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都合のイイ『クルマ』

 

 

今回新しく入庫したこの一台

 

ゲレンデヴァーゲン愛好家の皆様には超朗報?

 

 

テーマは『愛を止めないで』

 

固定概念を捨てて

 

劣る部分を愛してほしい。このスタイルを愛してほしいという願いですw

 

 

 

 

 

このモデルは日本に何台あるんでしょ

 

 

 

10台いないくらい?

 

数台って感じでしょうか

 

 

 

 

クルマとは何ぞや、クラシックカーとは何ぞや、カスタムとは何ぞや

 

そう考えさせられる一台

 

 

レストモッドをされた【Wolf】

 

 

 

 

 

長い年月が経つことによって劣化や故障した車に対して当時の生きた状態に【復元】を行うことをレストアって言いますよね

 

そしてもうひとつ

 

 

例えば現代の規格には沿わない仕様だったり足りない仕様だったり、
もしく従来の規格から別の規格へと車を【修正】することをモディファイって言います

 

 

 

この言葉自体もこの手法も考えた方も

 

 

昔からあったし、今も業界を通して盛んに行われている事

 

 

 

だけどこの近年、こんな言葉が多用されるようになってきました

 

【レストモッド】

【レストア×モディファイ】でレストモッド

 

造語ですね

 

要は、昔の車を復元した上で
現代の技術やテクノロジー、素材を用いて車の性能やデザインなどを現代版へと修正するということ

 

 

なんだか凄いことはわかる。

 

これはネオクラシックブームが起きてからそれなりに経ったついここ最近聞くようになった言葉です

 

カスタムの知見からもネオクラシックとしての知見からも

角度によって考え方が異なるレストモッド車両は

考えさせられるんです、クルマって奥が深いって。

 

この車を年式だけで【ネオクラシック】と一言でカテゴライズはできないというか。

新しいジャンルでもあり

新しい発見でもあり

新しい価値観をも感じます

 

 

 

モデルとなるゲレンデヴァーゲン

 

 

2024年現在、最新モデルのゲレンデはW465型

1979年に生まれたW460型、これがゲレンデヴァーゲンのはじまり

 

 

 

 

そのあとにフルモデルチェンジを行いデビューしたのがみなさんご存じW463型

 

 

 

 

???

 

 

 

そう、1と2がないんです

 

 

 

4とかだと死を連想するとか?って思いますけど1と2がないのは全くそういった要素ではなく・・・

 

 

 

0と3とは異なるアプローチモデルであるから

ミリタリーモデル、つまりは軍用モデルがW461とW462と名が付きます

 

 

 

民間仕様を転用したのではなく完全なる軍用車ってことです

 

 

つまり【兵器】ってこと

 

 

もともとNATO軍の軍用車であったゲレンデヴァーゲンが進化をしていき今に至りますが

 

W461は特にヨーロッパ各国の軍を中心に盛んに採用されていたモデルです

 

 

採用されている中でドイツ軍はW461型をコードネーム【ウルフ】として運用をしていました

 

 

そして時には戦地を、時には災害地を駆け巡ったウルフをレストアして新車納入当時まで復元をしたうえで
現代の自動車社会で全く問題なく使用できるように、そしてオシャレに修正する

 

この個体がまさにレストモッドを行った車両です

 

 

 

この一台もドイツ軍の退役車両をレストモッドした個体、名を【250GD ウルフ】といいます

 

 

自動車大国【日本】においても希少と表現するに値するこの一台

 

なぜ希少なのか

 

 

まず大前提、作り手が日本にいない

それはそうなんですが

 

 

 

大きな障壁も存在します

 

 

まずW461型は【兵器】であること

 

軍事転用がすぐにでもできてしまう以上、退役車両でもれっきとした兵器です

 

 

各国、兵器には輸出規制が伴うので退役車両をそもそもドイツから運び出すことが非常に難しい

 

協定を結ぶ限られた国にしか輸出はできないのです

 

 

 

そして時間

レストモッドはそもそも上の話の通り【復元⇒修正】という2つの大きな作業を伴うわけですが

 

そもそも、ただでさえレストアは時間が膨大にかかる作業

 

 

しかも場合によっては戦地にも赴いたであろう個体を復元しなければならないし
そして民間転用するための修正にも膨大なパーツが必要です

 

