ベンツ Vクラスは故障が多い?Vクラスの購入時に知っておきたい注意点

日本では長年ミニバンの人気が高く、高級志向のラグジュアリーミニバンが登場して以降、ショーファードリブンの世界でもミニバンの普及は目覚しいものがあります。しかし、外車のミニバンを探すと選択肢は意外と多くはありません。

その中でベンツVクラスは、ラグジュアリーミニバンとして位置づけられています。単なるラグジュアリーさだけでなく、ベンツの世界観を兼ね備えたVクラスの魅力やウィークポイントを把握した上での選び方を紹介します。

目次

Vクラスはどんな車?

ベンツのVクラスは国内で購入できる外車のミニバンでは、最も大きくラグジュアリーなモデルです。意外なことに国産大型ミニバンと同時期にデビューしており、国境を超えたライバル関係といえます。

ミニバンという性質上、大勢でベンツの世界観を共有できるモデルです。

歴代Vクラス

ベンツ Vクラスは、歴代モデルを通じて多くの進化を遂げてきました。初代から現行モデルまでの特徴と変更点を振り返り、各世代の魅力を詳しく解説します。

初代(W638)

1996~2003年に本国であるドイツで販売されていました。日本には1998年から導入されています。商用車のバンをベースとして開発されたモデルです。この初代モデルは前輪駆動となっている点が特徴です。エンジンは2.3リッター直列4気筒と2.8リッターV型6気筒のガソリンエンジンが販売されていました。

同時期に日本でも従来のワンボックスタイプの大型ミニバンとは異なる、ボンネット付き大型ラグジュアリーミニバンという新たなカテゴリーが誕生し、そのブームは現在も続いています。ブームが始まったタイミング、他の欧州ブランドにはないミニバンかつベンツとしては比較的割安な価格設定だったため、初代のVクラスも人気モデルでした。

2代目(W639)

2003年~2014年に販売され、当初Vクラスではなく「ビアノ」としてデビューしました。その後、2006年に行われたマイナーチェンジのタイミングで再びVクラスの名前に戻りました。

初代から大幅に乗用車ライクなモデルへと進化を遂げました。特に日本仕様は、電動デュアルスライディングドアや対座シートなど装備を充実させ、日本のラグジュアリーミニバン人気に対応していました。

グレードは、標準グレードの「トレンド」と上級グレードの「アンビエンテ」の2種類が用意されていました。アンビエンテには2種類のボディタイプが用意されました。トレンドと共通の標準ボディとロングボディとなり、ロングはラゲッジ部分が25cm延長されています。

パワートレインは、デビュー当初3.2リッターV型6気筒ガソリンエンジンに後輪駆動が組み合わせられました。その後、2007年のマイナーチェンジで3.5リッターV型6気筒ガソリンエンジンに変更され、最高出力も引き上げられました。

3代目(W447)

現行モデルとなる3代目は2014年にデビューし、日本での販売は2016年から始まりました。特筆すべき点は、2列目と3列目のシートが着脱可能で、多彩なシートアレンジができる点です。

2列目は左右それぞれ独立したキャプテンシート、3列目はベンチシートとなります。3列目は大きく重いため、脱着にはそれなりの労力が必要です。

しかし、外すことで広大なスペースを確保できます。

また、各席にシートベルトが内蔵されているため、シートの取り付け位置を変更しても使用できます。パワートレインは、デビュー当初2.1リッター直列4気筒ディーゼルエンジンと、先代の5速から多段化された7速オートマチックトランスミッションが組み合わされました。

2018年に発売された限定車「V260ロング」には2.0リッター直列4気筒の直噴ガソリンターボエンジンが搭載されました。ガソリンエンジンは限定モデルのみの採用となっており、標準モデルとしては採用されなかったため、ガソリンエンジンを希望する場合は限られた条件で探す必要があります。

標準モデルのパワーユニットは2022年のマイナーチェンジにて2.0リッターの直列4気筒ディーゼルエンジンに変更となり、さらに多段化され9速となったオートマチックトランスミッションが組み合わされます。

2024年には大型マイナーチェンジが行われ、エクステリアとインテリアのデザインが大幅に変更されました。特にインテリアは、他モデルと同様に最新のデザインテーマとインターフェースを採用し、一新されました。

