車に乗る以上、常に事故のリスクと隣り合わせです。最も重要なのは、事故を起こさない車です。起こしにくい車やもしもの時に守ってくれる車に乗りたいと誰もが思うはずです。
昔から「外車は事故に強い」と言われていますが、なぜそのように言われるのでしょうか。外車メーカーの事故に対する考え方、事故の際に外車はどれだけ安全なのか?今回は外車が事故に強いと言われている理由、中古車で購入する際のポイントについて紹介します。
安全な車に乗りたい!外車の安全性はどう違う?

事故に対しては2つの考え方があります。まずはその考え方についておさらいします。
アクティブセーフティ
アクティブセーフティとは、事故を未然に防ぐための予防策です。現在では装着されているのが当たり前となっているABS(アンチロック・ブレーキシステム)やESC(エレクトリック・スタビリティ・コントロール)が代表的な装備です。
ABSは滑りやすい路面でブレーキを踏んだ際、タイヤがロックするのを防ぐ技術です。タイヤがロックすると、ハンドルを切っても車がまっすぐ滑ってしまいます。その状況を防ぐために、車両側でブレーキがロックした状態にならないよう制御を行います。そのため、グリップを失っていなければハンドルを切って回避行動が可能です。
ESCは車両の横滑りを抑制する機能です。急なハンドル操作で車両が横滑りした場合や、滑る恐れがある場合にもエンジン出力を抑え、4輪それぞれのブレーキを個別に調整して車体を安定させる技術です。
これらの技術が登場する以前は、飛び出してきた障害物を避けながらブレーキをかけることや、オーバースピードでカーブに進入して滑り出した際は、特別な技術を持たない一般ドライバーには対応が難しく、事故に繋がっていました。
現在では技術がさらに進歩し、衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱防止システムなどが開発され、「事故を起こさない」車へと進化を続けています。
パッシブセーフティ
パッシブセーフティとは、衝突事故が起きた際に乗員や歩行者の安全を確保する技術です。
現在では装着されていないことが考えられない3点式シートベルトはもちろん、エアバッグや衝突安全ボディも対象です。
かつてシートベルトは腰部分のみの2点式でした。事故時に上半身を拘束するものが無く、頭部をガラスやハンドルにぶつけて大ケガに繋がっていました。3点式となり事故時に上半身の移動量を抑えることができるようになりました。
エアバッグは、3点式シートベルトで抑えきれない頭部のハンドルへの接触を防ぎ、上半身の移動量をさらに減らす役割を担っています。
衝突安全ボディは、衝突時にエンジンルームやトランクといった乗員のいるキャビンの前後をあえて潰れる構造にして衝突エネルギーを吸収します。反対に乗員のキャビンは強度を従来よりも上げて潰れないようにしています。
このように、事故に遭った際の生存率を上げるための技術です。
冒頭に触れた歩行者の安全確保については、歩行者と衝突した際に歩行者の体や頭部を保護することが目的です。
ボディ前部を衝撃を和らげる構造や素材を採用しています。
エンジンとボンネットの隙間が少ない場合、頭部がボンネット下のエンジンと接触する恐れが発生します。エンジンとの接触を防ぐため、ボンネットをポップアップさせてクリアランスを確保する技術があります。
その他、歩行者のために車外用エアバッグを搭載して頭部を保護する技術も開発されています。
かつては乗員の保護が目的でしたが、現在では乗員以外も守るため技術は進化しています。
外車が事故に強いとされる背景とは

外車がなぜ事故に強いとされているかについて、ここで掘り下げていきます。
交通事情の差
外車は日本とは異なる走行シーンを想定して設計されています。その多くは高速道路を走ることが前提となっています。特にドイツ車はアウトバーンという世界唯一の速度無制限区間を有する高速道路での走行も考えられて車両開発がされています。
ハイスピードな速度域にも対応する走行性能を高め、事故を防ぐだけでなく、万が一の際にも乗員を守れるよう設計されています。
走行性能を上げるための基本となる車体剛性を上げることは、頑丈なボディを得ることにも繋がっています。頑丈なボディは事故時の損傷を軽減できます。
日本では「大きいほど頑丈」という考えが昔からあります。外車の大型モデルはそのサイズから余裕があります。しかし、外車のコンパクトカーは大型モデルとの衝突事故も想定して開発が行われており、万が一の際には乗員の保護が考慮されています。
アセスメントの存在
アセスメントとは、客観的にデータに基づいて評価を行うことです。自動車の世界ではNCAP(エヌキャップ)と呼ばれる独立した消費者団体が実施する安全性の評価試験が各国で行われています。
これは新型車の安全性能を衝突試験や衝突予防性能試験で同一条件で実施検証し、各車両の結果を公表してユーザーに安全性の目安となる情報を提供しています。
また、自動車メーカーにより安全な自動車開発を促すことも目的としています。日本でもJ-NCAPが存在しており、新型車の安全性について公表を行っています。欧州が行うEuro-NCAPはNCAPの中でも厳しい条件とされています。
衝突試験時の台車の重量や速度が、実際の事故に近い条件に設定されています。また、歩行者保護性能やアクティブセーフティ・パッシブセーフティの両機能についても評価を行っています。
外車の安全性能は何が優れている?

