かつてひん死の状態にあったポルシェ社を復活させた救世主ともいえる存在がポルシェボクスターです。初代モデルのデビューから、2024年で早28年。デビュー当時から現在にいたるまで、ポルシェにとって必要不可欠なモデルとしてその歴史を刻み続けています。
初代および2代目ボクスターは、メーカーにおいてもすでに「クラシックポルシェ」として位置づけられています。同世代の911はジリジリと値上がりをしているにも関わらず、なぜボクスターは中古車価格においては安価なのか?購入時の注意点なども交えて解説していきましょう。
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ポルシェ ボクスターの概要
1996年にデビューを果たしたポルシェボクスター。それに先立ち、1993年にプロトタイプが発表され「911よりも安価でありながら2シーターオープンスポーツ」という魅力的なパッケージングとデザインに、世界中がデビューを待ちわびました。
量産モデルとして発表された初代ボクスターは、プロトタイプほどにエッジの効いたデザインではなかったものの、基本的なフォルムを踏襲。ポルシェのエントリーモデルであることを感じさせない魅力に溢れ、世界中で大ヒットとなりました。
ボクスターのプロトタイプがデビューした1990年代前半は、ポルシェ社の経営が厳しい時期であり、同社の復活の命運を左右するほど重要な役割を担っていたのです。
初代ボクスターのヒット作となったことでポルシェ社の業績が少しずつ回復し、カイエンやマカン、そしてきょうだい車であるケイマン誕生の礎を築いたのです。
モデルチェンジを重ねたボクスターは、現在4代目となり「718ボクスター」と車名を変えて販売されています。
ポルシェ ボクスターの中古車事情
ではここで、2024年2月現在の歴代ボクスターの中古車相場をWebカーセンサーの情報を元に調べてみましょう。
- 平均価格:172.4万円
- 価格帯:94万円~330万円
- 掲載台数:48台
- 平均価格:293.2万円
- 価格帯:145万円~880万円
- 掲載台数:72台
- 平均価格:558万円
- 価格帯:399.9万円~1599.9万円
- 掲載台数:91台
- 平均価格:839.5万円
- 価格帯:439.5万円~1885万円
- 掲載台数:90台
初代ボクスターは数を減らしつつありますが、2代目以降は掲載台数もほぼ同じくらい。また平均価格も、300万円台、500万円台、800万円台ときれいに販売レンジが分かれていることが見て取れます。
予算や好みに応じて幅広い選択肢のなかから自分だけのボクスターを見つけることができそうです。
ポルシェボクスターが「貧乏の象徴」と言われる理由
たまに「ボクスターは貧乏の象徴」と聞くことがありますが、その主な理由は以下の2つが考えられます。
- 中古車は100万円前後で買えるから
- 全体的にくたびれた個体が多いから
それぞれについて解説します。
理由その1:中古車は100万円前後で買えるから
これは諸説あるので一概にはいい切れないですが、理由のひとつに「100万円前後で買えるいまや希少な(かつ貴重な)ポルシェ」であることが考えられます。
いまでは信じられないかもしれませんが、1990年代後半、つまり初代ボクスターや、水冷エンジンを搭載した996型と呼ばれる911が現役だった頃、最初期モデルの911である「ナローポルシェ」や「930型」の初期モデルが200万円以下で売られていたケースも珍しくありませんでした。
4〜500万円の予算があれば、ナローポルシェであれば911Sが、930型も低走行のカレラや低年式のターボの他、964型のカレラ2(MT)も射程圏内だったのです。
ご存知のように、これらのモデルは2012年頃から販売価格が上昇し、10年以上経過した現在でも高値を維持しています。それどころか、限定車やスペシャルモデルは新車価格の数倍というレベルで高値で取引されるようになりました。
一方、方やボクスターはというと、概ね他の中古車と同じように経過年数に沿って相場が下がっていきます。その結果、初代ボクスター(986型)にいたっては25年〜30年ほど前のクルマなのです。
