外車の車検事情について徹底解説。国産車よりも高い理由は?

クルマを所有する以上、ナンバーを切って保管するコレクターでない限り、公道で走らせるオーナーがほとんどでしょう。ナンバーを取得して公道を走るクルマである以上、車検という制度を無視することはできません。当然ながら外車も例外ではありません。

外車の車検は高いイメージがありますが実際はどうなのでしょうか。その理由をまとめてみました。

目次

車検とは?

車検とは、「自動車検査登録制度」の略称であり「日本という国が定める保安基準を満たしているか」を、乗用車であれば2年ごと(新車の場合は初回は3年後)に検査するものです。

具体的には、タイヤの溝が1.6mm以上残っているか、フェンダーからはみ出していないか。ヘッドライトやウインカーなどの灯火類はきちんと作動するか、自家用車および軽自動車は60項目にわたるチェックを受けなければなりません(法定1年点検は29項目)。

車検が切れたクルマで公道を走ることはできません。万一、走行した場合には、30日の免停処分が科され、違反点数6点、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金といったペナルティが課されます。法的な拘束力があるため、大半のオーナーは車検の時期を意識せざるを得ません。

外車の車検の費用が国産車よりも高い理由は?

日本国内の工場で生産される日本車とは異なり、外車は(逆輸入の日本車も含めると)海外で生産され、日本国内に持ち込まれます。

輸送コストや関税、納車までの保管場所の確保や新車整備センターでのボディチェック、正規ディーラーの維持、テレビCMやネット広告などの販促費用など、さまざまなコストが集約されて車両本体価格に盛り込まれています。さらに、円安になると車両本体価格が上昇します。

クルマ本体と同じく、部品も海外から輸入されます。そして同じように費用が掛かります。無数の部品をストックするため、専用の倉庫も必要です。こうしたさまざまなコストが部品代や車検などの点検整備費用にも反映されるのです。これは外車である以上、避けられない宿命です。

外車の車検が受けられる場所は?

以下では外車の車検はどのような場所で受けることができるのか、詳しく見ていきましょう。

認証工場

地方運輸局長の「認証」を受けた「認証工場」に依頼すれば、車検を受けることが可能です。国土交通省のホームページによると、認証工場とは「一定の規模の作業場と作業機械、分解整備に従事する従業員を有する工場に対し、申請により、地方運輸局長が自動車分解整備事業の認証をしています。

この認証工場に車検を依頼した場合、認証工場は、運輸支局、自動車検査登録事務所等(いわゆる「車検場」です。)に車両を持ち込んで検査を受けます。なお、認証工場では、次の様式の標識を公衆の見易いように掲げてあります。(原文ママ)」と記載されています。

つまり、整備工場には認証工場であることを示す標識(プレート)が必ず設置されています。注意しなければならないのは、認証工場で検査したクルマを車検場に持ち込み、所定の基準をクリアしているか検査員にチェックしてもらう必要がある点です。

指定工場

認証工場のうち、設備・技術・管理組織等が一定の基準に適合している工場には、申請により地方運輸局長が「指定自動車整備事業の指定」を行います。この「指定」を受けた工場は「指定工場」と呼ばれます(一般的には「民間車検場」または「民間車検工場」という名称が使われることが多いです)。

国土交通省のホームページによると指定工場とは「認証工場のうち、自動車の整備について一定の基準に適合する設備、技術及び管理組織を有するほか、自動車の検査の設備を有し、かつ、自動車の検査を行う者(「自動車検査員」と言います。)を選任して自動車の点検及び整備について検査をさせると認められるものについて、地方運輸局長が指定自動車整備事業の指定をしています。

この指定工場に車検を依頼した場合、指定工場では、自動車の点検整備を行い、自動車検査員が検査を行った結果、保安基準の適合性を証明し、保安基準適合証を交付します。この保安基準適合証を運輸支局、自動車検査登録事務所等に提出することにより、車両の持ち込みが省略できます。なお、指定工場も次の様式の標識を見やすいように掲げています。(原文ママ)」

国産車はもちろん、外車の正規ディーラーも指定工場としての承認を受けており、クルマを車検場に持ち込むことなく、店舗内で車検を完了させることが可能です。

不正発覚による認証工場および指定工場認証取り消しは運営する企業に大ダメージとなる

ときどき、ディーラーで車検や自動車整備の不正が発覚すると、「不正を行った自動車整備事業者の認証および指定の取消処分」という報道を目にすることがあります。重い処分が下された場合、指定工場としてだけでなく、認証工場としての資格を失うこともあります。

このような場合、整備工場としての機能を果たせなくなります。そうなると、近隣の認証工場または指定工場にクルマを持ち込み、車検や整備を受けなければなりません。

再度、認証工場や指定工場の認証を受けることも可能だといわれていますが、膨大な時間と手間(当然ながら以前よりも認証を受けるためのハードルが上がります)が掛かるのはいうまでもありません。

外車ディーラーの車検はなぜ高いのか?

