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カブトムシの虫かごの匂いがするクルマ

 

匂いのプンプンする車の入庫

 

 

 

 

 

個人的にW124には思い入れが強く

ネオクラシックのなかでも一番好き

 

 

何が好きかって言うとまあ、いろいろあるんですけど結局・・・匂い

 

 

 

 

 

それでどんな匂い?

 

 

 

ん~なんて表現すればいいんだろって思ってたところ

 

 

 

 

 

 

ワタシの上司は

 

 

 

 

『カブトムシ飼ってた虫カゴの匂い』って言ってました。

 

 

 

 

まさにその通り

 

 

 

悪い意味じゃないんです

 

 

 

 

つまりは個性を乗った瞬間から空間で感じ取れるってことなんです。

 

 

かね。

 

 

 

 

日本ではここ最近特に走ってるところを見ない【W124 E500 リミテッド】

 

 

 

マネーパワーでどんどん海外に持ってかれてるからでしょう

でもしょうがないです。この車は

 

 

 

それでこのクルマの何が凄いって、

 

 

メルセデスでありながら【ポルシェが製造】したという事

 

 

 

 

 

チューニングをポルシェの車両開発部門であるヴァイザッハ研究所が担当をし
現代ではあり得ない程のコストを掛けすぎたモデルです

まあそんなカッコイイ言い方してますけど

 

 

当時、深刻な経営危機に陥っていたポルシェ

 

いまじゃ信じられませんが当時は

【金がねえ~~】【仕事くれ~~】っていう状況

 

 

 

 

ポルシェがそんな状況の中、

メルセデスはイケイケ
グループAをはじめとする各モーターシーンを席巻

 

 

 

だけど190Eで先手を取ったのにもかかわらず
全く別のジャンル【高性能大型サルーン】ではBMWが先手を打ち

E34型M5を送り出し世を賑わします

 

 

 

 

 

文字通り、やられたやり返されたわけです
だからこの世代は素晴らしい。(笑)

 

 

 

メルセデスもこのジャンルで対抗したい

 

けど当時はSLクラスやSクラスが爆売れで人員も時間も割けない状況

 

 

 

だったら

 

 

お互いシュツットガルトを本拠地にしていたこともあり
一緒にやりましょ~ってなって創ったわけです

 

 

 

でも後にも先にもこの二社が共同制作したのはこれっきり

 

 

 

どんな思想・背景があったとしても唯一無二であるのは間違いないです

 

 

 

 

皮肉も交えてこの車を表現する言葉は【Mercedes最後の良心】

 

 

 

当時の新車価格は1300万円超、ベースモデルのE220が580万円程だったので
どれほどまでにコストがかかっていたかは一目瞭然

 

 

この時代にこんなのが出てきたら多分新車価格3000万って感じです

 

 

当時500SLに積んでいた5.0リッターV型8気筒ガソリンNAエンジン通称【M119型】を搭載し
足回りからトランスミッション・ドライブトレインと至る所迄をチューニングしているこのモデル

 

 

というかそもそもこんなエンジンを積むことを想定して作ってないので
当時、前半分は作り直したそうです

 

 

総生産台数は10,479台とメルセデスの中でもかなり少ない生産台数

 

 

ボディシェルをメルセデスで作って、まずポルシェが受け取ってV8が収まるようにボディを手作業で改造
そのあと塗装するのにまたメルセデスに行って

 

 

それで今度はエンジンの組み立てと最終的なシャシーの組み立て、

 

エキゾーストとブレーキシステムの組付けをするためにまたポルシェへ行く

 

 

 

 

なんてったって一台作るのに18日かかったそうですから。それはそのはず

 

前期モデルはこのライン工程で作り、後期はあまりにもコストがかかるので変更をしたそうです

※諸説あり

 

 

 

羊を被った狼って結構いろんなクルマで表現されますが
普通のクルマでもそれなりにパワーのある現代のクルマでは少し言葉が当てはまらないと思っています

 

 

見た目が本当に遅そうじゃないとこの言葉はあてはまらない
だからこの遅そうな見た目をして古臭いこんな車に似合う言葉と思うのです

 

 

 

ちなみに日本には1,184台が正規輸入されていました
でももう日本には3分の1あるかどうかくらいでしょう

 

販売期間はわずかの約4年間だけ

 

そしてファイナルモデルとして世界限定500台で世に送り出されたのがこの一台『リミテッド』

 

 

 

ちなみに日本での正規輸入は無し

出回るのは並行車のみになるわけですが、それはつまり半端モンもそれなりに出回っているという事

この世代はとにかく車体にコストをかけまくった時代です

10万キロくらいでへたるような、やわな作りはされていません

 

 

 

この一台はオートマチックトランスミッションのオーバーホールは実施済み

厄介なE-GASやASRのコントロールユニットなどにも一通り交換やオーバーホールと手を加えています

 

 

 

なによりも前オーナーさんは九州の方でしたが
整備のたびに東京のW124専門ショップで陸送をわざわざして整備を重ねてきました

 

 

 

これは莫大な費用が掛かるのと同時にクルマへの愛がないとできない事

 

 

所有してきた人のクルマへの愛、整備した人のクルマへの愛は見ればすぐ伝わります

 

 

E30M3同様に現在戦争中

 

 

 

争奪戦が繰り広げられ、オートオークションなどで出てくるたびに最高値を更新するこのご時世

 

 

そんな世の中だからこそ

 

 

 

愛全開の一台、こういう物語がある一台を守る事が車屋の一つの使命だと思っています

 

 

 

この個体は後生大事に保管中。

 

やはりネオクラは素晴らしい。