日本市場では初代モデルが2007年10月にデビューし、2015年9月に2代目へとフルモデルチェンジ。その後、惜しまれつつも2024年7月に販売が終了した「BMW ミニ クラブマン」。3ドアハッチバックや5ドアとも異なる、独自の魅力を放つ「BMW ミニ クラブマン」は販売終了後も根強い人気を誇ります。
今回は、BMW ミニとして2代目にあたる「BMW ミニ クラブマン」にスポットライトを当て、このクルマの特徴や魅力を掘り下げつつ、このクルマの歴史も振り返ってみたいと思います。
BMW ミニ クラブマンとは?(モデル概要)

ミニ クラブマンは、1969年にスタイリッシュなデザインと高い機能性を融合したシューティング・ブレークのコンセプトにより「ミニ クラブマン エステート」としてデビューしました。
2007年にはBMWグループとして初めてのミニ クラブマンが誕生。特徴的なリアのスプリットドアを継承したスタイリッシュなデザインを現代の解釈にアップデートしています。十分なスペースが与えられ、実用車としての魅力も併せ持つ、プレミアムコンパクトともいうべき1台です。
「シューティングブレーク」とは、英国で狩猟などに使われたクルマに与えられた名称です。伝統的にシューティングブレークのモデルは2ドアとされ、リアのラゲッジスペースには猟銃や荷物を運ぶスペースが確保されています。ミニの世界において、1960年代に生産されたモーリスミニトラベラーや、オースチンミニカントリーマンがそれにあたります。
BMW ミニ クラブマン(初代)のモデル概要

2007年10月にデビューしたBMW ミニ クラブマン(初代)は、4人乗り(日本仕様)または5人乗り(ただし子ども1人の場合)ハッチバックモデルには、2ドアに加えて右側に「クラブドア」と呼ばれる観音開き式のドア(分割式ドア)を装備しています。3ドアハッチバックのミニと比較した場合、全長が240mm、ホイールベースを80mm延長することによってリアシート足元のスペースを拡大しています。リアシートのバックレストは分割可倒式となり、ラゲッジスペースの容量を最大で930リッターも確保しています。
また、12種類のボディカラー、4種類のインテリアカラー、5種類のカラーライン、さらにオプションで用意されるホイールやシートなどの組み合わせにより、自分だけのミニ クラブマンを作りあげることができる点も大きな魅力です。さらにミニ クラブマン専用のボディカラーおよびインテリアカラーとして「ホットチョコレート」が設定されています。
BMW ミニ クラブマン(2代目)のモデル概要