一般的に、外車ディーラーの車検は高いというのが通説です。そして、ある意味では事実です。その理由をひもといてみましょう。

メーカーが指定するベストな環境がそろっている(人・設備)

外車の正規ディーラーの設備は、メーカーの厳しい基準をクリアしていなければ稼働できません。リフトや工具などにも細かな指定があります。また、車種や特定の整備箇所に使用する特殊工具(SST/スペシャルサービスツール)も用意されるなど、環境が整えられています。

また、メカニックやサービスフロントも、経験年数や役職に応じたトレーニングを定期的に受講しており、取り扱うメーカーや車種のエキスパート集団であるといえます。これだけの設備投資をしているだけに、最高の環境が整えられているのです。外車ディーラーと街の整備工場の決定的な違いはまさにここです。

その手間が、基本料金を含めたすべての価格に反映されるのはやむを得ないといわざるを得ないでしょう。

予防整備も見積もりに含まれるため

外車ディーラーの車検は、安く済ませたいユーザーの心境よりもひとまず「クルマのコンディションを本来の状態に戻すこと」が優先されます。つまり、使用年数が長くなるほど交換する部品が増えることを意味します。これはメーカーの基準である以上、避けられないことです。

そして提示された見積もり額に目を丸くするのです。かつてはその金額に臆することなく「とりあえずやっといて」と言える人だけが外車に乗れた時代もありました。しかし、令和の世はそれでは許されません。オーナーと打ち合わせを行い、「今回交換する部品と次回に見送る部品」を選別し、ようやく着地点を見出します。

クルマの本来の性能を維持するため

先述したとおり、本来の外車の正規ディーラーの役割は「車検や定期点検時にクルマの本来の性能に戻す、あるいは維持すること」です。ラグジュアリーブランドの高級車オーナーであれば、車検を通すために100万円単位の出費が伴っても臆することなくキャッシュ(あるいはクレジットカード)で支払いますが、プレミアムブランドのエントリーモデルのオーナーともなれば「少しでも安く抑えたい」のが本音です。

サードパーティー製を駆使すれば安く抑える方法はいくらでもある中で、ある意味、外車の正規ディーラーに愛車を預けている時点でリッチな身分といえるかもしれません。

メーカー指定交換部品の存在

多くの外車メーカーには、日本の法定点検とは別に、それぞれのメーカーが定めた「メーカー指定交換部品」があります。交換サイクルは走行距離や年数によって決められており、「基本的には距離や年数に達したら交換することが望ましい」とされています。

法的な拘束力があるわけではないため、交換しなくてもペナルティを科されることはありません。その代わり、メーカーが推奨する耐用年数を過ぎていることになるため、必然的に故障要因が増えますし、確率も上がるので注意が必要です。

外車のユーザー車検はアリなのか?

アリかナシか?であれば「アリ」です。ただし条件付きで、です。ユーザー車検は基本的に「自己責任」です。事前の点検をほとんど行わずに車検がクリアできたとしても、それはたまたま運が良かっただけかもしれないのです。

極論をいえば、車検場から帰宅するまでのあいだに壊れる可能性もあるのです。ただひたすら「車検を安く済ませる」ことばかりに注力すると、遅かれ早かれ必ずしっぺ返しがあります。それはつまり、重大なトラブルを抱えるほどクルマのコンディションが悪化していることを意味します。

エンジンやトランスミッションのオーバーホール、あるいは載せ替えなど、これまでメンテナンスを怠ってきたことがツケとなり、結果的に大きな出費となりかねません。

その状態でクルマを手放しても二束三文になってしまいます。本来であればリセールバリューが高いクルマですら、商品価値がないと見なされてしまいます。

外車の車検とメーカー指定点検の違いは?

外車であっても、日本の路上で走る以上、この国の法規に則って走らせることになります。では、メーカー指定点検のタイミングについては、最近ではクルマに搭載されているコンピューターがコンディションを管理し、交換や正規ディーラーサービス工場への入庫を促してくれます。

たとえば、エンジンオイルの交換サイクルが1年または15000キロごとだとしましょう。いわゆる「シビアコンディション」と呼ばれる短距離走行を繰り返した場合、メーカーの想定よりも早いタイミングで正規ディーラーサービス工場への入庫を促す情報が、メーターパネル内のインフォメーションディスプレイに表示されます。

クルマが指定するタイミングで入庫しなくてもすぐに壊れる可能性は低いとはいえ、そのままスルーしていてもプラスに作用することはほぼありません。基本的にマイナス(クルマを傷めている)の状態です。

長きにわたってコンディションを維持するためにも、可能な限りインフォメーションディスプレイで表示されている期限(あと●●日などと表示されます)までに点検を受けるようにしてください。

外車の車検の費用を抑えるポイントとは?

もっとも手っ取り早いのはユーザー車検です。しかし、先述したとおり、これは自己責任となるためリスクが高いです。文字通り「ハイリスク・ハイリターン」です。

反対に理想形は正規ディーラーのサービス工場ですべてのメンテナンスを受けることですが、当然のことながら相応の費用が掛かります。予算は青天井、あるいは目いっぱい愛車に手を掛けてあげたいのであればこの選択がベストです。

また、別のアプローチとして、積極的に予防整備を行うことも有効です。壊れる前に取り替える。部品が寿命を迎える前に取り替えます。これを車検時にまとめて行うのではなく、1年ごとや半年ごとに費用を分散させる方法です。

いささか手間が掛かることも事実ですが、こうした積み重ねが愛車のコンディションを維持し、ひいては大きな出費を抑えることにつながるのです。

外車の車検を受ける際におすすめのところは

正規ディーラーに預けるのがベストなのは理解できます。しかし、そこまで予算がなく、多少なりともコスパも意識したい場合は、外車に精通した指定工場に依頼するのも有効な手段といえます。

もともと正規ディーラーに勤務していたメカニックが在籍していることも多く、経験豊富なスタッフがそろっているからです。しかも、費用は正規ディーラーよりも抑えめであることが多く、親身になってくれる頼れる主治医として安心して大切な愛車を任せられるのでおすすめです。

外車の車検は国産車と異なる特徴があり、適切な知識と対応が必要です。トップランクでは、輸入車に精通した経験豊富なスタッフが、愛車に最適な車検やメンテナンスをご提案します。

また、オンライン商談を通じて、遠方の方からのご相談にも対応可能です。費用面やメンテナンス内容について不安がある場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。トップランクは、あなたの愛車を最高の状態で維持するお手伝いをいたします。

 

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