2002年のデビュー以来、ポルシェの屋台骨を支えるモデルとして欠かせない存在となったカイエン。メーカーのプレスリリースによると、実は、2023年に全ポルシェのラインナップのなかでもっとも売れたのがカイエンなのです。全モデル合計320,221台の販売台数に対して、カイエンは87,553台(前年比8%減)。3割以上の販売台数をカイエン1モデルでたたき出していることになります。
今回はそのカイエンの内装の魅力について掘り下げてみましょう。
ポルシェカイエンの魅力とは?
ポルシェの「4ドアセダン」の試み
初代カイエンが発売されるまで、ポルシェの市販車には2ドアのモデルしか存在しませんでした。実は1980年代後半に「989」という4ドアセダンのプロトタイプモデルが造られました。
その顔つきや全体的なフォルムは後に誕生するタイプ996と呼ばれる911に酷似しており「まさに4ドア版911」といったスタイリングだったのです。当時、928や944にはATモデルが存在したものの、911にATが搭載されるのは、1990年に「ティプトロニック」と呼ばれるタイプ964の2駆モデル「カレラ2」が初めて。
ポルシェを象徴するモデルである911は乗り手を選ぶ硬派なクルマ。そんな価値観が「ポルシェが4ドアセダンなんて……」と、多くのユーザーが拒否反応を示したのです。
カイエンとマカンの登場によるポルシェの新たな時代
それからおよそ10年。ポルシェはカイエンという、これまでのラインナップとはまったく異なるモデルを世に放ちます。
ポルシェのエンブレムを冠しながらも、リアゲートのハッチを含めるとドアは5枚。さらにSUVという「初ものづくし」のモデルとしてデビューしたのです。SUVという、ポルシェにとって未知のカテゴリーにスポーツカーブランドとして参入します。当然ながら熱烈なポルシェラヴァーからは否定的な意見が飛び交います。
しかし、蓋を開けてみると……。これまでポルシェというブランドに興味がありつつも、2ドアしか選択肢がなかったことに加え、スポーツカー以外のモデルを望んでいたユーザーに「刺さった」のです。カイエンとプラットフォームを共有する、実質的なきょうだい車といえるフォルクスワーゲン トゥアレグの上位車種であるカイエンは、新しいモノ好きの富裕層のニーズをわしづかみにしました。その後のカイエンの人気ぶりは多くを語るまでもありません。やがて弟分のマカンがデビューし、カイエンと人気を二分していきます。
いまも昔も、ポルシェにとってのシンボルが911であることに異論はないでしょう。しかし、今日のポルシェ社の業績を押し上げ、なおかつ支えているのは、カイエンとマカンであることは間違いありません。
カイエンと競合するSUVとは?
いまや、超がつくほどの激戦区であるSUV。フェラーリやランボルギーニといったスーパースポーツモデルが主軸のメーカーですらSUVをラインナップする時代となりました。カイエンにはこれほどまでの強力なライバル車がひしめいており、なかにはEVも含まれます。ポルシェが自信を持って世に送り出したカイエンといえども安泰ではないのです。
ライバルと位置づけられるSUV
ポルシェカイエンと同じ価格帯のSUVや、ライバルとなりうるであろうSUVは以下などが挙げられます。
- レクサスLX
- メルセデスマイバッハGLS
- メルセデスベンツGLS
- メルセデスベンツGLE
- メルセデスベンツEQS
- メルセデスベンツEQE
- BMWXM
- BMWX7
- BMWX6M
- アウディQ7
- アウディ SQ7
- アウディ RS Q7
- アウディQ8
- アウディ SQ8
- アウディ RS Q8
- アウディQ8 e-tron
- アウディ e-tron
- ベントレーベンテイガ
- アストンマーティンDBX
- レンジローバー
- レンジローバースポーツ
- レンジローバーヴェラール
- ランドローバーディフェンダー
- ランボルギーニウルス
カイエンはどのようなユーザーに支持されているのか?
