- 2024.10.20
- MEDIA INFORMATION , ニュース&トピックス
ALPINAの今後はいかに?アルピナの終焉と始まり
今年も早いものであと二か月と少し。。。というか早すぎ(笑)
そして今年が終わると『あるメーカー』の生産が終わるまでのカウントダウンが始まります
それが【ALPINA】
ご存じの通り、BMWがアルピナの商標権を取得したことに起因します
既に商標権の譲渡はBMWグループとアルピナの間で取り行われており、
2025年末までは今まで通り、アルピナのファクトリーがある【ブッフローエ】で生産を続けていきますが
それ以降、つまり2026年からは生産をBMWが行う事になります
正式名称は【アルピナ・ブルカルト・ボーフェンジーペン】
ブルカルト・ボーフェンジーペンはアルピナの創始者の名前です
※厳密には『アルピナ社』の創業者の息子
※もっと厳密に言うと当時のアルピナは自動車関連の会社ではなくタイプライターを主戦力とした事務機器メーカー
自分の所有するBMWをチューニングしたことから始まり徐々にチューナーとして頭角を現していき
その高い性能とチューニングアプローチをBMW本社が高く評価、
「アルピナによってチューンされたBMW車は保証の対象になる」とメーカーが認めたことから
1965年アルピナ社が小さな車のメーカーとしてスタートすることになります
その後ツーリングカーレースに参戦しヨーロッパの大会のほぼすべてを制覇、レースへの参戦は僅か20年弱でしたが
結果的にこれが世界にアルピナブランドを轟かせることになったと言えます
大量生産・大量販売をしなければ採算性がとれなくなるのが自動車業界、
BMWは世界新車販売台数が年間で約260万台ですがアルピナは年間1700台~2000台程度の生産が限界
ハイパーカーメーカーを除いた中でこの生産規模は稀有の存在です
ですがこれはブルカルト・ボーフェンジーペン氏の方針で
生産はほぼ職人の手作業に頼り、高い品質と性能を保つには生産拡大を図る必要はないという点と
大量生産をしていくと品質の維持ができないという考えとアルピナに対する高いブランディング戦略・こだわりが根底にあります
生産数を増やせば今のクオリティーは保てず、そうしてしまうとアルピナでは無くなってしまうのです
だからこそ今後、BMWで生産されるアルピナは
アルピナの哲学や信念を否定してしまうのではないか?
そうなればアルピナがアルピナじゃなくなる・・・
という事でこの発表には衝撃が走り、大騒ぎになっているわけです
アルピナとしての美徳は『Understatement』 意味は控えめ
他のチューニングメーカーと違い大型のエアロや大口径ホイールなどはあまり用いらない点や
あくまでも純正へのリスペクトがあった上でのチュー二ング、
手縫いのオリジナルレザーなどインテリアのグレードアップからくる高級感や独特な質感
スポーツ走行に全振りをした仕様ではなく、日常使いでも決定的な違いを感じ取れる仕様が最大の魅力です
仕事上、様々な大排気量・大馬力モデルを見て触って実際に乗りますが
使い切れるスペック(厳密には使いきれないんですが(笑))というのは非常に大事です
踏み込む余力があっても踏み込めなければ意味がない。たまにそんなことも思ったりしちゃうわけです
メルセデスAMGやBMWのMシリーズのような速さの極地を追求した車づくりをしているのではなく
ディーゼルターボをチューニングするあたり、それが顕著に感じます
メルセデスAMGにもアウディのRSシリーズにもBMWのMシリーズにもディーゼルはありません
とはいえディーゼルを選ばないのには根拠に基づく理由があった上で各社採用をしないわけですから
それらのモデルたちとは考え方が少し異なるチューニングメーカーであるという事です
どちらかというと前述の通りの日常使いで違いを感じ取れるストレスのない走りと踏んだら分かるスピード感と質感。そんなニッチな走り
だからこそコアなファンが多いメーカーであり、何より内側から湧き出る魅力に取りつかれてしまう、そんな文字通りニッチなメーカーがアルピナです
今、トップランクにて在庫として所有しているアルピナの中でD3後期モデルの未使用車の個体、これがブッフローエ産最後のアルピナにあたります
