アウディ RS3(8Y)はどんなクルマ?

アウディRS3スポーツバックとしては3代目、そしてアウディRS3セダンとしては2代目となる「8Y型」。高い実用性を備えつつ、公道やサーキットでも存分にハイパフォーマンスが堪能できるモデルとして高い人気を誇ります。

アウディのRSモデルではエントリーグレードにあたるRS3。そのポテンシャルは伊達ではありません。今回は「アウディ RS3(8Y型)」について詳しく解説します。

目次

RS3(8Y)の特徴

アウディRS3(8Y型)の特徴について詳しく見ていきましょう。

A3ベースの高性能モデル

「アウディRS3」は、アウディA3をベースに開発された、ハイパフォーマンスモデルです。最高出力400ps、最大トルクは500Nmという直列5気筒ターボエンジンは、往年のアウディファンには「5気筒」という響きに思わずニヤリとしてしまう数字でしょう。

このハイスペック&レスポンスを持つエンジンを搭載したアウディRS3は、ワイドなボディを持ち、レーシングカーのような室内、純内燃機関ならではの音色を引き立てるRSスポーツエキゾーストシステムが装備され「アウディRS」の名を冠するに相応しい仕立てとなっています。

2.5L 直列5気筒エンジン搭載、最高出力400PS

アウディRS3に搭載される「2.5 TFSIエンジン」は、9年連続で「インターナショナル エンジンオブザイヤー」の部門賞を受賞するまさに名機ともいえるエンジンです。また、同セグメントでもっともハイパワーであり、唯一の直列5気筒ターボエンジンを搭載するモデルでもあります。

5気筒エンジンの動力は、7速DSG(デュアルクラッチトランスミッション)によって路面に伝達され、電光石火のシフトチェンジとスポーティなギア比が特徴です。また、エンジン点火順序も特徴的であり「1-2-4-5-3」という独自の方式が採用され、独特なサウンドがアウディRS3の魅力を引き立てます。

そして、エキゾーストシステムには、可変タイプのフラップ制御システムが採用されたほか、中間の位置に設定することも可能になったことで、さまざまな音色を堪能することができます。しかも、この音色の特性は「アウディドライブセレクト ドライビングダイナミクスシステム」で調整することが可能です。例として、ダイナミックモードやRSパフォーマンスモードでは、フラップがより早い段階で開き、官能的な音を奏でます。さらに、オプションのRSスポーツエキゾーストシステムを装備すれば、アウディ伝統の5気筒エンジンの咆哮を堪能できます。

0-100km/hは3.8秒、最高速度280km/h。オプション装着で最高速度290km/hも可能

RSトルクスプリッター、セミスリックタイヤ、そして専用RSドライブモードにより、アウディRS3は0~100km/h加速を3.8秒で達成し、最高速度は280km/hに達します。

アウディRS3の最高速度は250km/hに制限されていますが、オプションで280km/hに引き上げることも可能です。さらにRSダイナミックパッケージとセラミックブレーキを装着すると、最高速度は290km/hに達するハイパフォーマンスを誇ります。

アウディRS3が、セグメントにおいて群を抜いた加速性能および最高速度の秘密には、2,250~5,600rpmといった幅広い回転域で発生する最大トルクが貢献しています。その一方で、最高出力400psの発生回転数は5,600rpmと、これは先代モデルよりも引き下げられています。

7,000rpmまでパワーを維持するエンジン特性を持ちあわせています。さらに、アウディRS3に搭載されるエンジンコントロールユニットはすべてのコンポーネントとの通信速度も向上しており、エンジン性能を存分に発揮するためにひと役買っています。

クワトロ四輪駆動システム、RSトルクスプリッター

アウディRS3は、アウディモデルとしては初となる「トルクスプリッター」を標準装備。これは、リアアクスルディファレンシャルや、従来のリアアクスルマルチプレートクラッチパッケージに代わるものであり、電子制御式のマルチプレートクラッチが左右のドライブシャフトに駆動力を配分します。

その結果、左右のリアアクスルにトルクが理想的に配分されます。このトルクスプリッターは、スポーツ走行時により大きな負荷がかかる外側のリアホイールの駆動トルクを増加させ、アンダーステアの傾向を大幅に軽減するといった効果を発揮します。