カイエンを好むユーザー像とはどのようなものでしょうか。独断と偏見を承知で分類すると、おおよそ以下に分けられると考えます。
1.ファミリーカー
ミニバンは生活感があって乗りたくない、せっかく車を購入するなら所有感が満たせる、どこへ乗っていっても恥ずかしくないステータス性のあるモデルに乗りたい。そんなユーザーにとってカイエンはうってつけのSUVといえます。また、都市部に住んでいて駐車場は1台分しかスペースがない、あるいは経済的に複数台所有するのが困難である場合「ファミリーカーとしての役割をこなしつつ、ポルシェという名門ブランドのクルマを所有している」という満足感も得られます。
2.富裕層の足車
複数の高級車、あるいはスーパースポーツモデルを所有し、当然ながら911もガレージに収まるレベルの富裕層にとっての足車、あるいは奥さまなど家族も運転するクルマとしてカイエンをチョイスするケースも考えられます。近所の買い物から、ゴルフやマリン&ウィンタースポーツの足として、あるいは少し遠出をして海沿いのレストランまで大人4人で食事に行く……など、カイエンが1台あればオールラウンダーとして活躍してくれることでしょう。
3.ポルシェというブランドに憧れを抱くユーザー(でもスポーツカーは求めていない)
ポルシェ=911という図式が当てはまる多くのケースは、それなりのキャリアを積んできたベテランのクルマ好きである可能性が高いです。しかし、そういった先入観や固定観念にしばられず、初見のポルシェがたまたまカイエンだった……いつか自分も手に入れてみたいという若いユーザーがいても何ら不思議ではありません。カイエンという存在が、ポルシェというブランドの裾野を確実に広げ、かつての2ドアモデル専売の時代には考えられないような、新たなユーザーを獲得していることは間違いありません。
現行カイエンのグレードについて
カイエンとしては3代目にあたる現行モデルは2018年にデビューしました。現行モデルのグレードは以下となります(2024年1月現在)。
モデル | 価格(円) | 全長×全幅×全高(mm) | ステアリング |
カイエン | 11,980,000 | 4930×1983×1698 | 右 |
カイエン E-ハイブリッド | 14,400,000 | 4930×1983×1696 | 右 |
カイエン S | 16,440,000 | 4930×1983×1697 | 右 |
カイエン S E-ハイブリッド | 16,440,000 | 4930×1983×1678 | 右 |
カイエン ターボ E-ハイブリッド | 15,910,000 | 4930×1983×1685 | 右 |
カイエン クーペ | 12,730,000 | 4930×1983×1678 | 右 |
カイエン E-ハイブリッド クーペ | 13,950,000 | 4930×1983×1674 | 右 |
カイエン S クーペ | 16,440,000 | 4930×1983×1678 | 右 |
カイエン S E-ハイブリッド クーペ | 16,560,000 | 4930×1983×1657 | 右 |
カイエン ターボ E-ハイブリッド クーペ | 24,910,000 | 4930×1983×1664 | 右 |
カイエン ターボ E-ハイブリッド クーペ with GTパッケージ | 27,900,000 | 4930×1983×1652 | 右 |
現行カイエンの内装の魅力について
現行カイエンの内装は、ポルシェのラインアップの一員らしい、ドライバー志向のデザインでまとめられています。メーターパネルでもっとも目を引く大型のタコメーターが中央に配置された5連メーターはまさに911譲り。マルチファンクションスポーツステアリングホイールはもちろんのこと、各スイッチ類も現行911(タイプ992)などと同じ仕様のものを採用しています。
メーターパネルとセンターディスプレイはドライバー寄りにレイアウトされているとはいえ、オプションの10.9インチタッチスクリーンディスプレイは助手席に座る人のための装備。ナビゲーションおよびインフォテインメント機能の操作が可能であり、さらにメーターパネルのデータを分析することもできます。また、オプションの動画ストリーミングサービスを使用することで、運転中に助手席のディスプレイでビデオをストリーミング可能(安全性を考慮して助手席のみ視聴可能です)。
センターコンソールの中央部に配置されたエアコンやシートヒーターなどの操作系は、物理スイッチとタッチパネルを組み合わせたシンプルなもの。パネル表面はグロスブラック仕上げとなっているため、指紋が目立ちやすく、汚れが気になるユーザーは定期的なクリーニングが必要です。
内装色は、ダッシュボードおよびドアパネルの上半分はブラックを基調に、オプションで各下側やシートのカラーをクレヨンやボルドーレッド、モハーベベージュなどと組み合わせるツートーン仕上げとする仕様が人気です。
スポーティかつ厚みのある8wayシートは適度にタイトで、大人4人での移動(定員は5人)であれば、極めて快適な移動空間といえます。なお、ポルシェの伝統で、シートヒーターやシートベンチレーションなどはいずれもオプション設定となっています。また、こちらもオプションながら、室内の空調をコントロールしてくれる4ゾーンオートマチック クライメートコントロールは必須装備といえるでしょう。
