外車・輸入車のエンジンオイル交換は定期的にやるべき?

クルマに詳しくない人や興味がない人でも、「エンジンオイル」という言葉は一度聞いたことがあるでしょう。多くのクルマにとってなくてはならない部品であり、地球上を走るクルマがすべて電気自動車に置き換わるまで必要とされる製品であることはたしかです。

今回は「エンジンオイルとは?」に触れつつ、輸入車で使われるエンジンオイルについても考察します。

目次

エンジンオイルの役割とは?

エンジンオイルには5つの役割があるといわれています。要約すると以下のようになります。

エンジンオイルの役割
  • 清浄作用:エンジン内部のスラッジや燃えカス、摩耗金属粉などの不純物を除去することで、エンジン内部のコンディションを維持します。
  • 潤滑作用:エンジン内部のパーツ同士の摩擦を減らすことで、金属粉の発生を抑えるだけでなく、スムーズに動かすことで摩耗を防ぎます。
  • 冷却作用:エンジン内部の熱を吸収・発散して冷却することで、高温になるのを防ぎ、焼き付きを防止します。
  • 防錆作用:エンジン内部に錆の原因となる空気や水分が触れるのを防ぐことで、錆の発生を抑制します。
  • 密封作用:ピストンリングとシリンダーの隙間を塞ぐことにより、燃焼室からのガス漏れを防止します。

いずれもエンジンが本来の性能を発揮し、長期的維持するためにエンジンオイルが担う役割の重要性がお分かりいただけると思います。

エンジンオイルの規格について

エンジンオイルには、品質や性能に関する厳格な規格が設けられています。規格は、エンジンオイルの種類を選ぶ上で重要な基準となり、車のエンジン性能を最適に保つために必要なものです。

特に輸入車では、エンジンの特性に適合したオイル選びが重要です。これらの規格の違いを理解し、正しいオイル選びをすることで、エンジンの寿命や性能に良い影響を与えることができます。

API(アメリカ石油協会)規格

API規格(アメリカ石油協会)とは、3つの協会「米国石油協会(API)・アメリカ材料試験協会(ASTM)・アメリカ自動車技術者協会(SAE)」が定める規格です。省燃費性、耐熱性、耐摩耗性など、エンジンオイルに必要な性能を設定したものです。

API規格のガソリンエンジンオイルには、SA(ベースオイル)・SB(最低レベルの添加物)・SC(1964年~1967年型のクルマ)・SD(1968年~1971年製のブローバイガス還元装置を装着したクルマ)・SE(1972年~1979年製のクルマ)・SF)1980年製〜のクルマ)・SG(1989年製〜のクルマ)・SH(1993年製〜のクルマ)・SJ(1996年製〜のクルマ)・SL(2001年製〜のクルマ)・SM(2004年製〜のクルマ)・SN(2010年製〜のクルマ)・SP(2020年製〜のクルマ)までの13段階の規格があります。

また、API規格のディーゼルエンジンオイルにはCA(負荷が軽度の場合)・CB(負荷が軽度〜中程度の場合)・CC(高負荷運転の過給機付きディーゼルエンジン/ガソリンエンジン)・CD(高速で運転するディーゼルエンジン)・CF(低速回転のディーゼルエンジン)・CF-4(大型トラック向け)に分けられます。

省燃費性・耐熱性・耐摩耗性などの性能をアルファベットで設定しています。

規格の表示は、ガソリン車は「S」、ディーゼル車は「C」ではじまり、それぞれ後ろにアルファベットが続く2文字で表されます。「SA」「SB」あるいは「CA」「CB」というように表示され、後ろのアルファベットが進むほど性能が高いことを示しています。

なお、ガソリン車とディーゼル車の両方に使えるオイルの場合は、「SL/CF」のように併記されます。

ILSAC(国際潤滑油規格諮問委員会)規格

ILSAC(国際潤滑油規格諮問委員会)規格は、日米の自動車工業会(ILSAC)が制定したもので、先述のAPI規格に省燃費性能を加えたものです。規格の種類はGF-1(API規格のSHに相当)・GF-2(API規格のSJに相当)・GF-3(API規格のSLに相当)・GF-4(API規格のSMに相当)・GF-5(API規格のSNに相当)・GF-6(API規格のSPに相当)に分類されます。

