2002年のデビュー以来、ポルシェの屋台骨を支える存在となったカイエン。実は、ポルシェのラインナップの中でも長年トップクラスの販売台数を誇るのがこのカイエンです。スポーツカーブランドであるポルシェにとって、SUVは大きな挑戦でしたが、いまやブランドの経営を支える中心的なモデルへと成長しました。
本記事では、ガソリン車とプラグインハイブリッド車(PHEV)を展開する3代目カイエン(E3型)を中心に、歴史や魅力、内装、グレードの特徴を解説します。2023年発表の大幅改良前後と2代目の違いも整理します。電気自動車のカイエン エレクトリックは別モデルとして扱います。掲載写真は在庫車の一例で、年式・グレード・装備により仕様は異なります。
ポルシェ カイエンの魅力とは?

ポルシェの「4ドア」への挑戦
初代カイエンが登場するまで、ポルシェの市販車には2ドアモデルしか存在しませんでした。実は1980年代後半に「989」という4ドアセダンのプロトタイプが造られたことがあります。その顔つきや全体のフォルムは、後に登場するタイプ996の911によく似ており、まさに「4ドア版911」と呼べるスタイリングでした。
しかし当時、ポルシェを象徴する911は「乗り手を選ぶ硬派なクルマ」という価値観が根強く、「ポルシェが4ドアなんて」という拒否反応が多くのユーザーから示されたのです。989は市販化に至らず、幻のモデルとなりました。
カイエンとマカンが切り拓いたポルシェの新時代
それからおよそ10年。ポルシェは、これまでのラインナップとはまったく異なるカイエンを世に送り出します。ポルシェのエンブレムを掲げながら、リアゲートを含めるとドアは5枚。しかもSUVという、ポルシェにとって未知のカテゴリーへの参入でした。当然、熱心なポルシェファンからは否定的な声も上がります。
ところが蓋を開けてみると、これが大きく「刺さった」のです。ポルシェに興味はあっても2ドアしか選べなかった層や、スポーツカー以外のポルシェを求めていた層のニーズをつかみ、カイエンは新しいもの好きの富裕層から熱い支持を得ました。その後の人気ぶりは多くを語るまでもありません。やがて弟分のマカンが登場し、カイエンと人気を二分していきます。
ポルシェのシンボルが911であることは、今も昔も変わりません。しかし、今日のポルシェの業績を押し上げ、支えているのがカイエンとマカンであることも、また間違いのない事実なのです。
カイエンと競合するSUV

いまやSUVは、超がつくほどの激戦区です。フェラーリやランボルギーニといったスーパースポーツ中心のメーカーですらSUVをラインナップする時代となりました。カイエンにも強力なライバルがひしめいており、その中にはEVも含まれます。ポルシェが自信を持って送り出したカイエンといえども、決して安泰ではありません。
カイエンと同じ価格帯、あるいはライバルとなりうるSUVとしては、次のようなモデルが挙げられます。
レクサスLX、メルセデスマイバッハGLS、メルセデスベンツGLS/GLE、メルセデスベンツEQS SUV/EQE SUV、BMW XM/X7/X6 M、アウディQ7/SQ7、アウディQ8/SQ8/RS Q8、アウディQ8 e-tron、ベントレー ベンテイガ、アストンマーティンDBX、レンジローバー/レンジローバースポーツ/ヴェラール、ランドローバー ディフェンダー、ランボルギーニ ウルスなど。錚々たる顔ぶれの中で確固たる地位を保っているのが、カイエンの実力を物語っています。
カイエンはどんなユーザーに支持されているのか?

カイエンを選ぶユーザー像とは、どのようなものでしょうか。あくまで独断と偏見を承知でタイプ分けすると、おおよそ次の3つに分けられます。
1. ファミリーカーとして選ぶ層
「ミニバンは生活感があって乗りたくない」「どうせなら所有感が満たせて、どこへ行っても見劣りしないステータス性のあるクルマがいい」。そんな方にとって、カイエンはうってつけのSUVです。都市部で駐車場が1台分しかない、あるいは複数台の所有が難しいという場合でも、「ファミリーカーとして使いつつ、ポルシェという名門ブランドを所有している」という満足感を得られます。
2. 富裕層の足車として選ぶ層
複数の高級車やスーパースポーツを所有し、911もガレージに収まっているような富裕層が、日常の足として、あるいは家族も運転するクルマとしてカイエンを選ぶケースです。近所の買い物からゴルフやマリンスポーツの足として、少し遠出して海沿いのレストランへ大人4人で向かう、といったあらゆるシーンで、カイエンはオールラウンダーとして活躍してくれます。
3. ポルシェに憧れつつ、スポーツカーは求めていない層
「ポルシェ=911」という図式は、キャリアを積んだベテランのクルマ好きに当てはまることが多いものです。しかし、そうした固定観念にとらわれず、初めて出会ったポルシェがたまたまカイエンで、「いつか自分も手に入れたい」と憧れる若いユーザーがいても不思議ではありません。カイエンはポルシェというブランドの裾野を確実に広げ、2ドアモデル専売の時代には考えられなかった新しいユーザーを獲得しているのです。
現行カイエンのグレードについて

3代目カイエン(E3型)は2017年に世界初公開され、2023年には大幅な改良(2024年モデルへのマイナーチェンジ)を受けました。改良後の現行モデルは、ボディタイプとしてスタンダードなSUVと、流麗なルーフラインを持つクーペが用意されています。
パワートレインの構成は幅広く、次のようなグレードが展開されています。3.0L V6ターボを積むスタンダードな「カイエン」、V6ターボとモーターを組み合わせた「カイエン E-ハイブリッド」、4.0L V8ツインターボの「カイエンS」、3.0L V6ターボとモーターを組み合わせた「カイエンS E-ハイブリッド」、走りを際立たせたV8ツインターボの「カイエンGTS」、そしてシステム最高出力739PS(エンジン単体599PS)を発揮する「カイエン ターボE-ハイブリッド」まで。ガソリンからハイブリッドまで、ユーザーの好みや用途に応じて選べる懐の深さが、現行カイエンの大きな魅力です。
現行カイエンの内装の魅力