例えば、左コーナーでは右リアに駆動トルクを配分し、右コーナーでは左リアに配分します。さらに直進時には、左右のホイールに均等にトルクを配分します。

この「トルクスプリッター」により、サーキットではクルマを完全にコントロールした状態でドリフト走行することが可能になるのです。この場合、トルクスプリッターはすべてのパワーを左右どちらかのリアホイールに伝達します。

またアウディは、ドリフト専用のモード「RS Torque Rear」(RSトルクリア)と呼ばれるモードを新たに開発。このドリフトモードでは、トルクスプリッターのトルク配分曲線が専用のセットアップに切り替わります。

サーキット専用に設計された「RSパフォーマンスモード」は、アウディRS3初となるメーカーオプション設定されたセミスリックタイヤに合わせ、エンジンとトランスミッション設定が調整されています。

トルクスプリッターはアンダーステアとオーバーステアを抑え、ハイパフォーマンスな走行を実現します。そしてこれらのモードは、アウディドライブセレクト ドライビングダイナミクスシステムで選択が可能です。

また、アウディドライブセレクトには「コンフォート」「オート」「ダイナミック」「RSインディビジュアル」「エフィシェンシー」の各モードも設定されています。

RSスポーツサスペンション

アウディRS3に標準装備であるRSスポーツサスペンションには、新開発のショックアブソーバーとバルブシステムが採用されています。このバルブシステムにより、ショックアブソーバーは、伸び側および縮み側ともに非常に敏感なレスポンスを示します。

このサスペンションシステムは、ドライビングコンディションに対して迅速かつ効果的に対応します。さらに、アダプティブダンパーコントロール付きRSスポーツサスペンションプラスも用意されています。

このシステムは、道路状況や運転状況、選択されたモードに応じて、各ショックアブソーバーを個別に調整します。ショックアブソーバーの特性は、快適性、バランス、スポーツ性を重視した3つのモードが用意され、これまで以上に幅広い調整幅を持ちます。

ホイールキャンバー角を大きくした結果、さらに正確なステアリングレスポンスとコーナリングフォースの増加がもたらされます。Audi A3と比較すると、新型RS 3のフロントホイールには、約1度大きなネガティブキャンバーが設定されています。これを実現するために、ピボットベアリングが変更され、ロワーウィッシュボーンベアリングの剛性が強化されています。

フロントアクスルには、サブフレームとスタビライザーが装着されています。リアアクスルは、別体式のスプリング/ダンパー、サブフレーム、チューブラースタビライザーバーを備えた4リンクデザインを採用しています。

Audi A3およびS3より剛性の高いホイールキャリアは、トルクスプリッターにより横方向の力を吸収します。リアホイールのネガティブキャンバーは、A3比で約0.5度増加しています。

RS専用プログレッシブステアリングは、操舵角に応じてギアレシオを変化させます。操舵角が大きくなると、ギアレシオが小さくなり、よりダイレクトなステアリングになります。

また、速度に応じたパワーアシストがあり、アウディドライブセレクトで設定を変更できます。スプリングとショックアブソーバーは、硬めに設定されています。車高は、S3比で10mm、A3比で25mm低くなっています。

RS 3に新たに追加された機能は、モジュラービークルダイナミクスコントローラー(mVDC)があります。この集中制御システムは、横方向のダイナミクスに関連するすべてのコンポーネントからデータを取得し、それらのコンポーネントがより正確かつ迅速に作動できるように調整します。

mVDCは、トルクスプリッター、アダプティブダンパー、ホイールセレクティブトルクコントロールを同期させ、正確なステアリングと取り回しを実現します。全体として、特にワインディングロードにおける敏捷性が向上しています。

エクステリアおよびライティング

アウディRS3のフロントには、専用のRSバンパーが装着され、新たにデザインされたシングルフレームにはハニカムグリルが組み合わされるほか、フラットなウェッジシェイプLEDヘッドライトとLEDテールライトが標準装備されます。

どちらのシステムにもダイナミックターンインジケーターが組み合わされ、最新モデルらしい演出が施されています。またオプション設定にマトリクスLEDヘッドライトが用意されています。