2015年9月にデビューしたBMW ミニ クラブマン(2代目)は、先代モデルと比べて室内の快適性や装備品を中心に大幅にアップデートされました。また、ミニ 5ドアモデルと比べて内外装ともに拡大され、全長で270mm、全幅が90mm、ホイールベースが100mm拡大しています。
乗員は最大5名で、ラゲッジスペースは360リッターを確保。リアシートのバックレストは40:20:40の分割可倒式を採用することにより、最大で1250リッターの容量を確保しています。
また、プレミアムコンパクトセグメントに相応しい装備として、ステッチなどの細部のデザインにもこだわったレザーシートや、微調整が可能な電動フロントシートを採用。さらに安全装備もアップデートされており、「前車接近警告機能」「衝突回避・被害軽減ブレーキ」「ヘッドアップディスプレイ」「パーキングアシスト」が装備されています。
BMW ミニ クラブマン(2代目)のボディの構造には重量および衝突特性の最適化に重点が置かれています。安全装備品には、フロントおよびサイドエアバッグ、サイドカーテンエアバッグ、全座席3点式オートマチックシートベルト、フロントシートベルトテンショナーおよびアダプティブベルトフォースリミッター、後部座席のISOFIXチャイルドシート・アタッチメント(助手席用はオプション)、タイヤ空気圧表示を標準装備しています。
BMW ミニ クラブマン(2代目)には3種類のエンジンが用意され、そのすべてに新世代となるミニツインパワーターボテクノロジーが採用されています。デビュー時には4気筒ディーゼルエンジン(最高出力:150ps)搭載のミニ クーパー D クラブマン、3気筒ガソリンエンジン(最高出力:136ps)搭載のミニ クーパー クラブマン、4気筒ガソリンエンジン(最高出力:192ps)を搭載するミニ クーパー S クラブマンが用意されています。
駆動方式は先代と同様にFFを採用。トランスミッション6速MTを標準装備しています。また、ミニで初となる8速ステップトロニックトランスミッションをオプション設定(ミニ クーパー S クラブマンおよびミニ クーパー D クラブマン)。なお、8速ステップトロニックスポーツトランスミッションはミニ クーパー S クラブマンにオプション設定されます。
BMW ミニ クラブマン(2代目)は専用スプリングおよびダンパーを採用しています。姿勢制御系の装備も充実しており、ダイナミックトラクションコントロール(DTC)およびエレクトロニックディファレンシャルロックコントロール(EDLC)を含む「ダイナミックスタビリティコントロール(DSC)」が標準装備されています。
さらにミニ クーパー S クラブマンにはパフォーマンスコントロールも標準装備されています。アルミホイールは16インチまたは17インチ(ミニ クーパー S クラブマン)を標準装備。オプションで最大19インチのアルミホイールを装備可能です。
BMW ミニ クラブマン(2代目)のダッシュボードは、コックピット装飾フレームで縁取ったデザインを採用しています。メーターパネルはステアリングコラム上に配置され、センターメーターにはLEDライトリングと車両情報・インフォテイメント機能・電話・ナビゲーション機能のためのディスプレイが内蔵されています。
また、センターメーター下部にはエアコンディショナー用操作スイッチとトグルスイッチがレイアウトされます。センターコンソールには電動パーキングブレーキ用レバーや小物入れ、カップホルダー(2個)、ミニコントローラーおよびアームレストをレイアウトしています。
BMW ミニ クラブマン(2代目)専用となる「ミニエキサイトメントパッケージ」には、LEDルームライトおよびアンビエントライトの他、ロック/ロック解除時に運転席ドアのドアミラーから路面に向けてミニロゴを投影する機能を新たに装備しています。
また「ミニユアーズインテリアスタイルズ」では、初となるバックライト付きドアトリムストリップを装備しています。さらに、アラームシステム用赤色LED作動表示灯がフィンアンテナに内蔵されています。
BMW ミニ クラブマンの新車価格および中古車相場

- クーパー クラブマン ファーストパッケージ エッセンシャル・トリム(8速AT/右):4,000,000円
- クーパーD クラブマン ファーストパッケージ エッセンシャル・トリム(8速AT/右):4,130,000円
- クーパー クラブマン プレミアムプラスパッケージ エッセンシャル・トリム(8速AT/右):4,370,000円
- クーパーD クラブマン プレミアムプラスパッケージ エッセンシャル・トリム(8速AT/右):4,500,000円
- クーパーS クラブマン プレミアムプラスパッケージ エッセンシャル・トリム(8速AT/右):4,830,000円
- クーパーSD クラブマン プレミアムプラスパッケージ エッセンシャル・トリム(8速AT/右):4,960,000円
- クーパーS クラブマン オール4プレミアムプラスパッケージ エッセンシャル・トリム(8速AT/右):5,080,000円
- ジョンクーパーワークス クラブマン プレミアムプラスパッケージ エッセンシャル・トリム(8速AT/右):6,070,000円
※この価格は2023年7月時点のものです。
- クラブマン バッキンガム:(2017年10月/特別仕様車):3,370,000円
- クラブマン・ブルーノート・トーキョー・エディション:(2019年5月/特別仕様車):4,470,000円
- ジョンクーパーワークス クラブマン GP インスパイアードエディション:(2020年2月/国内120台・世界299台限定):6,150,000円
- クラブマン・サヴィル・ロウ・エディション:(2021年5月/特別仕様車):4,750,000円
- クラブマン・サヴィル・ロウ・エディション:(2022年1月/特別仕様車):4,790,000円
- クーパーD クラブマン ブリック・レーン・エディション:(2022年2月/限定180台):4,810,000円
- クーパー クラブマン ブリック・レーン・エディション:(2022年6月/特別仕様車):4,390,000円
- クーパーD クラブマン ブリック・レーン・エディション:(2022年6月/特別仕様車):4,690,000円
- クーパーD クラブマン アントールド・エディション:(2022年8月/特別仕様車):4,690,000円
- クーパー クラブマン アントールド・エディション:(2022年9月/特別仕様車):4,560,000円
- クーパーSD クラブマン アントールド・エディション:(2022年9月/特別仕様車):5,330,000円
- クーパーS クラブマン アントールド・エディション:(2022年9月/特別仕様車):5,040,000円
- クーパー クラブマン アントールド・エディション:(2023年1月/特別仕様車):4,600,000円
- クーパーD クラブマン アントールド・エディション:(2023年1月/特別仕様車):4,730,000円
- クーパーS クラブマン アントールド・エディション:(2023年1月/特別仕様車):5,090,000円
- クーパーS クラブマン アントールド・エディション:(2023年7月/特別仕様車):5,390,000円
- クーパー クラブマン アントールド・エディション:(2023年7月/特別仕様車):4,890,000円
- クーパーD クラブマン アントールド・エディション:(2023年7月/特別仕様車):5,020,000円
- クーパーSD クラブマン アントールド・エディション:(2023年8月/特別仕様車):5,520,000円
- クーパーS クラブマン ファイナル・エディション:(2023年10月/国内320台・世界1969台限定):5,540,000円
- クーパーSD クラブマン ファイナル・エディション:(2023年10月/国内320台・世界1969台限定):5,670,000円
*限定数は両モデル合わせての台数
- 平均価格:1,898,000円
- 価格帯:460,000円~6,430,000円
※この価格は2025年9月時点のものです(Webカーセンサー調べ)。
BMW ミニ クラブマン ライバル車の比較