また、走行性能の点としてはエアサスペンションの「エアマチックサスペンション」を新たにグレード別に標準装備としました。より快適な乗り心地を実現するとともに、高速走行時には車高を下げて運動性能を向上させ、未舗装路では車高を上げて走破性を高めることができます。

安全装備についてもアップデートが行われました。多くの採用車種があるデジタルルームミラーの採用、もしもの際に左右席の間に出てくるセンターエアバッグの設定、フロントとリアウィンドウにもエアバッグを設定し、ガラスの飛散を抑えることができます。

多彩なボディバリエーション

3代目のボディバリエーションはさらに増えて標準ボディ、ロングボディ、エクストラロングボディの3種類です。全幅は、すべてのボディタイプで共通の1930mmです。

それぞれの全長をまとめました。

Vクラス標準ボディロングボディエクストラロング
全長4,895mm5,140mm5,370mm

街中で見かけることの多いトヨタ ハイエースと比較してみます。

ハイエース標準ボディロングボディエクストラロング
全長4,895mm5,140mm5,380mm
全幅1,695mm1,880mm1,880mm

スーパーロングのボディは、グランドキャビンと呼ばれる乗用グレードに使用されています。レンタカーの乗用グレードのハイエースはこのボディであるため、大きさをイメージしやすいと思います。

また、先に述べたように現行モデルでは2列目、3列目が脱着可能です。そのため、シートの位置変更や取り外すことで車中泊仕様にアレンジもできます。

また、上記のハイエースと同様の長さを活かし、シートを外してバイクや自転車を積むトランスポーターとして使用できます。Vクラスにバイクを積んでサーキットへ行く道中はもちろん、サーキット走行の休憩時間も快適に過ごせます。

ウィークポイントとは?

初代を含めてVクラスのウィークポイントとなっている点を紹介します。中古車購入の際には、是非このポイントを押さえてもらえればと思います。

冷却水漏れ

特に初代のW638で発生率の高い故障が冷却水漏れです。ラジエータ割れやウォーターホース、ヒーターホースといった、漏れの発生個所は様々ではあります。基本的に1か所が漏れた場合、他の場所も弱っている可能性が高いため、同時交換がベストといえます。

初代の場合、最終モデルでも20年以上経過しているため、経年劣化の部分も大いにあります。すでに交換歴があれば、交換箇所や交換後の走行距離、年数から追加メンテナンスについても考えられます。

足回りの不具合

Vクラスは車両重量が2トンを超え、グレードや装備によっては2.5トン以上になります。そのため、サスペンションなどといった足回りへの負担が大きくなります。

初代モデルのエアサスペンションでエア漏れを起こす故障があります。サスペンションへエアを送る際に通過するバルブ部分のように交換が比較的容易な場所からのエア漏れは部品交換で収まることがあります。

しかし、経年劣化により漏れ箇所が多岐に亘るケースや故障個所の交換が困難な場合は、エアサスペンションから一般的なスプリングサスペンションへの交換も長い目で見た際の最適な対応策として考えられています。

現行型(W447)の初期モデルもデビューから9年を迎えます。足回りに大きな不具合の発生はありませんが、スタビリンクの劣化による異音が一部発生しています。

スタビリンクは、サスペンションのショックアブソーバーとスタビライザー(クルマが旋回時に傾くのを抑える部品)を繋ぐ部品です。この部品の取り付け部分は可動式となっており、ゴムブーツで蓋がされています。このブーツが破け、水の混入により異音が発生する事例が確認できました。

部品代や交換作業も比較的安易なため、リフレッシュの一環として早めに交換するのも良いでしょう。

センサーなどの電装品

現代のクルマには多くのセンサーが搭載されています。これらのセンサーにより、従来よりも環境性能、走行安定性、安全性が向上しています。また、不具合箇所もセンサーにより早期発見が可能となります。

Vクラスも例外ではなく、多くのセンサーを搭載しています。センサー故障としては、スライドドアのセンサー故障が挙げられます。電動スライドドアのため、センサーも用いて開閉状態の判断を行っています。

センサー故障により、ドアが閉まっていても開いていると誤解される状態になります。ドアが開いているのに走行していると判断するため、アダプティブクルーズコントロールなどの機能に制限が発生してしまいます。

