コンパクトモデルから、セダン、SUV、クーペと、全方位隙なしというくらいさまざまなモデルバリエーションを展開中のメルセデス・ベンツ。そのなかでも特別な存在といえば「SL」クラスではないでしょうか。現行モデルからはAMGのラインナップのみとなり、「SL」クラスの特別さがさらに増しました。
今回は、そのなかでも別格の存在といえる「メルセデスAMG SLクラス(R232型)」にスポットを当て、歴史やモデルの特長について振り返ってみましょう。
ベース車両のメルセデス・ベンツSLの歴史について

「Super」と「Light」(軽量)を略した「SL」は、1952年に公道を走行できるレーシングスポーツカーとして発表され、ル・マン24時間レースをはじめ、世界各地のレースで活躍した「300 SL」(W194型)をベースに、1954年に「300 SL」(W198型)として発売されたのがルーツとなっています。
その後、ガルウィングをベースとするオープントップの300 SL ロードスター(W198 II型)が1957年に発売され、190 SLとともに1963年まで生産されました。1963 年に登場したW113型は、その特徴的なハードトップの形から「パゴダルーフ」の愛称で知られ、日本にも根強いファンが存在します。
1971年には R107型がデビュー。このモデルは18年にわたって生産され、その累計生産台数は、SL全シリーズの中で、現在に至るまで最も多い台数を記録しています。
1989年3月のジュネーブショーにおいて、R129型がデビュー。センサー制御によるロールバーやインテグラルシートなど、数多くの革新技術を搭載した新たな時代を告げるモデルとして人気を博し、12年にわたり生産されました。
さらに、2001年にはR230型がデビュー。このモデルはスチール製の折りたたみ式メタルトップを装備し、初代モデルが築いたイメージを継承しつつ、スポーツ性能を実現したモデルといえます。
そして、2012年にR231型となり、メルセデスの量産車として初のフルアルミニウムボディシェルの採用による軽量化や、新世代のエンジンを搭載。さらなる性能向上と優れたパフォーマンス、快適性を兼ね備えたモデルとして日本でも人気を博しました。
そして2022年に現行モデルのR232型へとフルモデルチェンジを果たしました。このモデルより、SLはメルセデスAMGブランドでの販売となり、その歴史に新たな1ページを刻みました。
メルセデス AMGについて

1967年、AMGは「モータースポーツこそが技術力の優秀性を何よりも端的に示す」といった信念に基づき誕生しました。AMGの名の由来は、創立者のハンス・ヴェルナー・アウフレヒト(Aufrecht)、パートナーのエバハルト・メルヒャー(Melcher)、アウフレヒトの出生地グローザスパッハ(Grossaspach)の頭文字から取られています。
当初はメルセデス・ベンツの市販車をベースに独自の改良を施したレーシングマシンを製造し、幾多のレースで優れた成績を収めました。そして、1988年からはメルセデス・ベンツと本格的なパートナーシップを組み、モータースポーツ活動を通して培ったレーシングカーテクノロジーと、メルセデス・ベンツの最先端技術を融合し、メルセデスにおけるハイパフォーマンスモデルの開発とエンジンの生産を行ってきました。
創業58周年を迎える2025年現在、今やメルセデスAMGは50モデル以上のモデルを展開しています。また、パワートレインについては4気筒、6気筒、8気筒のガソリンエンジンに加え、F1の技術を採用した高性能プラグインハイブリッド「E PERFORMANCE」、そして電気自動車と、ユーザーのニーズに応えるラインアップを展開中です。

メルセデスAMG SLクラス(R232型)のデビュー時のモデル概要
メルセデスAMG SLクラス(R232型)の外観は、メルセデス・ベンツのデザイン基本思想である「Sensual Purity(官能的純粋)」に、「AMG Purity」のスポーティな要素を取り入れたデザインといえます。2+2シートを収めるためにボディが拡大され、長いホイールベースと短いオーバーハング、大きく傾斜したウインドウスクリーンによって、コンパクトかつ低く構える外観が特徴です。
近年のメルセデスAMGモデル専用のフロントグリルは、1952年製レーシングスポーツカー「300 SL」にインスパイアされたデザインを採用しています。現行モデルのSLでは立体形状となったほか、より低い位置に取り付けられることで、ダイナミックさをより強調しています。また、先代のメタルトップであるバリオルーフから、一般的な電動ソフトトップに変更されています。その結果、21kgの軽量化を実現し、重心が低くなったことで、ドライビングやハンドリングにも寄与しています。
メルセデスAMG SLクラス(R232型)の室内は、初代300 SL ロードスターに伝統を現代的にリファインしたものであるといえます。また、R129型以来となる2+2シートレイアウトが復活しています。ただし、着座できる乗員の身長は150cmまでとなっています(チャイルドセーフティシート装着時は135cmまで)。
SL43には、熟練のマイスターが手作業で組み上げる直列4気筒エンジン「M139」が搭載されています。最高出力381PS(280kW)、最大トルク480Nmを発生。このM139型エンジンには量産車としては世界初となるF1由来の技術、エレクトリック・エグゾーストガス・ターボチャージャーを採用しています。
トランスミッションは「AMG スピードシフト MCT」(9速AT)を採用。高速走行時などにアクセルから足を離すとエンジンとトランスミッションを切り離して燃料消費を抑えるセーリング機能の採用により燃費を優先する「Comfort」、スポーティなドライビングを楽しむ「Sport」「Sport+」「RACE」、滑りやすい路面を安全に走行する「Slippery」、さまざまなパラメーターを個別に設定できる「Individual」の6つのモードを設定。0-100km/h加速4.9秒、最高速度275km/hを誇ります。
SL43のフロントサスペンションには、メルセデスAMGの量産車としては初めて、5本のリンクをホイールの内側にすべて収めたマルチリンク式が採用されています。ホイールをコントロールする部分とサスペンション機能を受け持つ部分を相互に独立させることで、高速走行を可能としつつ、ステアリングシステムに対する駆動力の影響を最小限に抑えています。またリアサスペンションにも、5リンク式を採用しています。
メルセデスAMG SLクラス(R232型)の最新の新車価格および中古車相場