- 全長×全幅×全高:4275×1800×1470mm
- ホイールベース:2670mm
- 車両重量:1430kg
- 駆動方式:FF
- トランスミッション:7速AT
- エンジン:直列4気筒DOHCターボ
- 排気量:1498cc
- エンジン最高出力/最大トルク:136ps/220N・m
- ステアリング:右
- 全長×全幅×全高:4275×1800×1470mm
- ホイールベース:2670mm
- 車両重量:1470kg
- 駆動方式:FF
- トランスミッション:7速AT
- エンジン:直列4気筒DOHCターボ
- 排気量:1998cc
- エンジン最高出力/最大トルク:192ps/280N・m
- ステアリング:右
- 全長×全幅×全高:4275×1800×1470mm
- ホイールベース:2670mm
- 車両重量:1600kg
- 駆動方式:FF
- トランスミッション:8速AT
- エンジン:直列4気筒DOHCターボ
- 排気量:1998cc
- エンジン最高出力/最大トルク:306ps/450N・m
- ステアリング:右
- 全長×全幅×全高:4295×1790×1475mm
- ホイールベース:2620mm
- 車両重量:1350kg
- 駆動方式:FF
- トランスミッション:7速AT
- エンジン:直列4気筒DOHC16バルブICターボ+モーター
- 排気量:1998cc
- エンジン最高出力/最大トルク:150ps/250N・m
- ステアリング:右
- 全長×全幅×全高:4440×1800×1420mm
- ホイールベース:2730mm
- 車両重量:1420kg
- 駆動方式:FF
- トランスミッション:7速AT
- エンジン:直列4気筒DOHCターボ+モーター
- 排気量:1331cc
- エンジン最高出力/最大トルク:131ps/230N・m
- ステアリング:右
- 全長×全幅×全高:4385×1825×1565mm
- ホイールベース:2670mm
- 車両重量:1530kg
- 駆動方式:FF
- トランスミッション:7速AT
- エンジン:直列3気筒DOHCターボ
- 排気量:1498cc
- エンジン最高出力/最大トルク:156ps/230N・m
- ステアリング:右
- 全長×全幅×全高:4500×1835×1625mm
- ホイールベース:2690mm
- 車両重量:1540kg
- 駆動方式:FF
- トランスミッション:7速AT
- エンジン:直列3気筒DOHCターボ
- 排気量:1498cc
- エンジン最高出力/最大トルク:156ps/230N・m
- ステアリング:右
BMW ミニ クラブマンのライバル車、特にガソリン車ともなれば各社強力なモデルばかりです。さらに、グループ会社、つまり身内のモデルもライバルとなります。家族構成やライフスタイル、予算、各ブランドへの思い入れなど、正解は人それぞれ。非常に悩ましい選択です。
一つ言えることは、「webや動画ではなく、気になっているモデルは必ず実車を確認して、可能なら試乗する」ことを強くおすすめします。BMW ミニ クーパーS クラブマンをはじめ、それぞれ個性が異なるモデルです。イメージだけで選ぶと「こんなはずじゃなかった」という場面に遭遇する確率が高くなります。
内外装の見た目、運転席に座ったときに見える景色、スイッチ類の質感、車内の匂いなど、直感的に「これだ!」と思う1台を見つけ出してみてください。
BMW ミニ クラブマンならではの魅力やおすすめする理由とは?どのような方におすすめか?

