気の流れを整えエアロダイナミクスを向上に寄与しています。セダンにはトランクリッドスポイラーリップを、ステーションワゴンにはルーフスポイラーを備えることで、リアにかかるダウンフォースを増加させるほか、ロードホールディング性を高めています。
インテリアにもAMGコンプリートカーらしい演出
インテリアについても、グリップ部に吸湿性に優れたDINAMICA素材を用いたステアリングを採用することで、激しいスポーツ走行でも優れた操作性を発揮します。また、シートはサイドサポートを張り出し乗員のホールド性を高めたAMGスポーツシートを採用しています。
ボディシェルのアルミニウム使用率を約50%という、軽量高剛性アルミニウムハイブリッドボディを採用。重心位置の低下によるスポーティかつ俊敏なハンドリングはもちろん、騒音、振動、ハーシュネス特性の最適化などに寄与しています。
さらに、エンジンマウントに磁性体入の液体可変マウントを搭載。各種センサーからの情報によりドライビングの状況を検知して、マウントの硬さを自動で調整します。
AMGスポーツエグゾーストシステムの装備
そして、C63およびC63 Sには、排気管内のエグゾーストフラップによってエグゾーストノートを切り替えるシステムが装備されています。
特にC63は、排気管内に1つの連続可変エグゾーストフラップを備えた「AMGスポーツエグゾーストシステム」を採用しており、トランスミッションモードに応じた2種類のエンジンサウンドを、AMGダイナミックセレクトスイッチにより切り替えることができます。
AMGパフォーマンスエグゾーストシステムの装備
またC63 Sには、3つの連続可変エグゾーストフラップを備えた「AMGパフォーマンスエグゾーストシステム」を装備。トランスミッションモードに応じ、加速時やシフトダウンによる自動ブリッピング時にエモーショナルなサウンドを響かせたり、長距離クルージングなどで落ち着いたサウンドを響かせたりすることができます。
AMGスピードシフトMCTの搭載
トルクコンバーターの代わりに湿式多板クラッチを採用し、ダイレクト感のある素早いシフトチェンジと高い伝達効率を実現した電子制御式7速スポーツトランスミッション「AMGスピードシフトMCT」を搭載。シフトダウン時の自動ブリッピング機能やレーススタート機能によってダイナミックな走りが味わえます。
さらに、高速走行時などにアクセルから足を離すとエンジンとトランスミッションを切り離して燃料消費を抑えるセーリング機能の採用によって燃費を優先する「C(Comfort)」、よりスポーティなドライビングが愉しめる「S(Sport)」「S+(Sport Plus)」などの、さまざまなパラメーターを個別に設定できる「I(Individual)」の4つのモードを設定。
またC63 S専用の「RACE」モードでは、サーキット走行のためにすべてのパラメーターが変更されます。
サスペンションには、フロントが4リンク式、リアがマルチリンク式の「AMG RIDE CONTROLスポーツサスペンション」を採用。4輪それぞれの減衰特性をボタンひとつで調整できる電子制御ダンピングシステムを採用し、AMGダイナミックセレクトスイッチまたは専用ボタンにより「Comfort」、「Sport」、「Sport Plus」の3つのモードから減衰特性を選択することができます。
C63とC63 S AMGとの違い
両車の最大の違いはエンジンスペックです。AMG C63の最高出力は476ps、最大トルクが650N・m。AMG C63 Sの最高出力は510ps、最大トルクが700N・m。AMG C63 Sの方が34ps、50N・mとハイスペックとなっています。
また、ブレーキ系のサイズも異なります。C63は前後に360mmドリルドベンチレーテッドディスクを装備。さらにAMG C63 Sにはフロントに大径となる390mmのディスクを装備しています。また、軽量なコンポジットタイプのブレーキディスクを採用することでバネ下重量が低下し、加速・コーナリング性能の向上に寄与しています。
さらに、C63には機械式リミテッドスリップデフを装備し、あらゆる走行状況で強力なトラクションと安定感あるハンドリングを実現。さらにAMG C63 Sには電子制御リミテッドスリップデフを装備し、走行状況に応じてロッキング機構を電子制御することで、トラクションを高め限界領域におけるコーナリングスピードをより向上させます。
メルセデスAMG C63(セダン/ステーションワゴン)
項目 | スペック |
ボディーサイズ(セダン) | 4,755×1,840×1,430mm |
ボディーサイズ(ステーションワゴン) | 4,770×1,840×1,445mm |