メルセデスAMG SLクラス(R232型) 新車価格について
※この価格は2025年5月時点のものです。
- 全長×全幅×全高:4700×1915×1370mm
- ホイールベース:2700mm
- 車両重量:1780kg
- 駆動方式:FR
- トランスミッション:9速AT
- エンジン:直列4気筒DOHCターボ+モーター
- 排気量:1991cc
- エンジン最高出力/最大トルク:421ps/500N・m
- ステアリング:右/左
- 全長×全幅×全高:4705×1915×1365mm
- ホイールベース:2700mm
- 車両重量:1940kg
- 駆動方式:フルタイム4WD
- トランスミッション:9速AT
- エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ
- 排気量:3982cc
- エンジン最高出力/最大トルク:585ps/800N・m
- ステアリング:右/左
メルセデスAMG SLクラス(R232型) 限定車について
- 全長×全幅×全高:4705×1915×1365mm
- ホイールベース:2700mm
- 車両重量:1940kg
- 駆動方式:フルタイム4WD
- トランスミッション:9速AT
- エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ
- 排気量:3982cc
- エンジン最高出力/最大トルク:585ps/800N・m
- ステアリング:左
- 全長×全幅×全高:4705×1915×1365mm
- ホイールベース:2700mm
- 車両重量:1910kg
- 駆動方式:フルタイム4WD
- トランスミッション:9速AT
- エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ
- 排気量:3982cc
- エンジン最高出力/最大トルク:585ps/800N・m
- ステアリング:左
メルセデスAMG SLクラス(R232型) 中古車相場(2025年5月現在)について
- 生産期間:2022年10月~
- 中古車の価格帯:898.7万円~3880万円
- 平均価格:1207.4万円
メルセデスAMG SLクラス(R232型)のライバル車は?

- ポルシェ911カレラカブリオレ、レクサス LCコンバーチブル、BMW 8シリーズ カブリオレ、ジャガー Fタイプコンバーチブル
- ポルシェ911ターボS カブリオレ、BMW M8 カブリオレ、ベントレー コンチネンタルGTコンバーチブル、アストンマーティン DB11ヴォランテ、マクラーレン アルトゥーラ スパイダー
といった具合に、ライバル車はいずれも個性的かつ魅力的な、蒼々たる顔ぶれです。
メルセデスAMG SLクラス(R232型)の魅力を端的に表現すると?

圧倒的な重厚感、安心感、そしてハイパフォーマンスを一度に享受できるモデルは、これだけ数多くのクルマが販売されているにも関わらず、ごくわずかです。先述したあらゆる要素を「限りなくオール5」に近い領域で味わえるのが、メルセデスAMG SLクラス(R232型)だといえます。
そして、数あるメルセデス・ベンツのモデルラインナップを見渡しても、いつの時代もSLは特別な存在。そのなかでもAMGとなれば、別格のモデルなのです。つまり「完璧なクルマ」を求める方にとって、これ以上のモデルは世界広しといえども、他に存在しないといえます。
メルセデスAMG SLクラス(R232型)がおすすめなユーザー像とは?

メルセデスAMG SLよりハイパワーなクルマは他にいくらでもあります。豪華な仕立てのクルマも然り。しかし、どこか過激で、過剰であったりします。人によってはそれが「飽きる」ことにもつながります。つまり、他の車に浮気したくなるのです。
しかし、メルセデスAMG SLクラス(R232型)は、絶妙なバランスで、過激さと過剰さが抑えられています。前に乗っていたクルマと比較したとき、どこか物足りなさを感じる方がいるかもしれません。しかし、クルマが馴染んでくるにつれて、絶妙なバランスで調教されたこのクルマの仕立てがクセになっていくのです。それはまるで、シンプルなデザインでありながら、最高級のカシミアを用いたコートのような存在です。結果的に「イイモノ」である方が長く付き合えるのです。
人生の酸いも甘いもかみ分けた、それと同時に、国内外のありとあらゆるクルマを乗り継いだ果ての終着点にあるのが、このメルセデスAMG SLクラス(R232型)ではないでしょうか。まさに、人生において、そして愛車遍歴において、これほど“アガリの一台”としてふさわしいモデルは他にはないように思えるのです。
メルセデスAMG SLクラス(R232型)のメンテナンスを安心して任せられるショップとは?

最新のテクノロジーと電子デバイスを多数搭載したモデルだけに、一般的な整備工場では対応が難しいでしょう。長年、輸入車に精通したショップで対応しなければ本来のパフォーマンスを発揮させることは難しいでしょう。メルセデスAMG SLがメルセデスAMG SLらしくあるためにも、メルセデス・ベンツをはじめとする、さまざまな輸入車のノウハウを持つショップに、安心して愛車を託すことが必須だといえます。
メルセデスAMG SLクラス(R232型)のご購入を検討中の方は、ぜひトップランクまでお気軽にご相談ください。豊富な輸入車取扱実績と知識を持つプロスタッフが、最適な1台をご提案いたします。オンライン商談も承っておりますので、遠方の方でも安心してご利用いただけます。