たとえポルシェといえども、四半世紀前のクルマともなれば100万円前後で売られている個体があっても不思議ではありません。
理由その2:全体的にくたびれた個体が多いから
そして、ポルシェボクスターが「貧乏の象徴」といわれるもうひとつの理由として(仕方がないことではありますが)、全体的にくたびれた個体が多いことも事実です。
これが時折「貧乏の象徴」といわれる所以かもしれません。ただ、これはボクスターをはじめとするポルシェに乗ったことがない人の発言であることが多く、自身がステアリングを握り、街に繰り出せば、「貧乏の象徴」などといった揶揄がまったくあてはまらないことを実感するでしょう。
「ボクスター(911以外)はポルシェじゃない」と言われる真相について
今後、ポルシェのラインナップがすべて電気自動車またはハイブリッドになったとしても、さまざまなモデルがデビューしたとしても…。半永久的にポルシェを代表するモデルは「911」であることに変わりはないでしょう。
年間の販売台数の6割をカイエンとマカンが稼ぎ出していても、1億円近いスーパースポーツモデルをデビューさせたとしても、「911」こそがポルシェのシンボルなのです。
ポルシェに魅せられると、遅かれ早かれ911が欲しくなる
現代風の表現でいう「ポルシェ沼」にハマると、多くの人は結局のところ911を求めてしまいます。
ポルシェ911が欲しい。新車で購入できる最新モデルである「992型」から、最初期の通称「ナローポルシェ」まで。全8代、60年もの歴史があり、そのいずれのモデルにも熱狂的なファンが存在しています。
このなかから、自分だけの「最高のポルシェ(911)」を見つけ出す必要があります。そのために各モデルの特徴を知り、ウィークポイントを学び、少しずつ「自分の理想とする911」を絞り出していくことになるのです。
こんなことを繰り返していくうちに、本人も知らず知らずのうちにポルシェ911というクルマの魅力(魔力かも?)にとりつかれてしまいます。もうここまでくると理想の911を手に入れるまでコトは収まりません。
そしてある日、カミナリに打たれたように目の前に「理想的な911」が姿を現します。そして見事、我が手に収めるのです。
ポルシェ911を手に入れた瞬間から、今度は理想的なオーナー像を目指すことになる
- 911というクルマを、誰よりも速く走らせたい
- スムーズに走らせたい
- イケてるオーナーであるように映りたい
その基準は人それぞれですが、本人は大真面目です。そして、自分が目指す理想の911オーナー像は一朝一夕にはできません。少しずつ、じっくりと時間を掛けて慣れていく。熟成させていくことで自然とサマになってきます。
前置きが長くなりましたが、911というクルマは、ある種オーナーを洗脳させてしまう力を秘めています。「911こそがポルシェであり、それ以外のモデルはポルシェにあらず」といった偏愛主義のオーナー(とその予備軍)が、日本はもとより世界中にいるのです。
もちろん、911以外のポルシェ、例えば356や914といったクラシックなモデルから、ボクスターおよびケイマンなど近代のモデルも含めて、偏愛主義のオーナーとその予備軍は確実に存在します。しかし、911偏愛主義の勢力があまりにも強大すぎて、他のモデルのファンの声がかき消されてしまっているのです。
「911偏愛主義」の感染力は極めて強い
この「911偏愛主義」の感染力は極めて強く、他のモデルのオーナーもいつの間にか911の魅力に取り付かれてしまうのです。しかもこれは完治が難しく、生涯に渡って911をポルシェのシンボルとして疑わない(つまり、ボクスターをはじめとする他のモデルが受け入れられない)身体となってしまいます。
ポルシェボクスターの魅力とは
ボクスターの魅力はなんといっても「オープンミッドシップスポーツ」につきます。たとえば、ロータスエリーゼのようなライトウェイトオープンスポーツ特有の軽快さ…まではいかなくとも、ボクスターは車重が1500kgを切りながら、モデルにもよりますが3リッター前後の排気量と、300ps前後のパワーを持つエンジンを搭載しています。
このスペックの持ち主であれば、充分に速いと思えるほどのスペックを有していると断言できます。そして屋根を開け放ち、オープンにすれば、背後から水平対向6気筒エンジン(現行718ボクスターでは水平対向4気筒エンジンも存在)が心地良いサウンドを響かせてくれます。