 

そういった意味では限られた人間が限られた場所で創らなければならないので

そりゃあお金もかかるし時間もかかるし手間もかかるということ

 

 

だから希少と表現するに値します

 

 

 

 

アメリカのレストモッドの第一人者【EXPEDITION MOTOR COMPANY】が手掛けたこの一台

 

 

 

 

 

 

作業時間は約1400時間

 

 

ありとあらゆるパーツに対してオーバーホールと交換を行ってボディの復元と民間仕様へレストモッドされます

そのうえで現代のカスタムシーンに合わせるように調律するように架装を加えていくわけです

 

 

 

 

 

純正とは?って思うほどに

まさに新しい【命を吹き込んでいく】

 

 

 

 

ボディはいったん完全にパーツと切り離して塗装も剥離、素材に対して防腐防錆の施工を行うところからはじめます

 

もはや作り直すという表現が近いかも

 

 

 

 

 

現代の部品を用いて足回りやエンジン・ブレーキ・トランスミッションを構成しなおしていくわけですが

もともと72馬力しかない非力なトルクと頑丈さ・整備性の高さだけが取り柄のこのエンジンにチューニングを加えることはしていないので

 

 

 

乗ればわかります、死ぬほど遅い

 

 

 

 

それは変わらず

 

とはいえさすがに匂いはしないですw

 

けど乗ってると声がしてくるんですよ、当時モノの声が

 

意味わかんないかもしれないですけどw

 

 

ソフトトップを外して街中を運転してみるとこの車の持つ声がするのです
クルマの中から大きな振動・大きなエンジン音が脳みそに突き刺さるように響き渡ってくる

 

遮音性なんてものは感じられないし

 

クルマの形状上、風切り音もすごい

 

 

 

ですがそれこそクラシカルな声

 

 

 

それは1400時間もかけクルマそのものが置き換えられているように見えても

 

ウルフはウルフであるからなのか

 

 

 

 

どれだけ作り変えても当時は感じます

 

クラシカルな車には必ず付きまとう所有する上で向き合っていく必要のある整備性などの【重さ】も

 

現代技術による手を各所に加えられているのでほとんどないといえます

 

これは新しいジャンルのネオクラシック

 

 

 

雰囲気や低スペックなエンジンはそのままにしていて当時の声はします

 

 

だけどボンネット開けてみたり。エンジンルームをのぞいてみたり。車内を見渡すと現代風でバリっとしています

 

 

クラシックな車のネガティブな部分を取り払い、当時の声を響かせたまま現代に置き換えるこの姿は『都合のいいクルマ』

 

 

いいトコドリな仕様

 

 

そんな表現が合うんでしょうか

 

 

 

当時モノにこだわり続けているとたどり着けない境地というべきか・・・

 

 

 

そもそもレストモッドという文化に対して文化があまりない日本では物差しがないからなのか

 

改めて、クルマとは何かを車屋ですら考えさせられる一台です

 

 

 

 

 

EXPEDITION MOTOR COMPANYで

このウルフを新規オーダーすると19万ドルほどは最低かかってきます

 

 

今のレートだと3000万近いです
ちょうど新車のG63と同じくらいの価格

 

 

これを高いと思うか妥当だと思うかはひとそれぞれです

 

 

 

ただワタシはできるまでの物語を知ってしまったがゆえ

乗ってしまったがゆえに妥当と感じます

 

 

 

 

 

 

この雰囲気は

どこまで460や463をいじくり倒しても作り上げていくのは不可能

 

 

 

軍用車から派生したのではなく

軍用車を民間用にレストモッドするということは

究極の遊び・車道楽といえます、嗜みですね

 

 

 

この遊び心があふれる車を嗜むには

そしてこれがほんとの唯一無二だとするならば

 

この価格は妥当なのかも?しれません

 

 

 

こんなにも非力でマニュアルで。ハンドルも切れなくて。

 

 

コンバーチブルとは名ばかりの簡素なデザイン性

 

この理不尽なまでの特徴を、本来それがゲレンデの本質として

 

 

 

その本質を愛することをできるかどうかでこの車の存在価値が決まるのかもしれません

 

 

クルマの新境地ともいうべきウルフは

新しいクルマの世界観をまたひとつ見つけていただけるクルマです

 

 

 

 

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