ダークカラーのベゼルにはデジタルデイタイムランニングライトが内蔵され、ダイナミック リービングホーム/カミングホーム機能が作動すると、左側ヘッドライトにチェッカーフラッグ、ドライバー側には「RS 3」の文字が投影されます。また走行中には左右両側にチェッカーフラッグライトが点灯する演出が施されています。

フロントホイールアーチには新たにエアアウトレットが設定されています。ブラックトリムのサイドシルも新デザインとなり、大きく張り出したホイールアーチとともに、アウディRS3らしさを強調するアピールポイントとなっています。

注目すべきポイントはフロントのトレッドです。先代モデルと比較して33mmも拡大されています。しかもスポーツバックでは、リアトレッドも10mm広げられています。

RS 3には、10-Yスポークデザインの19インチ鋳造ホイールが標準装備されます。さらにレーシングカー的なデザインを求める方のために、RSロゴが施された5-Yスポークホイールがオプション設定されています。

また、アウディ史上初めてピレリP Zero「Trofeo R」パフォーマンス セミスリックタイヤがオプション設定されています。モータースポーツを連想させる装備には、ディフューザーを統合したRS専用リアバンパーと、2つの大きな楕円形テールパイプを備えたRSエキゾーストシステムがあります。

アウディRS3には「キャラミグリーン」と「ケモラグレー」の2つの専用色が設定されているほか、アウディRS3セダンのルーフを、コントラストカラーのブリリアントブラック仕上げにすることも可能です。

シングルフレームのハニカムグリルをはじめとするエクステリアパーツは、マットブラックまたはハイグロスブラック仕上げが標準です。また、オプションとして利用可能な「Alu-Optic Trim」パッケージを装備することで、フロントバンパーやディフューザーインサート、ウィンドートリムにアクセントが追加されます。

さらに、スポーティなスタイルを求めるユーザー向けに、カーボンファイバー強化ポリマー製のサイドイシルインレイが用意されています。この仕上げは、アウディRS3セダンではドアミラーカバーとテールゲートスポイラー、アウディRS3スポーツバックではルーフエッジスポイラーにも施すことができます。

レーシングカー・ライクなインテリア

インテリアにも数多くのアウディRS専用の装備が与えられ、よりスポーツ性を強調されています。アウディRS3には、12.3インチ ディスプレイを備えたアウディ バーチャルコクピット プラスが標準装備されます。このディスプレイは、エンジン回転数をバーグラフで表示するだけでなく、出力とトルクをパーセンテージで表示することも可能です。

また、オプションの「RSランウェイ」デザインのタコメーターは、滑走路を思わせる独特なスタイルで、通常とは反対に(最高値が手前、最低値が奥)エンジン回転数を表示するユニークな機能を持っています。

アウディバーチャルコクピットプラスには、加速度(G)、ラップタイム、0~100km/h加速、0~200km/h加速、1/4マイル(400メートル)加速、1/8マイル(200メートル)加速の表示も含まれています。

RS専用のシフトインジケーター(マニュアルモードで作動)は、グリーン、イエロー、レッドに変わりながら点滅し、理想的なシフトアップタイミングを知らせます。10.1インチタッチディスプレイには、水温、エンジン温度、トランスミッションオイル温度、タイヤ空気圧が表示されます。

アウディRS3として初めて、シフトライトインジケーターや、フロントウィンドウに情報を表示するヘッドアップディスプレイが設定されています。

カーボンファイバー製インストルメントパネルやRSエンボス加工が施されたRSスポーツシート、アンスラサイトのコントラストステッチが、レーシーな雰囲気を演出しています。

アウディRS3のシート地には、RSハニカムステッチとコントラストステッチが施されたファインナッパレザーも用意されています。このステッチカラーは、光沢ブラックとレッドに加えて、グリーンが初採用されています。

RSデザインパッケージにはレッドとグリーンの選択肢があり、組み合わせて利用することができます。このパッケージには、コントラストステッチとRS刺繍が施された専用フロアマットとカラーエッジ付きシートベルトが含まれます。デザインパッケージプラスを選択すると、シートバック コーナー(肩の部分)にレッドまたはグリーンの装飾が施され、エアベントにもアクセントカラーが配されます。

競合車種は?それぞれを簡単に比較!