ドライビングフィールも「ミニらしさ」をキープ
BMW ミニらしく、ステアリングはシャープで軽快。直進安定性も高く、まさに“ゴーカート感”が味わえます。一般的なプレミアムコンパクトモデルよりも、クルマのフィーリングや嗜好性を重視するドライバー向きといえるクルマでしょう。ファミリーカーとしても優秀で「家族ユースにも十分なサイズ感、それでいてミニらしさが残るモデル」といえます。
走り心地と実用性のバランス重視な人
シャープなハンドリングながら、長いホイールベースゆえに乗り心地や走行安定性が高いのも魅力の一つ。ファミリーユースでありながら、スポーティな走りを求める方にもおすすめです。
改良された室内空間と利便性
5ドアよりも全長と幅が拡大され、リアシートは座りやすく、リアシートの乗降性も向上しています。通常で360リッター、後席を倒せば最大1,250リッターまで拡張可能なラゲッジスペースも魅力です。
高級感あるインテリア演出
素材感や作りの良さが感じられ、落ち着いた空間に仕上がっていることは誰にでも実感できるレベルです。ドアトリムがLEDで光る“ミニ・エキサイトメントパッケージ”など、夜間の雰囲気づくりも実に巧みです。夜のドライブが楽しくなる装備といえます。
家族持ちでもミニらしさを楽しみたい「アーバンファミリーユーザー」
小さなお子さんがいるご家庭では必須といえるベビーカー。慣れるまで大変な積み下ろしも、意外なほどスムーズです。2+1ファミリー(子ども+犬など)の家族構成にはおすすめの1台といえるでしょう。
個性を重視しつつ、実用性も欲しい「ライフスタイル重視派」
クラブマンは“シューティングブレーク”風のステーションワゴンでありながら、ミニらしさも色濃く残している点が大きな魅力です。スペック以上に「気分が上がるクルマ」であり、独特のデザインが「刺さる人には刺さる」モデルです。
BMW ミニ クラブマンを安心して購入できるショップ選びとは?

認定中古車ディーラー(ミニ NEXT)
BMW/ミニ正規ディーラーが扱う認定中古車制度(ミニ NEXT)は、1年間走行距離無制限保証+延長保証の選択可、純正部品で整備済み、修復歴なし、24時間緊急サポート付きという手厚いサポートが魅力です。その分のコストが車両価格に反映されるため、中古車相場よりは高めになってしまいます。初めての輸入車で、なおかつ予算にゆとりがあり、安心感を得たいという方におすすめです。
輸入車専門の中古車販売店
自社工場を完備しており、輸入車整備の経験豊富なメカニックがいるような中古車販売店も有力な候補です。輸入車に強いだけでなく、ディーラーでは受け付けてくれないような修理、点検など、柔軟に対応してくれる点も魅力です。
元ディーラーのメカニックが現場で活躍していることが多く、サポート面でも安心です。また、車検時などの整備費用もディーラーより安価で抑えられる傾向がある点も魅力といえるでしょう。
購入時や維持費など、多少高くなってもいいから「お金で安心を買う」という価値観の方であれば認定中古車ディーラー(ミニ NEXT)がおすすめです。ただし、フルオリジナルが前提となるため、ドレスアップを考えている方には不向きといえます。
その点、輸入車専門の中古車販売店であれば柔軟に対応してくれます。保証面では正規ディーラーにはかないませんが、よりオーナーの希望や予算に応じたメンテナンスをしてくれるという「掛かり付け医」的な安心感があるのも事実です。
予算やカーライフなどを加味したうえで、納得のいく選択肢を導き出してみてください。
