イギリスの伝統的な高級クロスオーバーSUVブランド「ランドローバー」。そのラインナップ中、最もオフロードが似合うモデルであり、実際に走破性の高さは一級品の性能を備えています。「本格派高級SUV」が人気の昨今、他のモデルに引けを取らない性能を秘めたディフェンダーにも注目が集まります。
しかし、一部ではボディサイズの大きさを心配する声も聞こえてきます。今回は、実際のサイズ感や魅力について紹介します。
ディフェンダーとは?

まず、なぜディフェンダーが「本格派」としての性能を秘めているかについて、歴史を振り返りつつ確認します。
初代モデル
1948年から製造されており、強靭なラダーフレームシャーシを採用して、軍用や消防、警察車両として活躍していました。1991年に名称を「ディフェンダー」と改称しました。
それまでは「ランドローバー90」、「ランドローバー110」という名称で販売されていました。この数字の意味は、前輪と後輪のスペースであるホイールベースをインチ表示した値です。
途中、業務用として積載性向上のためにホイールベースを127インチに延長したランドローバー127が追加されました。ディフェンダーへ改称されたタイミングでキリの良い130に変更となりましたが、実際のホイールベースは127のまま変更されていません。
この初代モデルは、法規対応のために複数回のマイナーチェンジを経ましたが、最新の衝突安全基準や排気ガス規制に対応するのが困難となり、2015年までの67年間生産が行われたロングライフモデルでした。そのため、今も専門店が存在するほど、根強いファンが多くいるモデルです。
2代目
2020年に2代目ディフェンダーとしてデビューしました。初代モデル同様、ホイールベースを表す90、110、130の3ラインナップが継続となっています。2代目となり「21世紀仕様に刷新した」とアナウンスされ、ボディは軽量アルミニウムモノコックでありながら、ランドローバー史上最も頑丈な車体へと進化しました。
悪路への適応能力も21世紀仕様となり、電子制御を用いてあらゆる地形に対応できるよう制御が行われています。パワートレーンは2リッターながら、最高出力300PS、最大トルク400Nmを発揮する直列4気筒のガソリンエンジンを搭載してデビューしました。
そして、最高出力350PS、最大トルク700Nmの3リッターマイルドハイブリッド搭載ディーゼルエンジン。最高出力525PS、最大トルク625Nmの5リッターV8ガソリンエンジンが用意されました。
極めつけは、ハイパフォーマンス仕様として最高出力635PS、最大トルク750Nmを発揮するマイルドハイブリッドが組み合わされる4.4リッターV8ツインターボガソリンエンジンを搭載した「オクタ」も追加されました。オフロードだけでなく、オンロードも楽しむことができる点が現行モデルの特徴です。
ディフェンダーの魅力とは?

モデルチェンジを経ても、その根底に流れる「オフローダー」の血統は変わらず継承されていることが分かります。ディフェンダーだからこその魅力に迫ります。
多彩なボディバリエーション
ボディバリエーションは初代モデルに続き、3種類用意されています。その違いは、ホイールベースの違いということは理解してもらえたと思います。
全高、全幅は3種類とも共通しており、全長一番短い90ボディの4510mmを基準とした場合、110ボディで435mm長い4945mm、一番長い130ボディで765mm長い5275mmです。
110、130のボディはロングボディという点を活かし、乗員スペースとラゲッジスペースを贅沢に確保しています。
90はバリエーション唯一の3ドアモデルです。特に高級クロスオーバーSUVとしては異例の設定です。以前は国産車ではランドクルーザープラドやパジェロ、外車ではメルセデス・ベンツGクラスに設定はありましたが、現在はなくなって久しい存在です。そのため、3ドアモデルがラインナップされていること自体が大変貴重な存在です。
本格的な走行性能
ディフェンダーは世界有数の悪路走破性能を兼ね備えたモデルです。悪路を走行することが想定される本格派SUVは、走破性を語る上で重要な基本性能ともいえる最低地上高、アプローチアングル、ランプブレイクオーバーアングル、デパーチャーアングルがカタログに記載されています。
もちろんディフェンダーにも記載されており、コイルスプリング仕様と電子制御エアサスペンション仕様それぞれの性能が記載されています。まず、用語の説明です。最低地上高は、路面から車両の底までの高さです。地上高が高ければ、この後の値も自ずと良くなります。
アプローチアングルは、フロントタイヤの接地面からフロントバンパーの下端までの角度です。正面から坂道へ前進して侵入した際、この角度が大きいほどバンパーが坂道とは接触しづらいことになります。
ランプブレイクオーバーアングルは、ホイールベース中心のボディ下部とタイヤの接地面の角度です。この角度が大きいほど、乗り越えた障害物がアンダーボディに接触することが避けられます。
デパーチャーアングルは、リアタイヤの接地面からリアバンパーの下端もしくはマフラーの下端の角度です。急な坂道を下り降りた際、この角度が大きい程、車両後端が坂道と当たるリスクが減少します。
110ボディの標準状態では、最低地上高218mm、アプローチアングル30.1度、ランプブレイクオーバーアングル22度、デパーチャーアングル37.7度です。しかし、電子制御エアサスペンションで車高を上げた場合、73mmも最低地上高が高くなり291mm、アプローチアングル38度、ランプブレイクオーバーアングル28度、デパーチャーアングル40度と大幅に向上し、基本的な走破性能を上げてくれます。
走行性能についても最新のデバイスを搭載しており、雪道はもちろん、砂地や泥道でも安定した走行が可能です。そのポイントは全駆動輪へのトラクションコントロール制御で適切なトルクをかけることで可能としています。通常では走行することが困難な荒れた路面でも安心して走行することができます。
また、電子制御エアサスペンションにより、悪路では車高を上げることで走破性能を高めることが可能となり、その性能の神髄として水深900mmまでであれば、水中を横断することも問題ありません。
ディフェンダーのサイズを選ぶポイントは?