また、2代目モデルのW639ではパワーウィンドウのスイッチ不良により、窓の開閉ができなくなることもあります。スイッチ不良以外で発生率が高いのは、窓の開閉を担うユニットの破損です。

開閉中に破損することで、窓を支えることができなくなり開きっぱなしになってしまいます。ただ、この故障に関してはスイッチ不良のように突然ではなく、動作時に鈍い音や異音が出始め故障の前兆に気づくことができます。

違和感のある音がした場合は、窓の開閉を控えて修理することで、窓が開いたままになる事態を回避できます。

Vクラスの魅力とは?

車内空間を活用できる点や欧州で鍛えられた走行性能、意外な経済性などの魅力について紹介します。

広大な車内スペース

Vクラスには、長さの異なる3種類のボディタイプが存在します。日常の使い勝手や駐車スペースを考慮した場合、標準ボディでも満足のいく車内空間を手にすることは可能です。

ミニバンの特等席ともいえる2列目はキャプテンシートのため、一人ずつゆったり乗れるようになっています。3列目は国産ミニバンと比較してセンター席も左右方向へ余裕を持っています。3名が並んで座れるように配慮がされています。

シートを外すと、フラットで広大なラゲッジスペースを確保できます。長尺の荷物はもちろん、箱型の荷物や自転車、オートバイも積載できる余裕があります。もし、乗せる物の長さが定まっているならその長さに合わせたボディタイプを選ぶのも良いかもしれません。

長距離移動が得意

高速道路を使用した長距離移動が多い欧州での使用を想定して開発されているため、長距離移動を得意としています。

フル乗車時でもハイスピードな環境に適応できる動力性能を備えています。それは加速力だけでなく、ブレーキをかけた際の制動力、不要な揺れを抑える足回りが備わっています。ミニバンでありながら、高速での長距離移動時に疲れにくいことから、ベンツの世界観を十分に感じられます。

意外な燃費性能

現行モデルはディーゼルエンジンと多段化されたオートマチックトランスミッションの組み合わせで、ディーゼルエンジン特有のトルクを利用して十分な動力性能を確保しています。

そのため、アクセルを深く踏む必要が少なく、一定の速度を維持して走れば10km/L以上の燃費を記録できます。

条件が良ければ15km/Lも超える燃費の報告もあります。ディーゼルエンジンのため使用燃料は軽油で、燃料価格が低いため遠出のコストを抑えられます。

Vクラスを購入する際の注意点は?

ここからは、中古車としてVクラスを購入する際に気をつけて確認すべき点を紹介します。

メンテナンス状況を把握する

中古車の場合、それまでのメンテナンス状況が購入後のトラブルを防ぐ上で重要な点となります。Vクラスの場合、現行モデルでも初期モデルは8年経過しており、3回目の車検を終えた状態となっています。

車検では消耗品や点検ついでに気になる不具合の部品を交換することが多くあります。その履歴を確認するにはメンテナンスノートが有効です。購入を予定している車両の確認をする際には、メンテナンスノートの有無や内容を確認して今までの履歴を確認しましょう。

保証を確認する

現行モデルがマイナーチェンジを行い、中古車市場には一定数の使用年数が浅い車両が流通します。その中には新車時のメーカー保証が残っている車両もあります。その場合、購入後に残りの保証期間を引き継ぎ可能か確認しましょう。

メーカー保証期間内であれば、故障を心配する必要はありません。メーカー保証の期限が過ぎていた場合でも、中古車販売店が設定している保証もあります。購入を検討する際には、その保証内容をよく理解する必要があります。

多くの保証では消耗品が対象外とされています。消耗品がどの範囲を指すのか、走行距離は何キロまでが保証範囲となるのかを販売店で確認し、理解することが重要です。

ご家族で長距離移動をする機会が多い方には、Vクラスはおすすめのモデルといえます。中古車市場には程度の良い車両が多くあり、選択肢は豊富な状況になっています。

ただ、中古車選びで不安な点も多くあると思います。その際には是非、トップランクへご相談ください。経験豊富なスタッフがお客様の不安を解消するお手伝いをさせていただきます。

 

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