ホイールベース | 2,840mm |
車重(セダン) | 1,790kg |
車重(ステーションワゴン) | 1,870kg |
駆動方式 | FR |
排気量 | 3982cc |
エンジン | V型8気筒DOHCツインターボ |
トランスミッション | 7速AT |
最高出力 | 476ps(350kW)/5,500~6,250rpm |
最大トルク | 66.3kg・m(650N・m)/1,750~4,500rpm |
タイヤサイズ(F) | 245/35R19 |
タイヤサイズ(R) | 265/35R19 |
メルセデスAMG C63 S(セダン/ステーションワゴン)
項目 | スペック |
ボディーサイズ(セダン) | 4,755×1,840×1,430mm |
ボディーサイズ(ステーションワゴン) | 4,770×1,840×1,445mm |
ホイールベース | 2,840mm |
車重(セダン) | 1,790kg |
車重(ステーションワゴン) | 1,870kg |
駆動方式 | FR |
排気量 | 3,982cc |
エンジン | V型8気筒DOHCツインターボ |
トランスミッション | 7速AT |
最高出力 | 510ps(375kW)/5,500~6,250rpm |
最大トルク | 71.4kg・m(700N・m)/1,750~4,500rpm |
タイヤサイズ(F) | 245/35R19 |
タイヤサイズ(R) | 265/35R19 |
AMG仕様が「恥ずかしい」と言われる理由とその背景
バブル期、現在よりもAMGコンプリートカーの流通台数が少なかった時代「AMG仕様」のメルセデス・ベンツが街中にあふれました。
トランク部分に「AMG」のバッチを貼り、外観だけをAMG風に改造したお手軽な仕様のものから、一見すると「完コピ」としか思えないような本気の仕様まで見受けられました。
このあたりが、AMG仕様が「恥ずかしい」と言われるゆえんでしょう。
というのも、現在はメルセデス・ベンツ正規ディーラーであれば正規輸入車のAMGコンプリートカー/AMGパッケージ仕様を購入できますが、当時は、新車の正規輸入車のAMGコンプリートカーを購入するには、AMGジャパンから入手するしか方法がありませんでした。
現在はバブル期と比較して、AMGコンプリートカーを入手する難易度が格段に下がっているのです。
C63の価格
- 平均価格:646.5万円
- 価格帯:354.0万円~939.0万円
- 平均価格:595.0万円
- 価格帯:408.0万円~781.8万円
セダンおよびステーションワゴンともに、400万円から、上限は800〜900万円台といったところ。ボリュームゾーンはセダンが650万円、ステーションワゴンの方が600万円となっており、現段階ではセダンの方が高値というのもAMGコンプリートカーならでは特徴といえます。
今購入するべき理由とは
4リッター、V8ツインターボエンジンという、今後確実に姿を消していくであろう「大排気量・大パワーエンジン」の組み合わせを持つC63/C63 S。
比較的高年式の個体が多く、いまならワンオーナーカー、あるいはツーオーナーカーも選びやすい状況です。今後、オーナーの代替わりが進むにつれて走行距離が伸び、コンディションも少しずつ下がっていくことは確実です。
もし、いつか手に入れたい、ずっと憧れていたのであれば…。高い実用性とハイパフォーマンスを併せ持った希有な存在でもあるC63/C63 Sを購入するいいタイミングだといえます。
C63の維持費用(燃費、保険、メンテナンス費用など)
あくまでも目安ですが、C63(W205型)を所有した場合の年間の維持費をまとめてみました。
項目 | 金額 (円) |
自動車税 | 66,500 |
自動車重量税 | 16,400 |
自賠責保険 | 8,825 |
任意保険 | 210,000 |
ガソリン代 | 180,000 |
駐車場代 | 180,000 |
合計 | 661,725 |
月額に換算するとおよそ55,150円。これに車検および法定2年点検、タイヤや油脂類などの消耗品、ローンの残債がある場合の金額が加算されていきます。
特にリアタイヤの消耗が激しいので、年間の走行距離が多い場合は交換頻度が高くなると考えておくのが安心です。
C63の普段使いの実用性と運転のしやすさ
セダンのボディサイズが全長×全幅×全高:4755×1840×1430mm、ステーションワゴンは全長×全幅×全高:4730×1810×1445mmと、比較的コンパクトなサイズが魅力です。
車高の低さにさえ気をつければ、都内のような狭い道でも走りやすく、またショッピングセンターなどの駐車場やコインパーキングなどに停車するときもラクです。