3タイプのボディサイズから、どのタイプを選ぶかの判断ポイントについて考えていきます。
好みで選ぶ
まずはシンプルに、その見た目の好みで選ぶのが単純明快なポイントです。同じディフェンダーながら、明確にサイドビューのデザインが異なるため、好みを反映させることが可能です。
90ボディは、3ドアならではのショートで可愛らしい見た目から、ディフェンダーの持つ愛らしい印象を更に加速させることでしょう。110ボディは、90ボディに比べて5ドアの分だけホイールベースは長くなりますが、前後のオーバーハングが短く、ショートデッキデザインといえます。タイヤは四隅に配置され、そのバランス感はスポーツカーの法則に近いものがあります。
130ボディは、リムジンの様にストレッチしたボディが好みの方にオススメしたいです。ロングホイールベースの生み出す安定感と、リアのオーバーハングが往年のディフェンダーを思い起こさせます。
用途で選ぶ
現行のディフェンダーで、本格的に悪路を攻めたい方には是非ショートボディの90をオススメします。「クロカンブーム」の頃に、パジェロやランドクルーザーで遊んでいた方からすれば、懐かしいショートボディがあるディフェンダーは再び遊び心を呼び起こさせるかと思います。
また、ディフェンダーならオンロードも得意なので、悪路で遊ぶ時以外も問題なく使用することが可能です。4名乗車の機会が多く、悪路で遊びたい方には、リアシートが後方に配置され、足元が広くとってある90でも十分な車内空間といえます。
4名乗車以上の機会が多く、荷物もたくさん積んでアウトドアイベントを楽しみたい方には110が良いでしょう。ゆったり乗ることができ、広いラゲッジスペースも使用できます。オプションで7名乗りも選択できるため、6名以上乗る機会がある場合は、オプション装着を選択するのも手です。
8名乗車をする機会がある方には、130が適しています。3列シートのSUVモデルで8名乗車が可能なモデルは多くはありません。他の3列目SUVと比べても3列目も幅方向に余裕を持っています。
ファミリーユースには?
4名~6名乗車が多いファミリーには110の7名仕様のオプション装着車がベストサイズといえます。基本的には2列状態で快適に使用でき、広いラゲッジはバーベキューやウィンタースポーツといったレクリエーションのアイテムを難なく積むことができます。
6名乗車を想定して、ディフェンダーならではのサイドマウントギアキャリアをオプション装着する選択肢もあります。このオプションはリアタイヤ上方のウィンドウスペースにボックスを装着する形です。ルーフに乗せるルーフボックスよりアクセスしやすく、使い勝手も優れています。
更に多人数乗ることを考えた場合、130になる大きさに躊躇してしまうかもしれません。しかし、意外なことにそのボディサイズはハイエースのグランドキャビンよりも全長は約100mm短いことが分かりました。
幅はディフェンダーの方が110mm広くはなりますが、グランドキャビンをイメージした場合、そこまで扱いにくいとは感じないでしょう。また、車内の広さも余裕を感じられると思います。
ライバルとサイズを比較したら?

ディフェンダーのライバルは、同様の歴史を持つメルセデス・ベンツGクラスです。常に人気が高いGクラスとの比較を行います。
Gクラスとの比較
メルセデス・ベンツのGクラスはディフェンダー同様に軍用車両としても通用する強靭さと走破性能を持ち、長きに亘り重宝されてきました。現在もその大きく変わらない武骨なデザインから常に人気の高いモデルです。
ディフェンダーとGクラスのボディサイズを比較したところ、ディフェンダーは全長で約270mm長く、幅は10mm広いことが確認できました。ただ、Gクラスの場合、オーバーフェンダーが大きく、実際の車内幅は約150cm、ディフェンダーは約156cmとなっており、ディフェンダーに軍配が上がります。
また、ディフェンダーの方が全長は長いですが、小回りのしやすさを表す最小回転半径については、Gクラスが6.3mに対してディフェンダーは6.1mと0.2m分小回りがしやすいです。
実際に運転する上では、ボディサイズよりも取り回しがし易いことが重要となる場面は多いです。

お得に買うには?
実際にディフェンダーを購入する場合、ボディサイズだけでなくグレード、オプションと選択肢は多岐に亘ります。また、希望の条件を追加していくにつれて、価格も高額になります。
その中で、お得にディフェンダーに乗る方法として、中古車という選択肢があります。当初の予算で、よりオプションが豊富な車両やグレードアップが望める可能性が大いにあり、選択肢は広がります。ただ、実際に希望の条件を決め、探す際にはどのように選べばよいか悩まれる方も多いです。
その際には是非トップランクへご相談ください。多くの輸入車を取り扱ってきた経験を活かし、お客様の条件に合う最適な車両を見つけるお手伝いをさせていただきます。また、自社工場を完備しており、購入後のアフターケアも万全の体制となっています。一度ホームページをご覧いただければと思います。