アウディRS3(8Y型)の競合車種であるBMW M3セダンやメルセデスAMG C43のスペックをまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。

RS3スポーツバック

スペック
  • 全長×全幅×全高:4390×1850×1435mm
  • ホイールベース:2630mm
  • 車両重量:1600kg
  • 駆動方式:4WD
  • トランスミッション:7速AT(7速Sトロニック)
  • エンジン:直列5気筒DOHCインタークーラーターボ
  • 排気量:2480cc
  • エンジン最高出力/最大トルク:400ps/500N・m
  • ステアリング:右

RS3 セダン

スペック
  • 全長×全幅×全高:4540×1850×1410mm
  • ホイールベース:2630mm
  • 車両重量:1600kg
  • 駆動方式:4WD
  • トランスミッション:7速AT(7速Sトロニック)
  • エンジン:直列5気筒DOHC20バルブインタークーラーターボ
  • 排気量:2480cc
  • エンジン最高出力/最大トルク:400ps/500N・m
  • ステアリング:右

BMW M3セダン コンペティション MX Drive(G80)

スペック
  • 全長×全幅×全高:4805×1905×1435mm
  • ホイールベース:2855mm
  • 車両重量:1800kg
  • 駆動方式:4WD
  • トランスミッション:8速AT
  • エンジン:直列6気筒DOHCツインターボ
  • 排気量:2992cc
  • エンジン最高出力/最大トルク:530ps/650N・m
  • ステアリング:右

メルセデスAMG C43 4マチック(W206)

スペック
  • 全長×全幅×全高:4785×1825×1450mm
  • ホイールベース:2865mm
  • 車両重量:1830kg
  • 駆動方式:4WD
  • トランスミッション:9速AT
  • エンジン:直列4気筒DOHCターボ+モーター
  • 排気量:1991cc
  • エンジン最高出力/最大トルク:408ps/500N・m
  • ステアリング:右/左

RS3の新車価格と中古車価格は?

アウディRS3は、その性能とデザイン性から高い人気を誇り、新車価格も中古車価格も非常に安定しています。

ここでは、2024年10月時点の新車および中古車価格を紹介します。

新車価格について

※この価格は2024年10月時点のものです。

価格

RS3 セダン:8,490,000円

これまで発売された限定車について

価格

RS3スポーツバック 1stエディション:(2021年3月/限定50台):8,990,000円

※2024年10月現在、RS3スポーツバック/RS3 セダンの中古車相場は以下のとおりです(カーセンサー調べ)。

RS3スポーツバック

価格
  • 平均価格:899.4万円
  • 価格帯:718万円~988万円

RS3 セダン

価格
  • 平均価格:840.5万円
  • 価格帯:680万円~1080 万円

RS3はどんな人におすすめか?

アウディRS3をおすすめしたいのは、「俊敏に動く、4ドアスポーツセダン(ハッチバック)」をこよなく愛する方です。ボディサイズで比較すると、BMW M3セダンやメルセデスAMG C43より一回りコンパクトであることが分かります。

フォルクスワーゲン ゴルフ8のボディサイズが全長×全幅×全高:4295×1790×1475mmmであることを考えると「少し大きなゴルフ」くらいのイメージが近いかもしれません。

2ドアクーペやオープンモデルも気になるけれど、4名乗車・4ドアは欠かせないというライフスタイルであり、なおかつハイパフォーマンスモデルのクルマというセレクトはぜったいに妥協したくないという方におすすめします。RS4やRS6の方がよりパワフルですが、ボディが大きくなる分、どうしても俊敏性やコーナリング中の回頭性でRS3には及びません。

ドライバーの腕次第で、ポルシェやメルセデスAMG、BMW Mシリーズを圧倒できる数少ないコンパクトハイパフォーマンスモデルとして注目の1台です。アウディRS3(8Y型)の購入を検討している方は、ぜひトップランクまでお問い合わせください。高い実用性とハイパフォーマンスを兼ね備えたRS3に関する質問やご相談にも、専門スタッフが丁寧に対応いたします。

また、オンライン商談も承っており、遠方の方でも安心してご購入いただけます。RS3の魅力を最大限に引き出す1台を見つけるお手伝いをいたしますので、お気軽にご相談ください。

 

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