SAE(アメリカ自動車技術者協会)規格

エンジンオイルを選ぶ基準には「性能」と「粘度」があります。この「粘度」は、SAE(アメリカ自動車技術者協会)が定めた基準で示されます。

  • 低温時の温度:低温時のオイルの硬さや柔らかさを示すものであり、この数字が低いほど低温時に柔らかく「寒さに強い」「エンジン始動性が良い」「燃費効率が良い」ことを意味します。

0W・5W・10W・15W・20W・25W(数字が小さいほど粘度が低いことを意味します)

  • 高温時の温度:高温時のオイルの硬さや柔らかさを示すものであり、この数字が高いほど高温時に硬く「熱に強い」「高速走行に適する」ことを意味します。

20・30・40・50・60(数字が高いほど粘度が高いことを意味します)

JASO規格

JASO規格とは、JASO(日本自動車技術会)が制定した日本独自の規格です。主に国産車のクリーンディーゼルエンジンで使用されるオイルに多く適用されています。

なぜ、エンジンオイルを交換する必要があるのか?

クルマを走らせても、数年間動かさずにいても、エンジンオイルは確実に劣化していきます。格安または最高級のエンジンオイルであってもそれは変わりません。また、5万円のボロボロのクルマであっても、1億円のフェラーリであっても同じです。電気自動車のように、ガソリン(軽油やLPGを含む)で走るエンジンを搭載していない場合を除き、避けて通れないものです。

エンジンオイルは「潤滑油」であり、人間でいうところの血液のようなものです。人間の体重の約8%が血液とされています。体内を循環することで、絶えず新しい血液が生成されています。しかし、クルマのような工業製品は、(当然ながら)自ら新鮮なエンジンオイルを生成する機能はありません。そのため、定期的な交換が必要になるのです。

定期的にエンジンオイルを交換する理由とは?

極論をいえば、エンジンオイルを交換しなくてもエンジンは動きますし、クルマも(とりあえずは)走ります。現在使用しているエンジンオイルの使用年数や走行距離にもよりますが、長く使えば使うほどオイルは劣化し、エンジン本体にもダメージが及びます。

つまり、定期的にエンジンオイルを交換する理由は、「エンジンを常に健康な状態に保つために欠かせないメンテナンス」であると考えてください。暴飲暴食をしたツケが年齢を重ねたときにまわってくるように、定期的にエンジンオイルを交換しないことで、クルマの寿命を確実に縮めるのです。

エンジンオイルを交換する適切なタイミングとは?

最近のクルマは、エンジンオイルの交換時期をコンピューターが管理していて「あと15000キロで交換です」といった具合に、必要に応じてメーターパネル内のモニターに表示してくれます。環境への配慮もあり、ロングライフのエンジンオイルを用いることが多く、そのため頻繁に交換する必要がないように思われることが増えてきました。

裏を返せば、ロングライフのエンジンオイルの交換時期を逸すると、それだけオイルやエンジン本体へのダメージがジワジワと増えていきます。分かりやすく表現すると「環境に配慮しつつ、クルマの性能に影響が出ない範囲で、メーカーが推奨する交換時期」という合図なのです。

エンジンオイルの交換を怠った場合に起こるクルマへの影響は?

具体的には、エンジン内部の金属部品がこすれたときなどに出る金属粉やスラッジ(酸化物質)などがエンジンオイルに混じったり、やがてドロドロになり蓄積されていきます。その結果、エンジン本来の性能が発揮できなくなり、燃費が著しく悪化するなどデメリットが多くなります。

それでも、かろうじてエンジンオイルは潤滑油としての役目を果たしているので、エンジンは動き、クルマも走ります。やがてノッキングが起こり、最終的にはエンジンが焼き付いてブローします。エンジンは致命的なダメージを受けて、使いものにならなくなってしまいます。こうなってしまうと別のエンジンに載せ換えるしかありません。結果として数十万円〜の出費となってしまうのです。

国産車と輸入車のエンジンオイルは違う?