既にB3/D3は最終モデルのGTのオーダーを開始し、通常モデルのオーダーは不可能
GTも限定モデルですのでホームページ上には存在してもオーダーは出来ないはずです
旨味が日本人にしか分からないのに近いものがあり
アルピナは実際に見て触って乗らないと、言葉で表しづらい深みがあるんです
それはアルピナの美徳である『Understatement』
つまり控えめだからが故であり、言葉ではなかなか伝えられないこのメーカーだけの魅力
中央店にて展示している【ドラバイトグレー】
これも現世代から導入された新カラーで、この色も実際に見てもらわないと魅力が伝わらない(笑)
深みのある色であり、この世界観は是非発信をしていきたいけど。伝えにくい。
フェラーリやランボルギーニの事を紹介している方がよっぽど楽。(笑)
アルピナはそういうメーカーです
ちなみにこの個体はディーゼルモデル【D3】 神戸店にて展示しているリムジンも同様です
ちなみのちなみにこんな話もあります。
アルピナと言えばB(ガソリン)でしょ。と。
はい正解だと思います
アルピナの歴史を振り返っても常にBが先行したモデルで歴史を紡いできましたしディーゼルモデルの歴史はまだまだ浅いのも事実
ですが上記の通りニッチなメーカーが織り成すチューンドディーゼルターボエンジンは他に競合がいないジャンルであり
そもそも比較対象としては少し違ってくる部分もある、アルピナだからこそできるオンリーワンなシリーズです
今後のアルピナはどうなるのかというと冒頭でお話をした通り、
ブッフローエでの生産は行わずにBMWの工場内でアルピナブランドは継続のまま生産を続けることになります
今回は買収ではないのでアルピナがBMWと合併することもなければファクトリーの譲渡もありません
あくまで商標権の譲渡なので人材などのリソースの譲渡もないと思われます
アルピナ社ではアルピナは作らずBMWで作るという事ですから、じゃあ本当にアルピナがなくなる?という疑問符もつきます
しかしながら実はもう既にBMWが作るアルピナは存在しています
それがSUVのアルピナモデルです
ブルカルト・ボーフェンジーペンの息子であり現CEOのアンドレアス・ボーフェンジーペンが推し進めたSUVモデルの投入
実際は当時すでに引退していたブルカルトはアルピナの本質とずれてしまう事を危惧して反対していたと聞きます
ですがこれは結果的に成功しアルピナがより身近に、より多くの層のユーザーにアルピナを発信することが出来ました
そのSUVの中でフラッグシップモデルになるXB7は実はアメリカのBMW工場で生産をされています
開発を担っているのはアルピナですが生産自体はBMWが行っており、
これが開発設計からBMWが行い、生産自体も今後ほかのセグメントでも起こってくるのだと思います
今思えばこれはこの商標権譲渡の前触れだったのかもしれませんね
時代が変わり、EVシフトやオートパイロット化がより進んだことで
全く違う分野でのノウハウや設備が車を作る上で必要になっていく中で
アルピナが今後も同じように少数精鋭で少量生産をしていくことが現実的に不可能になってくることは容易に想像ができます
だからこそいつかはこうしなければならず、それがこのタイミングだったのかと思います
他の国と比べても日本へのアルピナ新車輸出台数は非常に多く新車製造数全体の約20%が日本に入ってきます
台数で言えば毎年300~400台くらいが入ってきており比較的日本は恵まれている国です
その反面、世界の中古車業者や輸出入業者に狙われるのが日本の市場
円安がさらにそれを加速させている実情もあります
それは実際探し出すと個体数が全然なく検討の余地がなくなってしまいやすいデメリットもあり
アルピナ・ブルカルト・ボーフェンジーペンの【アルピナ】は早めの検討をお勧めしたいと思います
とはいえ今後BMWが作るアルピナがどんなものなのか、一ファンからすればそれもそれで楽しみですね
ですが時代に一区切りがつくタイミングが刻一刻と迫っているのも事実
アルピナってどんなもん?って方から
ディープなアルピナファンまで、見てほしい個体が揃ってますので是非お問い合わせください