AMGというと構えてしまうかもしれませんが「少し車高が低いメルセデス・ベンツCクラス」だと思えば取り回しに苦労するイメージも軽減されるのではないでしょうか。
安全性と運転時の注意点
C63の安全機能と運転支援システム
C63には以下のような安全機能と運転支援システムが実装されています。
項目 | 特徴 |
ディストロニック・プラス | 先行車を認識し、設定速度の範囲内で適切な車間距離を維持し、渋滞追従機能を備えたシステム。 |
ブラインドスポットアシスト | ドアミラーの死角範囲をレーダーでモニターし、危険性を警告するシステム。 |
レーンキーピングアシスト | ドライバーの疲労や不注意による走行車線の逸脱に対し、ステアリングを微振動させて警告するシステム。 |
3ステージESP | 高いレベルで安全性を確保する標準モードの「ESP ON」、スポーティなセッティングの「ESP SPORT Handling」、サーキットでの高度なドライビングのためにESPがオフになる「ESP OFF」の3つのモードを備えたシステム。 |
「危ない」と言われる理由と運転時の注意
AMG C63の最高出力は476ps、最大トルクが650N・m。AMG C63 Sの最高出力は510ps、最大トルクが700N・m。
ESP(エレクトロニック・スタビリティ・プログラム)が装備されているとはいえ、これだけの大パワー・大トルクを2本のリアタイヤで受け止めるのです。
そのため、過信は禁物です。不用意なアクセルワーク、さらにはフルスロットルは厳禁です。
負荷が大きい分、リアタイヤの減りが早いので、タイヤの溝もこまめにチェックする必要があります。また、このクルマのスペックに相応しいタイヤを装着することも極めて重要です。現代のクルマだし、いざというときは助けてくれるという考えは捨てましょう。
メルセデスAMG C63の中古車を購入するときの注意点
購入時に考慮すべき点とチェックリスト
メルセデスAMG C63のように、趣味性の高いクルマは前オーナー(あるいは歴代オーナー)の扱い方でコンディションが大きく変わります。さらには、大パワーゆえに手荒く扱われてきた可能性も否定できず、それらの痕跡もクルマを見れば分かることもあります。
そこで、最低限ここはチェックしてくださいというチェックリストを下記にまとめました。
- 前オーナーが装着していたタイヤ(C63のキャラクターに合致しているかどうか)
- タイヤの減り具合(特にショルダー部分)
- ホイールに固着したブレーキダスト(ハードブレーキをしてきたかどうか)
- フロントバンパー・ボンネットの飛び石の度合い(傷が多ければそれだけ飛ばしてきたことを意味する)
- フロントガラスの飛び石の傷(傷が多い個体は要注意)
- 点検記録簿の有無・詳細の度合い(定期的にメンテナンスされてきたか、ディーラーメンテナンスかなど)
- 運転席のサイドサポートのヨレ具合(痛みやすい部分なので過去のオーナーの扱い方が分かる部分)
- サイドシルの傷の度合い(オーナーが気を遣っていれば傷が少ない部分)
特に内装はていねいに扱われてきたかどうかが如実に表れます。クルマに詳しくなくとも、汚れている、痛みがひどいなど、直感的に手荒く扱われたと感じる場合は避けた方が無難です。
メルセデスAMG C63はどんな人におすすめか?
C63を選ぶべきターゲットとその理由
1台でオールマイティにこなしたい、実用的でありながらハイパフォーマンスモデルに乗りたい。オーナー以外(パートナーなど)が運転するので、比較的コンパクトなモデルがいい。
足車であっても妥協したくない…など、スペックと実用性が高次元で融合したモデルを望む方にこそおすすめです。クルマに詳しくない人からすれば、Cクラスセダン/ステーションワゴンとして映ります。メルセデス・ベンツとしてのステータス性を残しつつも、実は羊の皮を被った狼…。そんなさりげなさ、奥ゆかしさも魅力のひとつです。
C63の所有がもたらす満足感とプレステージ
街中でW205型のCクラスと遭遇する機会が多いだけに、信号待ちなどで並んだときの優越感、そして満足感はC63オーナーならではの特権といえるでしょう。あくまでも自己満足に過ぎませんが「AMGコンプリートモデル。そのなかでも後世に語り継がれるであろうハイパフォーマンスモデルを所有している」というステータス感は何者にも代えがたいものがあります。もしもC63が人生初のAMGコンプリートカーだとしたら、もはやノーマルのメルセデス・ベンツには戻れないかもしれません。
メルセデスAMG C63の中古車選びに関して、ご不明な点やご相談事項がございましたら、お気軽にお問い合わせください。弊社の経験豊富なスタッフが丁寧に対応させていただきます。