外車が持つ安全性能が優れている理由について紹介します。
安全機能の開発力
古くから外車メーカーは安全性能に対する技術開発を熱心に行っていました。現在では当たり前となった装備の多くが外車メーカーによって最初に開発されています。
3点式シートベルトは、ボルボが1958年に開発しました。取得した特許を無償提供したことで、全世界の標準装備となりました。4輪制御ABSやESCは、メルセデス・ベンツがドイツの部品メーカーであるボッシュ主導で開発しました。
メルセデス・ベンツは衝突安全ボディやエアバッグの開発も行ってきました。メルセデス・ベンツが初となっている安全技術が多いのは、その当時「ミスター・セーフティ」と呼ばれる技術者の貢献によるものです。安全に関する特許を34年間で約2500件取得しています。
安全装置の早期採用
先に述べた安全装置の多くは、古くから研究開発が行われていました。それらの装置を早期に実際の車両へ搭載していたことも、技術の進歩に必要不可欠です。
1953年、メルセデス・ベンツはW120型に衝突安全ボディの考えを用いたセミモノコック構造を世界初採用しました。1959年、ボルボが3点式シートベルトの世界初搭載を行い、現在も世界の標準装備として広く使用されています。1978年、メルセデス・ベンツは当時発売したSクラス(W116型)に4輪制御ABSを世界初搭載しました。
1969年にフォードがコンチネンタルマーク3に後輪を制御する2輪ABSを搭載しました。しかし後輪のロックを防ぐ制御であったため、フロントタイヤがロックするとハンドル操作が利かず、危険回避が困難な状態となっていました。
1995年、メルセデス・ベンツはSクラス(W140型)にESCを世界初搭載しました。メルセデス・ベンツは最新の安全装置をトップモデルであるSクラスに搭載しています。最新の技術はコストがかかるため、トップモデルに採用されることが多くなります。
その後、EクラスやCクラスへと普及させ多くのユーザーの元に届いています。近年のADAS(先進運転支援システム)は、世界中で競争しながら技術を磨いています。多くのカメラやセンサーを組み合わせ、前方だけでなく後方までもカバーしています。
外車では、このシステムをクラスを問わず積極的に搭載しています。それまで日本では規制の壁があり普及が進みませんでしたが、外車が日本に導入されたことを機に規制が撤廃されました。
現在、日本でも多くのADAS搭載車が普及しているのは、早期に採用していた外車のおかげとも言えます。
安全性の高い外車を購入するときのチェックポイント

安全性の高さを理解したうえで、外車を中古で購入する際に確認したいチェックポイントを紹介します。
安全装備の装着
中古車の場合、自身が求める安全装備が装着されているかが重要なポイントとなります。まず欲しい安全装備についてリストアップして整理することをオススメします。ABSやESCは標準装備されているため、先進運転支援システムの内容が選択肢となります。
先進運転支援システム内には様々な機能が含まれます。各社で名称が異なる場合がありますが、多くは機能名が名称に含まれています。ヘッドライトが自動でハイビームになる「ハイビームアシスト」、車両の全方位を画面上で確認できる「アラウンドビューモニター」など。
新車時にオプションで個別に装着ができる機能やカーナビなどの他の機能とセットで装着可能なパターンもあります。同モデルでも最上級グレードには標準装備されていることがあるため、欲しい機能が多い場合は標準装着されているグレードを選ぶのが得策です。
事故歴の有無
安全性能を求めて購入した車両がその性能を発揮できないのであれば、本末転倒です。そのようなトラブルを防ぐため、購入候補の車両の修復歴(事故歴)を確認しましょう。
修復歴に該当する損傷は、フレームにダメージが及ぶ事故です。ボルトで取り付けられた部品(ドア、フェンダーなど)が交換されていてもフレームに損傷がない場合は修復歴に該当しません。修復歴がない車両でも、軽微な接触による修理が行われている場合があります。
よくある軽微な損傷とは、ドアミラーやバンパーを接触させての損傷になります。先進運転支援システム搭載車には、センサーやカメラがドアミラーやバンパー内に組み込まれています。
カメラを使用する機能は、スイッチ操作で映像を確認できます。実車を確認する際は、一度操作して動作確認することをおすすめします。
センサー類の確認は実際に走行をしないとわからないこともあるため、試乗が可能であれば、実際に走行して確認しましょう。試乗が叶わない場合は店舗の敷地内で確認ができればベストですが、スペースがない場合もあります。その場合は、センサー類の動作保証について事前に販売店と確認しておきましょう。
安全性能を重視した外車選びで不明点や心配事がある場合は、是非トップランクにご相談ください。ご要望に合わせたモデルのご提案はもちろん、最新の先進運転支援システム搭載車についてもご紹介させていただきます。数多くのモデルからご希望に合った一台を見つけるお手伝いをいたします。