運転支援システムなどの各種装備や、ナビなどの実用性について
「Hey Porsche」と声で指示を出すだけで、ナビゲーション、音楽、エアコン、アンビエント ライトなど、あらゆるものをコントロールできるほか、行きたい場所を伝えると、リアルタイム交通情報を考慮にいれた最適なルートを選択可能です。また、専用のアプリをスマートフォンにインストールすることで、車両データや位置情報などを離れた場所からチェック可能できるなど、多彩な機能を備えた「Porsche Connect(新車登録時から3年間は無料)」はぜひ活用したいところ。
また、12.3インチ高解像度センターディスプレイは、ポルシェコミュニケーションマネジメントシステム(PCM)を一括制御し、ドライバーは従来と同じく多くの運転機能や快適機能、標準装備のオンラインナビゲーションやマルチメディア機能を操作することが可能となっています。
先代モデルのグレードについて
カイエンとして2代目にあたる先代モデルの販売期間は2010年3月~2017年12月まで。最新モデルを軸に、グレード一覧(2017年6月時点)をまとめてみました。
モデル | 価格(円) | 全長×全幅×全高(mm) | ステアリング |
カイエン | 8,940,000 | 4855×1939×1705 | 右 |
カイエンS | 11,840,000 | 4855×1939×1705 | 右/左 |
カイエンS E-ハイブリッド | 12,110,000 | 4855×1939×1705 | 右/左 |
カイエン ターボ | 17,660,000 | 4855×1939×1700 | 右/左 |
カイエン ターボS | 22,730,000 | 4855×1939×1700 | 右/左 |
先代モデルカイエンの内装の魅力について解説
先代モデルのカイエンの内装は、911であれば先代モデルのタイプ991のデザインに準じているといえます。現行モデルと比較すると「物理スイッチの嵐」といえるかもしれません。このあたりは初代カイエンのデザインテイストを色濃く残しているといえるでしょう。
液晶パネルも、5連メーターの右から2番目(カーナビやクルマの情報を知らせるマルチファンクションディスプレイといったところ)と、センターコンソールのカーナビのみ。エアコンやシートヒーターなど、各操作はそれぞれの物理スイッチを見つけて操作する必要があります。しかし、そこはポルシェ。ドライバーが使いやすいレイアウトとなっており、いちどスイッチの場所を把握できればそれほど視線を移すことなく操作できるでしょう。
シートのデザインも現代の視点で見ると少しクラシックに映るかもしれません。その分、重厚感があり、現行モデルよりも「ポルシェを着る」という感覚が味わえそうです。
現役と先代の特徴をまとめて比較する
現行のカイエンと先代カイエンの特徴を端的にまとめると以下のようになります。
高電圧バッテリーの容量を25.9kWhに増大し、176psを発生する新しい電気モーターと組み合わせた結果、合計出力が470psにアップしたハイブリッドモデルを中心に、最新のコネクティングサービスを楽しめる(新車登録時から3年間は無料)「Porsche Connect」など、現代の最新デバイスが満載
最高出力300ps/420ps/440psを発生するV型6気筒3.6Lエンジン、最高出力520ps/570psを発生するV型8気筒 4.8Lツインターボエンジンなど、爆発的なパワーを堪能できるエンジンを堪能しつつ、クラシカルな領域に入りつつある重厚さを持つ内外装。
ポルシェカイエンはこんな人にオススメ
予算は潤沢にあり、最新のコネクティングサービスやポルシェの洗練されたデザインを存分に味わいたい。新車保証を継承したい、故障などのトラブルはできるだけ回避したいユーザー向け
予算が限られているが、多少のトラブルは覚悟のうえ、スポーツモデルではなくファミリーカーとして、あるいは普段の足にもなるポルシェが欲しいユーザー向け
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ご予算や希望する仕様、コンディションなど、求める条件も、ユーザーの皆さまおひとりおひとりに違いがあるように、中古車も1台として同じクルマがないのです。
たとえば、まったく同日に納車され、同様の走行距離を経てオーナーが手放した2台のカイエンがあったとして、保管環境や使用状況や整備記録など、日常の使い方の細かい違いの積み重ねが、やがて「コンディションの差」となって明確に現れます。その答えが市場の評価として店頭に並ぶ際の販売価格となるのです。
もちろん、クルマの状態を確かめるために店舗に行くことが難しいお客様もいらっしゃると思います。そういったお客様のためにも当社ではスマホでリアルタイムに安心・簡単にクルマが見れるオンライン商談もおこなっており、全国のお客様に販売しています。弊社セールススタッフがご納得がいくまで説明いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。