結論としては「国産車と輸入車のエンジンオイルオイルは違います」。では何が違うのかというと、エンジンオイルに求められる性能です。

たとえば、現行モデルのトヨタ カローラの推奨エンジンオイルは「トヨタ純正モーターオイル SP 0W-16 — API SP/RC, ILSAC GF-6B, SAE 0W-16」です。そしてメルセデス・ベンツCクラス(W/S206)の純正エンジンオイルは「Mercedes-Benz純正 エンジンオイル 5W-40 1L AMG車及びハイパフォーマンスガソリン車適合 MB 229.5」です。

現行モデルのカローラに推奨されているエンジンオイルは「0W-16」、メルセデス・ベンツCクラスは「5W-40」です。特にハイフンのあとの数字を見ると、カローラは粘土が低いエンジンオイル(省燃費オイル)が採用されている一方で、Cクラスは高速走行や耐摩耗性を重視していることが分かります。エンジンオイルひとつとっても、求められる性能がこれだけ異なるのです。

輸入車のエンジンオイルを交換するときに注意すべきポイントとは?

すでにお気づきかもしれませんが、国産車・輸入車を問わず、エンジンオイルならなんでもいいわけではなく、高級なオイルを入れれば問題解決というわけでもありません。「エンジンの特性に合ったエンジンオイルを選ぶ」ことが極めて重要です。エンジンの特性に合わないエンジンオイルを入れてしまうと、性能が低下したり、機械的な不具合が生じる可能性もあります。

では、「輸入車のエンジンオイルを交換するときに注意すべきポイントとは?」取扱説明書などに記載されている「指定のエンジンオイルの粘度に適合したものを選ぶこと」です。さらにいえば「輸入車に精通したプロフェッショナルにチョイスを任せるか、純正エンジンオイルを選ぶ」方が安全です。特に後者は、メーカーが承認した「お墨付きのエンジンオイル」でもあります。

エンジンオイルに限らず、大切なクルマを壊したくない場合は、「迷ったら純正部品を選ぶ」が鉄則です。

エンジンオイルを交換する工場はどこでもいいのか?おすすめは?

エンジンオイル交換はどこでも同じだと思うかもしれません。「結果的に」同じになるかもしれませんが、重要なのはその過程です。輸入車特有の専用工具やノウハウが必要な場合が多く、国産車と比較してデリケートな扱いが求められることがしばしばあります。

街の整備工場やカー用品店がだめかというわけではありませんが、担当するスタッフの練度がどれくらいあるかが重要です。当然ながら、輸入車の正規ディーラーのスタッフであれば、メルセデス・ベンツやBMW、ポルシェなど、各メーカーごとに定められたトレーニングを受けており、さらには専用の工具やマニュアルもそろっています。つまり、最高の環境がそろっているのです。それだけのコストを掛けているのですから、当然ながら料金も高め。輸入車は維持費が掛かるといわれる理由のひとつがこれです。

正規ディーラーはさすがにハードルが高いという場合は、輸入車に特化した専門の整備工場もおすすめです。その理由として、元ディーラーのメカニックが在籍していたりと、凄腕のスタッフが在籍していることも多いからです。また、料金も正規ディーラーよりリーズナブルな傾向があるため、コストパフォーマンスと信頼度のバランスを考えると、よい選択肢といえます。

まとめ:エンジンオイルはエンジンの潤滑剤!

繰り返しになりますが、エンジンオイルはエンジンの潤滑剤であり、まさに血液のような存在です。ネット通販やカー用品で安売りしているエンジンオイルを、特性を確認せずに愛車に使用すると、エンジンにダメージを与えたり、壊してしまうこともあります。

担当の整備工場のスタッフも、ユーザーが自己判断で壊してしまった部品は直してはくれますが「できれば素人は触らないで欲しい」というのが本音です。自己判断で決めず、迷ったときはその道のプロフェッショナルに相談する。またはプロに一任することを強くおすすめします。

エンジンオイルの交換やメンテナンスは愛車を長く快適に乗り続けるために欠かせない要素です。トップランクでは、輸入車の取り扱いに精通した専門スタッフが、お客様の愛車に最適なエンジンオイルの選定や交換をサポートします。

オンライン商談も受け付けておりますので、遠方の方もお気軽にご相談いただけます。ぜひトップランクにご連絡いただき、愛車をベストな状態に保つためのメンテナンスをご依頼ください。

 

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