3代目カイエンの内装は、改良前後で大きく異なります。改良前は中央のアナログタコメーターが特徴ですが、2023年発表の改良後は12.6インチのフルデジタル曲面メーターパネルを採用しました。911と共通するデザインのステアリングホイールや、ドライバーの手元に主要操作をまとめた配置により、スポーティさと使いやすさを両立しています。中古車を選ぶ際は、写真と実車で改良前後の仕様を確認しましょう。
メーターパネルとセンターディスプレイはドライバー寄りにレイアウトされていますが、オプションの10.9インチタッチスクリーンディスプレイは助手席の同乗者のための装備です。ナビゲーションやインフォテインメントの操作ができるほか、メーターパネルのデータを確認することも可能。オプションの動画ストリーミングサービスを使えば、走行中でも助手席でビデオを楽しめます(安全性に配慮し、助手席からのみ視聴可能です)。
センターコンソール中央のエアコンやシートヒーターなどの操作系は、物理スイッチとタッチパネルを組み合わせたシンプルな構成。パネル表面はグロスブラック仕上げのため指紋が目立ちやすく、気になる方はこまめなクリーニングをしておくと美しさを保てます。
内装色は、ダッシュボードやドアパネルの上半分をブラックとし、下側やシートにクレヨン、ボルドーレッド、モハーベベージュなどを組み合わせたツートーン仕上げが人気です。スポーティかつ厚みのある8ウェイシートは適度にタイトで、大人4人での移動(定員は5名)でも極めて快適な空間を提供してくれます。シートヒーターやシートベンチレーションなどの標準・オプション装備は、年式やグレードによって異なります。室内を4つのゾーンで個別に空調管理できる4ゾーンオートマチッククライメートコントロールも、快適性を求めるなら押さえておきたい装備です。
先進の運転支援と実用装備
現行カイエンは、装備の充実度でも高い満足感をもたらします。「Hey Porsche」と話しかけるだけで、ナビゲーション、音楽、エアコン、アンビエントライトなどを音声で操作可能。行き先を伝えれば、リアルタイムの交通情報をふまえた最適なルートを提案してくれます。専用アプリをスマートフォンに入れれば、車両データや位置情報を離れた場所から確認することもできます。「Porsche Connect」の対応機能や利用条件、無償利用期間は年式・契約等によって異なるため、購入時に確認しましょう。
また、12.3インチの高解像度センターディスプレイは、ポルシェコミュニケーションマネジメント(PCM)を一括制御。多くの運転機能や快適機能、標準装備のオンラインナビゲーションやマルチメディア機能を直感的に操作できます。
先代モデル(2代目)の内装の魅力

2代目カイエンは2010年に登場した世代です。この世代の内装は、同時代のポルシェに共通するデザインを取り入れています。現行モデルと比べると「物理スイッチの嵐」と言えるかもしれません。このあたりは初代カイエンのテイストを色濃く残している部分です。
液晶パネルは、5連メーターの右から2番目(カーナビやクルマの情報を表示するマルチファンクションディスプレイ)と、センターコンソールのカーナビのみ。エアコンやシートヒーターなどは、それぞれの物理スイッチを見つけて操作する必要があります。とはいえそこはポルシェ。ドライバーが使いやすいレイアウトになっており、一度スイッチの位置を覚えれば、視線をほとんど動かさずに操作できるでしょう。
シートのデザインも、現代の視点で見ると少しクラシックに映るかもしれません。その分、重厚感があり、現行モデル以上に「ポルシェを着る」という感覚が味わえます。物理スイッチ主体の操作系や重厚な内装に魅力を感じる方には、あえて先代を選ぶ楽しみもあります。
現行と先代の違いを比較する

現行カイエンと先代カイエンの特徴を、端的にまとめると次のようになります。
現行モデルは、大型タッチスクリーンと音声操作を軸にした先進的なインターフェースが特徴で、ハイブリッドを含む幅広いパワートレインから選べる点が魅力です。デジタル化が進み、最新の運転支援や快適装備を存分に味わいたい方に向いています。
一方の先代モデルは、物理スイッチ主体の操作系と重厚な内装が持ち味。クラシックな味わいと、価格のこなれた中古車ならではのコストパフォーマンスを重視する方に適しています。どちらもカイエンらしい走りと質感を備えており、何を優先するかで選び方が変わってきます。
ポルシェ カイエンはこんな人におすすめ

ポルシェ カイエンは、「ポルシェというブランドの所有感を味わいたいけれど、実用性も妥協したくない」という方に最適な一台です。ファミリーカーとして日常を支えながら、ステアリングを握ればまぎれもなくポルシェの走りが味わえる。この二面性こそがカイエン最大の魅力と言えるでしょう。ハイブリッドを含む豊富なグレードから、自分のライフスタイルに合った一台を選べるのも大きな利点です。
ただし、カイエンのような輸入プレミアムSUVは、グレードやオプション、そして中古車のコンディションによって満足度が大きく変わります。だからこそ、状態の良い個体を見極め、購入後も安心して任せられるお店選びが重要です。輸入車専門店として豊富な取り扱い実績と自社サービス拠点を持つトップランクであれば、状態の良いカイエンをご提案するだけでなく、購入後のメンテナンスや保証も丁寧に整えてご案内できます。ポルシェ カイエンの中古車を検討し始めたときは、ぜひ一度トップランクへご相談ください。