初代ボクスターのカタログには「数値には決して表せないもの。それがボクスター体験」というコピーが記されていました。ポルシェのヒエラルキー上、ボクスターが911の性能を上回ることはありません。
しかし、それはポルシェのお家事情であり、ひとたび外の世界に目を向ければ、歴代ボクスターがいかに魅力的なパッケージングを有しているか、1度でもステアリングを握り、アクセルを踏み込めば否が応でも痛感することになるはずです。
ポルシェボクスターの中古車購入はやめた方がいい?購入時の注意点
いつかはポルシェ、そしてボクスターに乗ってみたい…。しかし、中古車を購入するのも不安がある。コンディションはどうなのか、壊れたり、車検のときに高額な費用を請求されるのではないかという漠然とした不安が拭いきれない。これは至極まっとうな感覚です。
では、ボクスターを購入するとき、どんなポイントに注意すべきか。以下にまとめてみました。
装着しているタイヤの銘柄
ポルシェ認証の「Nタイヤ」を装着している個体であれば、タイヤにコストを掛け、メンテナンスもきちんと行われている確率が高いです
装着しているタイヤの角の減り具合
ハイスピードでコーナリングすることでタイヤの角が削れます。前オーナーがどれくらい攻めたのかを知る目安です
ホイールにブレーキダストの焼き付き
ホイールにブレーキパッドの粉が固着し、専用のケミカル剤でも落とせない場合はハードに攻め込んだか、洗車をしてこなかった可能性があります
運転席のシートのサイドサポートのスレやヤレ具合
右ハンドル仕様であればシートの右、左ハンドル仕様であればシートの左のサイドサポートが擦れていたり、破れていたとしたら、乱暴に乗り降りしていた可能性が考えられます
幌の劣化による雨漏り
オープンカーの宿命で幌は消耗品です。痛み具合、問題なく電動で開閉できるかどうかを必ずチェックしてみてください
ヘッドライトの黄ばみ
経年劣化によってヘッドライトの黄ばみが目立つようになります。特に屋外保管ではこの傾向が顕著です。紫外線によるダメージが少ないガレージ保管の個体を狙うのもひとつの手です
記録簿の有無
ディーラーでのメンテナンス記録および明細があれば理想ですが、過去の整備記録がきちんと残されていることが大事です。前オーナーが明細をまとめた書類を残していて、引き渡してくれるようなケースであれば、クルマのコンディションはかなり期待が持てそうです
ノーマルパーツの付属の有無(社外品が装着されていた場合)
こちらは社外品が装着されている個体が対象です。ノーマルパーツをネットオークションに出品すればちょっとした小遣い稼ぎにもなります。しかし、査定時には評価が下がることが多く、やはりノーマルパーツはきちんと保管して次のオーナーに引き渡すのが理想的です。
ポルシェボクスターはどんな人におすすめか?
初代ボクスターのデビュー当時「ポルシェのエントリーモデル」としての位置づけであったことを考慮すると、「スポーツ系のポルシェが好みで、初のポルシェオーナーとなる方」にこそ、おすすめしたいモデルといえます。
2代目ボクスターであれば、20代のオーナーの方でも頑張れば手に入る価格帯の個体もあります。ND型のマツダロードスターの新車が買える予算があるのなら、思い切ってボクスターも視野に入れてみてください。
若いときにポルシェというクルマが持つフィーリング、手応え、高速域での安定感など、やはり多くの日本車とは別次元だと体感することは、その後のカーライフに大きな影響を及ぼします。もちろん、良い意味で。
そして、子育てがひと段落し、金銭的にも時間的にも余裕ができたミドル世代の方にもボクスターの魅力を味わっていただきたいと考えます。まさにこれまで頑張ってきた自分へのご褒美です。
若い頃のように飛ばさなくても、屋根を開け放ち、心ゆくまでポルシェの、そしてボクスターの魅力を味わってみてください。かつて「60km/hで走らせてもポルシェには快楽がある」といった格言めいたものがありました。ボクスターのステアリングを握り、自らのドライブで走らせることで、この意味を理解できるはずです。
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